離乳食初期の食材選び!アレルギーに注意したはじめ方
離乳食初期の基本とは?
離乳食初期は、正しくは「離乳初期」といい、舌で食べ物を後ろに送り込む時期のことをさします。
生後何ヶ月だから初期であるとか、1日1回だから離乳初期などと言い切ることはできません。
離乳食を始めるタイミング
離乳食の開始月齢は目安ですが、だいたい生後5〜6ヶ月頃から始めるのが一般的です。
これはだいたい5ヶ月からでも6ヶ月からでもいいという意味であり、どちらでも構いませんが、6ヶ月頃になると、母乳の栄養だけでは少しずつ足りなくなってくるので、少しずつ食べる楽しさを覚えていこうねという意味です。
赤ちゃんの首がぐにゃぐにゃしていると、食事を飲み込むのが難しいので、いくつかの開始の目安はあります
・首が支えられる頃
・生後5ヶ月や6ヶ月頃
・食べる意欲ある
などと言われますが、これは食べる意欲もないような子を無理に座らせて食べさせるのは困難であるという意味です。
早産や低出生体重児の場合は、月齢にとらわれる必要はありません。修正月齢があれば、修正後の月齢でもいいでしょう。主治医の先生と相談してみましょう。
管理栄養士
だいたい修正月齢などでも5-6ヶ月頃になると、スプーンのようなものに興味があったりいろいろなものを口にいれて確かめてみたり、首もまっすぐ保てるようになっているので、
そのころになったらなにか少しスプーンで口に入れてみましょうね
離乳食初期に大切なこと
離乳食の目的は、
母乳だけでは補えない栄養を摂取することと、
食事を食べることに楽しさを知ることの2つがあります。
この食べ物を食べないと栄養が足りない!などと焦るのではなく、
これから長く続く食事の楽しさを一緒にたくさん経験していきましょう。
細かい情報に左右されず、食べられるものを探すように考えて小さな成長を楽しんでいきましょう!
離乳食初期におすすめの食材
舌で送るだけの動きをする「離乳初期」にはヨーグルト状にポターっと最終形態でなっていることがポイントです。
硬くて小さい粒のようなものは避けて、ポターっとなるかな?と最終形態で判断してみてくださいね。
野菜
離乳食では、苦いもの、辛いものなどは適しませんが、どんな野菜でも食べていくことができます。
しかし、最初はほんのり自然の甘さのある野菜から始めると食べやすいでしょう。
例えば、にんじん、かぼちゃ、かぶ、大根、白菜などがオススメです。
これらの野菜は柔らかく調理しやすいのもおすすめポイントです。ピューレ状にして赤ちゃんも飲み込みやすくなります。
野菜はアレルギーリスクは高くはないので、複数種類を混ぜて最初から食べさせてあげても構いません。
>>【関連記事】離乳食 初期の野菜の進め方:1種類ずつ?複数混ぜても大丈夫?
穀物
最初に与える穀物としては、日本ではおかゆ、海外ではオートミールが定番です。
おうちでよく家族が食べているものをあげるようにしましょう。
パンやうどんは、塩分を含むのであまり早いうちにはオススメできません。また小麦のアレルギーもちょっと心配なので、ほかの穀類を食べられてからでもいいのかなと思います。
またパンは小麦だけではなく、乳製品などもはいっているのでちょっと心配ですね。
じゃがいもやさつまいもでもいいでしょう。
>>【関連記事】炊飯器で作る赤ちゃんのおかゆ:離乳食初期〜後期のレシピ
果物
果物をあげても構いませんが、それよりも摂りたい栄養はあるのかな?とは思います。海外では果物をピューレにしたものを離乳食としてあげるケースがあります。悪くはありませんが、果物ばかりにならないようにしたいものです。
甘いものは味が濃く感じるので、野菜だけやごはんだけなどの薄い味だと感じにくくなることがあるかもしれませんね。
例えば、果物を食べさせる時には、レバーなど食べにくい食材のマスキングとして利用したり、赤身魚などパサつきやすいものをバナナやリンゴで少し甘さととろみをつけてあげたりするのはいいかもしれません。
>>【関連記事】バナナはいつまで加熱する?離乳食での使い方
果物をあげるときは、その量には気を付けましょう。
また、果物でも野菜でも同じですが、この時はあくまでも、ポターっとヨーグルト状になることが大切ですので、硬い粒が残っていないようにしましょう。加熱をすると全体がジャムのようにトローとなるのでお勧めです。
>>【関連記事】乳幼児期に気を付けたい果物:保育園給食のガイドライン
アレルギーに注意すべき食材と対策
アレルギー反応を引き起こしやすい食材には注意が必要です。
注意したい食材:卵・乳・小麦・ピーナッツ
乳児期に食物アレルギーの原因となることが多い食材は、「卵・乳・小麦」になります2)。
離乳食初期にあげたほうがいいとか、あげないほうがいいなどはありません。
研究段階では、アトピー性皮膚炎がある場合は、
1才まで卵やピーナッツを避け続けることは良くないといえます。
食物アレルギーの予防方法
食物アレルギーの予防は現在のところ、確立されたものはありません。
症状が強くでないように離乳食期にできることは、
・離乳食の開始は5-6ヶ月頃とし、遅らせないようにする2)
・鶏卵はしっかり加熱温度と加熱時間が多い(高い)ものをあげる3)
・肌トラブルが多めの子は1才までには、卵をあげておくとよい3)
になります。
アトピー性皮膚炎がある子や肌トラブルが多めの場合は、なるべくしっかり保湿や薬でケアをしていきましょう。
皮膚のバリア機能が低下して湿疹を発症すると、皮膚を通して他のアレルギー疾患を発症する可能性も高くなります。
乳児期からしっかりとしたスキンケアをすることが大切で、乳児期発症の約半数以上は、寛解するといわれています3)。
アレルギー反応が出た場合の対応
赤ちゃんが、離乳食を食べて、湿疹、嘔吐、下痢などの症状が見られることがあります。これらはアレルギー症状でもみられる状態ですので、アレルギーの可能性はあります。しかしながら、ほかの可能性もあることを考えてみましょう。
例えば、発疹湿疹が見られた場合、もちろん食物アレルギーの可能性はありますが、
しかしながら、それらの反応は、食べた時の食べカスがついたことによる肌荒れや、食品に含まれるかゆみを助長する成分(ヒスタミン等)に反応していることも考えられます。
また、嘔吐や下痢などが見られた場合も、これも食物アレルギーの可能性はありますが、
ウイルスや細菌によるものもあるかもしれません。
いずれも食物アレルギーかどうかは判断できませんので、小児科医に相談しましょう。
管理栄養士
レシピ本はあくまでもレシピ。あなたのお子さんのために、アレンジしてもOKですよ
離乳食初期の進め方
離乳食を少量から始める 意味とは
新しい食材を試す際は、1さじずつ始めるといわれていますが、
これはアレルギーリスクの高いものになります。
鶏卵・乳・小麦類は、少量で様子を見てみると、
いきなり強い症状になるというリスクをすこし抑えることができます。
例えば少量でも症状が出ることもありますが、
それは離乳食の進め方が悪いなどではなく体質によるものですので、ご自身を責めないようにお願いします。
>>【関連記事】離乳食 1さじってどのくらい?
初めての食材を1種類ずつを試す意味とは?
離乳食の開始時に、初めての食材を同時に複数の食材を与えて症状が出た場合、
どの食材がアレルギーの原因か分からなくなるので、1種類ずつといわれています。
これに該当するのは、おもに、鶏卵・乳・小麦です。
しかしながら、初めての卵と初めての乳製品とを一度にあげようとする方は、
最近ではあまりいらっしゃらないのではないかとも思います。
例えば、その他の野菜類や肉・魚類は、他のものと混ぜていただいても構いません。
管理栄養士
卵がもっともアレルギーリスクが高いので、はじめて卵をあげるときだけは他の食材は食べなれたものにしておくとわかりやすいのかなとは思います。
離乳食に関するよくある質問
A.離乳食では、硬くて小さいもの、アルコール、カフェイン、ハチミツ、衛生的ではないものは避けます。
特に離乳食初期には避けましょう。
また、誤嚥防止のため、離乳初期はなるべくやわからく滑らかなヨーグルト状のものを用意し、硬いツブツブは避けます。
衛生的ではないものには、生肉・生魚・生卵なども含まれます。必ず加熱をしてあげましょう。
例えば野菜などもしっかり洗う。泥がつきそうな野菜などは洗って皮をむき、さらに加熱をして食べるといいでしょう。
子育てにはルールがなく、本当に難しいものですよね。何日続けたらいいの?何日空けたらいいの?と情報を比較しがちですが答えはありません。
少しずつ食べることに慣れたらいいね という気持をもって
「少しずつ増やしましょう」と本などに記載しています。食材数は増やさなくても、食べる量が増えたり食べることに慣れていくのが目的です。
食材の種類を無理に増やさなくても、「これなら食べる」という食材をまずはみつけていけるといいですね。
生後8カ月頃までは、栄養より、食べる機会として考えて、用意できる時にはなるべくしていきましょう。
離乳食を用意するということは、これからはじまる「家族ごはんを用意する」準備ともいえます。
いきなり用意するのが難しいのであれば、用意できる時だけでも構いません。しかしこう書いてしまうと、「じゃあ、2日に1回でいいか!」「用意しなくてもいいか!」ととらえられていまうことがありますので、お伝えするのが難しいです。
用意できる時はなるべく用意するようにしてください。
どうしてもあげられないときには、ご自身を責めすぎずにおおらかな気持ちで考えてくださいね。
海外でLEAP研究というものがあります。
これは、ピーナッツアレルギーが多い国において、アレルギー発症リスクが高い乳児にむけての調査です。そのあと、LEAP研究の研究班や各国の学会が声明を2015年に発表し、ピーナッツアレルギーが多い国では乳児期の早期(4~11ヶ月)にピーナッツを含む食品の摂取を開始することを推奨すべきとしました。
日本はこれには該当しないと思います。
周りの環境(家庭内等)にピーナッツが常時たくさんあるような家庭の場合で
なおかつ皮膚バリアが弱っている場合にはこれに該当する可能性があるかもしれませんが、
日本の家庭においては、家庭内にピーナッツはそれほど多くないと想定されるので、
まずは肌ケアをしっかりしておけば、ピーナッツを早くから上げる必要はないため、この研究のあと2019年に発表された「授乳・離乳の支援ガイド」では、日本においてはピーナッツの早期摂取はガイドに盛り込んでいません。
まとめ:離乳食初期はゆったりした気分で
例えば、「はじめてのごはんは赤ちゃんにとって重要です」などのフレーズを見てしまったりすると、大変!いいものをあげないと!何が正しいんだろう!?と焦ったりしてしまうものです。
離乳食は、食べること、作ることを楽しむためのファーストステップです。
「食べた!」という喜びをみんなであじわうことが大切であり、食べないことを悲しむ必要など全くありません。いままで母乳やミルクしか飲んでこなかった子が食べるようになることだけでもすごいことなのです。
情報が多い中、悩んでしまうこともあるかもしれませんが、離乳食のレシピ本を書いている私から皆様にお伝えしたいことがあります。
管理栄養士
レシピ本はあくまでもレシピ。あなたのお子さんのために、アレンジしてもOKですよ
悩むことがあるのはとてもよくわかりますが、子育てはマニュアルの通りに進まないものです。
レシピ本などを参考にして、お子様が食べやすいようにアレンジなどしてみてください。
食べないこともあるかもしれませんが、
好きな物が1つでも増えるようにと応援しています。
どうぞおおらかな気持ちで離乳食を楽しんでみてくださいね。
参考文献
1)厚生労働省,授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂),(2024年9月14日子ども家庭庁サイトにて閲覧)
2)一般社団法人日本小児アレルギー学会,食物アレルギー診療ガイドライン2021,(2024年9月14日閲覧)
3)一般社団法人 日本小児アレルギー学会パンフレット,「乳児アトピー性皮膚炎」の項,(2024年9月発行)
4)LEAP Study Team他,Consensus Communication on Early Peanut Introduction and the Prevention of Peanut Allergy in High-Risk Infants -,(2024年9月14日閲覧)
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
著者の記事
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