離乳食 初期の野菜の進め方:1種類ずつ?複数混ぜても大丈夫?
離乳食を初めて食べる時、野菜は1種類ずつがいいのでしょうか。
野菜は1種類ずつ1さじずつからスタートしたほうがいいのか、その理由と
そうでないときにどうしたらいいのかを考えましょう。
結論からいうと、野菜は複数種まとめて食べ始めても全然構いません。
ただ1種類ずつ食べるメリットも、複数種をまとめて食べるメリットもあります。
管理栄養士が解説します。
離乳食初期とは
離乳食初期とは、正確には、離乳初期といいます1)。
ただし、離乳食初期という単語のほうがよくつかわれているので、本記事では離乳食初期と表現します。
この時期はごっくん期とも呼ばれる、はじめて母乳やミルク以外のものを食べる時期です。
ごっくんと飲み込むことくらいです。
一般的に、離乳食初期は、生後5〜6ヶ月頃とされます。
しかし、月齢は目安にすぎないので、
修正月齢をもっている場合は修正月齢で考えてみるといいでしょう。
離乳食初期の目標は、赤ちゃんに新しい味や食感を経験できて、
食べ物に興味を持てればOKです。
最初はがんばりすぎず、食事回数は1日1回程度で、徐々に量を増やしていきます。
離乳食初期のあげる野菜の選び方
離乳食で初めて野菜は、基本的になんでも構いません。
しかしながら、あまり味が変わっているようなもの(ゴーヤー、長ネギ、しょうが等)は、
頑張ってあげる必要はないかと思いますし、赤ちゃんも食べないことが多いでしょう。
離乳食初期におすすめの野菜
離乳食初期(離乳初期)におすすめの野菜は、
・にんじん
・かぼちゃ
・たまねぎ
・だいこん
・かぶ
・白菜 などです。
もちろんこれ以外のものでも、全く構いません。
ただ、おすすめの野菜を強いて書くとするならば・・・です。
おすすめの理由として、上記にあげたようなものは、
つぶしやすいので作りやすく、
甘味があるので食べやすい という利点があります。
管理栄養士
離乳食初期はペースト状が望ましいので、
ペースト状につぶすのに時間がかかるようなものを、あえて頑張ってあげる必要はありませんという意味です。
また、
・さつまいも
・じゃがいも
もこの中に含まれますが、離乳食の分類として主食(穀類)の仲間にに入ったり野菜に入ったりします。
上記にはあげませんでしたが、これらもオススメの野菜ともいえます。
離乳食に望ましくない野菜
離乳食の初めの頃(初期)に望ましいとはいえない野菜は、
・ごぼう
・れんこん
など食物繊維が多く、硬いものや、
・しょうが
・みょうが
など香味が強いものです。
硬い野菜は、ペーストにすれば食べられないことはありません。
しかし、ペーストにするのも大変ですし、食物繊維が多いと便に影響が出やすいので、
あげるときはあまり多くない方がいいでしょう。
野菜の調理方法
赤ちゃんは、5-6ヶ月頃は、まだ歯で噛むことができないため、
野菜はゆでてから裏ごししてペースト状にすると食べやすくなります。
加熱したほうがいい?
例えば、大根おろしなどは、加熱しなくてもペーストのようにできそうですが、
生のままだと辛味があることもありえるのと、
滑らかになりにくいので、
加熱するほうが、滑らかで甘くなり、より食べやすくなるでしょう。
野菜を1種類ずつ1さじから様子をみたほうがいい?
離乳食初期では、野菜を一品ずつ進めることが望ましいと言われています。
これはなぜなのでしょう。下記の図のようなものはよくありますね。
このように1種類ずつ1さじからとしているのは、あまり多くは食べすぎないようにするためです。
はじめての食べ物にアレルギー症状等が出たり、便の様子が変わったりするとよくないためです。
ただし、その理由や詳細は下記のような理由になります。
アレルギーは起きる可能性はゼロではないが可能性はとても低い
アレルギーにならないようにするためにどうしたらいいのか心配
というお気持ちは、とてもよくわかります。
しかし、野菜を少しずつ食べれば、アレルギーにならないのかというと、
そうとは言い切れません2)。
ただ、1種類ずつ野菜を進めることで、
アレルギー反応が起こった場合にはどの野菜が原因かを特定しやすくなります。
しかし、乳児に起きるアレルギーのほとんど(約96%)は鶏卵・牛乳・小麦で起きます2)。
野菜は、そこまでアレルギーの可能性が高いものではありません2)。
便の調子が変わったりすることも
赤ちゃんは、今まで母乳またはミルクしか飲んだことがないので、
いわゆる離乳食が初めての「食物繊維」になります。
野菜だけではなく、ごはんや肉魚にも食物繊維は含まれますが、
このような食物繊維を一度にたくさん食べると、お腹の調子が変わることがあります。
「少しずつ」や「1さじずつ」と表記されてる理由の1つは、
初めての物をたくさん食べ過ぎると便の調子がいきなりかわりすぎるから、
様子をみようね 程度のものになります。
これらの理由から、1種類だけにしてもいいですが、複数種類でもよいといえます。
野菜は複数混ぜても大丈夫である理由
先ほどの説明のように、野菜でアレルギー反応が起こる頻度はそれほど高くありません。
したがって、複数の野菜を混ぜても問題ありません。
また、野菜は少しずつ食べたからといってアレルギーが予防できるということでもありません。
離乳食初期では、1種類の食材を1さじずつ与える方法が一般的ですが、
しっかり食べていくことも大切です。
1種類ずつ1さじずつにしていると時間が足りない
赤ちゃんが野菜に対してどのような反応を示すのかを確認するためには、
一つの野菜を数日間与え続ける必要があります。
しかし、忙しい日常生活の中では、毎日の食事の準備時間も限られているため、一品ずつ試すのは大変です。
そのため、複数の野菜を混ぜて進めても全然構いません。
このようにすることで、赤ちゃんが多様な味や食材に慣れることができます。
食材の合わると食べやすくなることも!
複数の野菜を混合して進める際には、食材の組み合わせにも注意が必要です。
とろみのあるものとパサつきやすいものを組み合わせることで、赤ちゃんが食べやすくなります。
例えば、ほうれん草はにんじんやかぼちゃと一緒にあげると、
ほうれん草のパサつきを、にんじんやかぼちゃが甘みのあるとろみで包むので、赤ちゃんが食べやすい食感になります。
このように、野菜は単品でも美味しいですが、混ぜることで美味しくなることがあります。
【関連記事】離乳食 食材チェックリストで考えたいこと:保育園入園
よくあるご質問
実際にあるご質問をご紹介します
にんじんだけ、トマトだけなどを単品でわざわざ試す必要はありません。
ベビーフードの利点は、気軽に試せる点です。
単品でペーストにするのはとても大変ですので、
このようなものを活用していきましょう。
もし、にんじんとトマトの合わせたものでは食べないなと思ったら、
違うベビーフードを試してもいいですし、
にんじんだけならどうだったのかな?と作ってみてもいいかもしれません。「にんじんもトマトも嫌いなんだ・・・」と決めつけないでくださいね。
また別の日なら食べるかもしれません。
繰り返しになりますが、そのように野菜を混ぜたベビーフードから始めても問題ないですよ。
離乳食の野菜の進め方とレシピ
離乳食初期の野菜は、柔らかくなるまで茹でてから裏ごししてペースト状にすることがおすすめです。
野菜のペーストの作り方
まず、洗った野菜を適量切り、水に浸して沸騰させます。
野菜が柔らかくなるまで茹で、茹でた野菜を冷水に取り出して冷まします。
冷めた野菜を裏ごし器やミキサーにかけ、滑らかなペーストになるまで処理します。
ペースト状にした野菜は、小分けにして冷凍保存すると便利です。
離乳食初期の野菜レシピ
以下に離乳食初期におすすめの野菜レシピをいくつかご紹介します。
にんじんペースト(離乳食 初期)
にんじんをペーストは、甘みがあるので、比較的赤ちゃんが食べやすいので、ベースとしていろいろなものを混ぜてもいいでしょう。
季節などによって食べにくかったりすることもあるかもしれませんが、時間をかけてじっくり蒸すとおいしくなります。大きめに切って茹でたり蒸したりしてからつぶすといいですしょう。
これをベースとして、じゃがいもやおかゆと混ぜてみたり、ほうれん草など食べにくい野菜と混ぜてみるのがオススメです。
かぼちゃ&さつまいもペースト(離乳食 初期)
種をとったかぼちゃとさつまいもを、電子レンジでやわらかくなるまで加熱し、皮をとってつぶしてペーストにします。
食品用の耐熱ビニール袋などにいれて、もみこむとペーストも簡単です。
硬い場合はお湯をたすとポタージュ風になり、食べやすくなります。
これらのレシピは、離乳食での野菜の進め方の一例です。
赤ちゃんの成長や好みに合わせて、野菜の組み合わせや調理方法を工夫してみてくださいね。
肉や魚、卵は混ぜてもいい?
野菜は複数種を混ぜても構いませんが、肉や魚、卵、乳製品などは、
はじめての時は1種類で少しずつがいいでしょう。
加えて、大豆製品(納豆・豆腐など)やピーナッツ(落花生)、など、
アレルギーの心配が強めなものは1種類ずつがいいでしょう。
たとえば、じゃがいもを食べたことがあって、肉魚は食べたことがない場合は、
じゃがいも+タラ、じゃがいも+鶏肉 などは構いませんが、
最初から、じゃがいも+タラ+鶏肉など複数の肉魚を混合にするのは避けておくと安心です。
食べてはいけないというわけではありませんが、もしアレルギー出た時に、1種類にしておくと特定しやすい意味です。
まとめ
離乳食初期(離乳初期)の野菜を進めるときは、1種類ずつでもいいですが、
複数の野菜を混合して進めても構いません。
1種類ずつ1さじずつにしていると時間がかかってしまうこともありますので、
自分と赤ちゃんに合った進め方を見つけられるといいですね。
肉・魚・卵・大豆製品などはこの限りではなく、1種類ずつが安心ですので、
注意はそちらにむけていきたいですね。
1)厚生労働省,授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)(2023年12月12日閲覧:2024年5月1日リンク先をこども家庭庁に変更)
2)日本小児アレルギー学会,食物アレルギー診療ガイドライン2021,2021年11月,(2023年12月15日閲覧)
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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