離乳食やベビーフードで初めての食材のアレルギーを試すのはアリ?

離乳食とは、赤ちゃんが生まれて初めて、母乳やミルク以外のものを食べる経験になります。

少しずつママやパパと同じような食べ物を食べるようになっていく、その過程を意味します。

初めての食事となると、ママもパパもいろいろと気を遣うこともあるでしょう。そして関心ごとの1つに「アレルギーが出ないか心配」というものがあります。

今回は、ベビーフードに初めての食材が入っている時どうしたらいいのか、離乳食でのアレルギーについての考え方を管理栄養士が解説します。

ベビーフードの食材は「食材単体で事前に食べてから」は本当?

SNSではいろいろな見解があり、「新しい食材はすべて単体で試してから」と思っている方も多いようです。

一見、とくに害はなさそうな考え方ですが、ちょっとしたリスクもありますので一緒に考えてみましょう。

この考えでのリスクは、すべてを1さじずつ(₌少量ずつ)にしていたらある程度食べられるようになるまでに日にちがかかりすぎる という点です。

野菜は複数種類のベビーフードでも問題なし

ベビーフードは、例えば、「にんじんと玉ねぎのミックス」などが売られていますが、とくにそれぞれアレルギーのリスクが高いわけではありません。

野菜はそれほどアレルギーリスクは高くありませんので、初めての離乳食で、にんじんと玉ねぎを一緒にペーストにされているものを食べても全く問題はありません。

注意したいアレルギーとは

ベビーフードに初めての食材を使う場合、必ず単体で試す必要があるかというと、必ずしもそうではありません。

特に野菜などは、アレルギーの可能性が低いため、単体で試す必要はありません。

管理栄養士

管理栄養士

ただし、鶏卵・牛乳・小麦粉などのアレルギー反応が出やすい食材は、単体で試したほうがいいともいえます。
そのほうがアレルギーにならない という意味ではなく、もしアレルギー反応が出た時に、原因物質が突き止めやすいためです。

以下を表にして年齢群別原因食物(粗集計) 0歳(1,876)1・2歳(1,435)3-6歳(1,525)7-17歳(906)≧18歳(338)1鶏卵60.60%鶏卵36.30%木の実類27.80%牛乳16.90%小麦22.50%2牛乳24.80%牛乳17.60%牛乳16.00%木の実類16.80%甲殻類16.90%3小麦10.80%木の実類15.40%鶏卵14.70%鶏卵14.50%果実類9.80%4魚卵8.20%落花生12.00%甲殻類10.20%魚類7.7%5落花生6.60%魚卵10.30%落花生9.10%木の実類5.90%6小麦5.80%小麦6.70%果実類7.80%牛乳5.00%7小麦7.60%小計96.20%89.80%87.50%82.80%67.80%注釈:各年齢群で5%以上の頻度の原因食物を示した。また、小計は各年齢群で表記されている原因食物の頻度の集計である。 原因食物の頻度(%)は小数第2位を四捨五入したものであるため、その和は小計と差異を生じる。 【引用文献】令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書 (2022年4月 消費者庁)

上記の消費者庁の報告は、食物アレルギーの原因物質を年齢別に表にしたものです1)

これでわかるように、0歳の離乳食時期におけるアレルギーの原因をみると、
96.2%は鶏卵・牛乳乳製品・小麦 になります。 

これ以外のものを1種類ずつ少しずつ試しても、時間ばかりがかかってしまいます。

もちろんこのほかの食品でもアレルギーになる可能性はゼロではありません。

しかしながら、1種類だけで食べても、数種類混ぜて食べても、そのリスクは変わりません

また、少量食べられたからといって、今後そのアレルギーが起きないというわけではありません。

ベビーフードのアレルギー物質のところに、「小麦」と書いてありました。
原材料にそれらしきものが見つからないので、たぶん調味料の中の一部として入っているのかな?と思います。
そのベビーフードを赤ちゃんにあげても、症状が出なかったので、うちの子は「小麦クリア」でいいですか?小麦アレルギーはないですよね?

管理栄養士

管理栄養士

それは、あくまでも「その調理法」「その量」ではアレルギーがでない ということにはなるかもしれませんが、他の小麦粉製品、例えばうどんやパンなどを食べたらアレルギーが出るかもしれません。量が多ければそれだけリスクはあがります。
しかしながら、すごく重篤なアレルギーをもっている場合はごく少量でも反応がでますので、
今回のような場合は、「ものすごく重篤な小麦アレルギーということではない」ということはわかったということにはなるのかなと思います。
但、うどんやパン、ホワイトソースなど小麦粉を含むものはまだたくさんあるので、少量食べられたからといって絶対起きないわけではありません。

ベビーフードのアレルギー表示に大豆があるけど大丈夫?

ベビーフードによく使われる調味料などのアレルギー成分の1つには「大豆」があります。

大豆は、大豆油、しょうゆ などにも含まれ、ごく少量でも含まれています。

このため、これらを使ったらアレルギー表示を書くことになります。

大豆そのものは0歳でアレルギーになる可能性は多くはありませんが、ありえます。

しかしながら、大豆アレルギーのほとんどは、豆腐や納豆など大豆そのものでおきます。

油はほとんどが脂質でアレルギーの成分にもなるタンパク質は多くありません。

また、しょうゆのは発酵されている、アレルギーのちからがとても弱くなっています。

これらはかなり重篤なアレルギーでない限りは、症状が出ないことがほとんどです2)

米がゆ 添加物 米粉

「米がゆ」などの商品に「大豆」などのアレルギー表示が書かれていますが、
これは重篤な方に向けてのものであると考えていいでしょう。

これを食べられたからといっても、豆腐や納豆が食べられるというわけではありません。

また、このような商品を不必要に避ける必要がありません。

医師の診断で「大豆アレルギーです。極少量でも危険であるので避けるように」と言われた場合は、避ける必要があります。

しかし、それ以外の方は試していただいていいでしょう。

もちろん、はじめてその食品を食べてアレルギーのような症状がでることもあります。そのようなときには医療機関にご相談ください。

どんな食べ物でもアレルギーリスクはゼロではないことは覚えておくといいでしょう。

【関連記事】離乳食 食材チェックリストで考えたいこと:保育園入園

アレルギー反応が出やすい食材は注意

アレルギー反応が出る可能性が高かったり、重篤になる可能性のある食材は、以下の7品目です。

  • 卵 
  • 小麦
  • そば
  • 落花生
  • えび
  • かに
  • くるみ

これらを「アレルギー物質特定8品目」といいます。

この中でも、先ほど示した表のように、乳児にアレルギー反応が出やすいのは

  • 小麦

です。

特にこの3つは気を付けるようにしましょう。

とくに卵については、「高い温度で長時間加熱」をすることでアレルギーの力が弱まりますので、いろいろな調理方法を少しずつ試せるといいでしょう。

また、卵、乳、小麦を食材を含むベビーフードを与える場合は、初めてのアレルゲンが2つ以上ないほうが安心です。

また、初めてあげるときは、体調の良い日に、少量ずつだといいと思いますし、病院が開いている時間帯だと安心ですね。

【関連記事】詳細版 卵の進め方

アレルギーが疑われる症状が出たら?

アレルギー反応の症状は、以下のようなものがあります。

おもに数時間以内に起きることが多いので、数時間は様子がみられるといいでしょう。

気になることがあったら、相談されることをおすすめします。

  • 嘔吐、下痢
  • じんましん、赤い発疹
  • 呼吸困難、喘鳴

これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。

また、湿疹がある場合も、アレルギーのリスクを高めます。皮膚トラブルがある場合は小児科に定期的にみてもらうようにしてください。

【関連記事】ベビーフードは無添加やオーガニック、有機野菜がいい?

まとめ

ベビーフードに初めての食材を使うときは、アレルギーに注意することが大切です。

特に気にするべきは鶏卵・乳製品・小麦となります。

この記事では下記のようにお伝えしました。

  • 「初めての食材は、その食材単体で事前に食べてから」は本当?
  • おかゆのベビーフード。アレルゲンに大豆があっても大丈夫
  • アレルギー反応が出やすい食材は注意(鶏卵・牛乳・小麦は注意を)
  • アレルギーが疑われる症状が出たら?

以上の記事を参考に、離乳食を無理なく、ベビーフードなどを上手に使いながら進めてみましょう。

参考文献

1)消費者庁「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」(2022年4月発表)(2023年11月30日閲覧)

2)国⽴研究開発法⼈⽇本医療研究開発機構(AMED)ほか「食物アレルギーの診療の手引き 2020」(2023年11月閲覧)

著者

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている