ベビーチーズ(プロセスチーズ)離乳食ではいつから?
「ベビーチーズ」をご存知でしょうか。スーパーなどでよく目にするようで質問の多い商品の1つです。
ベビーという名前から、赤ちゃんにふさわしいのか、食べさせるならどのくらいの量なのか聞かれます。
簡単に答えることもできますが、このような質問に対しどのように考えていったらいいのかも含めてまとめます。
ベビーチーズとは

ベビーチーズとは何でしょうか。赤ちゃん向けの商品ではありませんが、なぜベビーといわれるのでしょうか。
なぜベビーチーズという名前なのか
ベビーチーズは、赤ちゃん(ベビー)が食べるためのチーズという意味ではなく、「小さい」ということを指しているのだと思います。
ベビーチーズという名前の由来はわかりませんが、赤ちゃんのように小さく、食べやすいということではないでしょうか。
チーズの種類
日本では、チーズは大きく分けて2種類、
・ナチュラルチーズ
・プロセスチーズ
があり、
ベビーチーズは、プロセスチーズを小さくカットしたものになりますが、細かい定義はないようです。
ナチュラルチーズを離乳食であげるときの注意
ナチュラルチーズには、
カッテージ、モッツァレラ、クリーム、チェダー、パルメザン などがあげられ、カマンベール、ブルーチーズなども同様に該当します。
ナチュラルチーズは赤ちゃんや妊婦さんにあげても大丈夫?
ナチュラルチーズは日本の場合は牛乳を加熱してつくられていますので、妊婦さんでも赤ちゃんでもそのまま食べることができますが、海外のナチュラルチーズの一部は、牛乳を加熱していない非加熱乳のことがありますので、非加熱のナチュラルチーズは加熱をしてあげるようにしましょう。
リステリア菌の食中毒例は日本ではほとんどありませんので、ナチュラルチーズであっても過大な心配は要りません。
しかしながら輸入食品なども手に入りやすくなったので、海外のチーズは加熱すると安心だと知っておくといいですね。
カッテージチーズ
カッテージチーズとは脱脂乳を原料に作られるチーズです。
カッテージチーズなら脂が少ないので、厳密な決まりはありませんが、早くからあげられますので、離乳初期後半(6ヶ月後半頃~)から少しずつ試していくことができます。
粉チーズ(パルメザンチーズ)
粉チーズも少量であれば、比較的早い時期から風味付け程度に使っていくことが出来ますが、塩分と脂肪分が多いので、少し振りかける程度にしてください。
味付けのようにして使うといいですよ! あまり「少ないほうがいい」とごく少量にする必要はありませんが、毎日たっぷり使うということだけは避けられるといいですね。特に量の決まりはありません
カマンベールチーズ
カマンベールチーズは白カビをつけているナチュラルチーズです。
日本では加熱して作られていますが、念のため、赤ちゃんには必ず加熱をしてあげられると安心ではあるかもしれませんね。
プロセスチーズは赤ちゃんにあげてもいい?
プロセスチーズとは、上記などのナチュラルチーズを何種類か混ぜたりして加熱し、熱で溶かして乳化させて殺菌し、型詰めして冷却したものを指します。赤ちゃんにあげるときには、加熱殺菌してあることは安心といえます。
プロセスチーズには、ベビーチーズ、スライスチーズや6Pチーズなども分類されます。
離乳後期(9ヶ月頃)から料理にスライスチーズなどを少し使ってみると料理の幅が広がってとてもおいしく仕上がります。
しかしチーズは脂肪分がとても多いため、スライスチーズなら1日に1枚程度 にしておくといいでしょう。
プロセスチーズに含まれる乳化剤
加熱してあるプロセスチーズが安心だということはわかりましたが、プロセスチーズに含まれている、乳化剤が気になるかと思います。
乳化剤には、リン酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウムなどがあり、水と油を混ぜ合わせて安定させるための添加物です。
乳チーズを溶かすと油分が多くでるため、全体をなじませるために乳化剤を使用しています。
ちょっと心配になるかもしれませんが、安全が認められている添加物であり、製造上必須のものです。
各家庭の考えに応じて判断してよいですが、多い量が入っているわけではないので、1日1枚程度とし、食べ過ぎなければよいかと思います。
赤ちゃんはいつからベビーチーズを食べていい?

ベビーチーズを赤ちゃんにあげるのは、いつごろからがいいのでしょうか。
ベビーチーズは1才頃からがおすすめ
特に決まりはありませんが、硬さを考えると、歯ぐきでは噛み切れない厚さである可能性もあるため、ベビーチーズは1歳すぎまでは避けておくと良いでしょう。
まず、プロセスチーズという考え方だけでは、離乳後期から食べることはできますが、硬さや塩分などを考えると、1歳前では早いかと思えるためです。
いつから食べられるか考えるときのポイント
チーズだけではなく、いろいろなものを赤ちゃんに食べさせられる?と心配になったら考えたいポイントがあります。
1.塩分
固さや食べやすさだけみると、スライスチーズのほうが良いのですが、塩分をみてみると全体的な大きさの違いもあり、塩分量が少しだけ異なります。
(例)*メーカーや商品によって異なります。
スライスチーズ 1枚(17g) 塩分相当量 0.5g
ベビーチーズ 1個(12g) 塩分相当量 0.38g
一般的なベビーチーズ、プレーンタイプには、だいたい0.3-0.4g分の塩分が入っています。これはだいたい子ども用の味噌汁一杯分くらい*の塩分です。
(*大人用の味噌汁を1/2量のだし汁で薄めたくらいの濃さのものを、100mlほど飲むとした場合)
チーズはカルシウムも豊富なのでとりいれたい食材の1つですが、チーズは塩分も多いので、できたら赤ちゃん用として売られている減塩タイプのチーズなどを選んだり、一緒にたべるものの塩分を少なくして調整するなどして、食卓にとりいれていきましょう。

管理栄養士
チーズに塩分が多いので、他に食べるものとの組み合わせを考えます。
パンやスープなどとはあわせず、ごはんや麦茶、果物、野菜などとあわせるといいでしょう。
2.硬さ
ベビーチーズはスライスチーズと比べて厚みがあるので少し固く、歯ぐきでおしつぶす固さ(バナナくらい)ではなく、歯ぐきで噛める固さ(肉団子)に近い固さといえます。
これは1歳すぎてからの咀嚼力。
ベビーチーズの大きさはだいたい12-15g程度なので、スライスチーズ1枚とほぼ同じくらいの量ですが、少し固いので1歳をすぎても少しずつ噛んで食べているか見守ってあげるようにしてください。
あまり赤ちゃんにふさわしいものとはいえず、どちらかというと幼児以降のおやつですね。
3.誤飲しないか
キャンディー型のチーズは、しっかり食事に集中した状態で、自分で食べないと喉に詰まってしまうこともあるので、キャンディーチーズはつぶしたりして、なおかつ見守ることが望ましいでしょう。


管理栄養士
それよりも小さい月齢にあげるときは、手のひらで平たくつぶしてからあげるのがおすすめ!

参考資料
1)全国公正取引協議会連合会 ,ナチュラルチーズ -(2018年12月12日閲覧)
2)雪印乳業株式会社,チーズを知る「カマンベール」(2018年12月12日閲覧)
3)厚生労働省,「リステリアに関するQ&A」(2018年12月12日閲覧)
4)ベビーチーズ、スライスチーズの各商品パッケージより栄養成分(2018年12月 筆者調べ)
著者

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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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