離乳食の野菜、1種類ずつチェック必要? 混ぜてもOKの理由

「初めての食材は、1種類ずつ1さじから」

離乳食を始めると、そんな説明を聞くことがあります。

そのため、「にんじんを何日か食べてから、次は玉ねぎ」「初めての野菜を2種類混ぜてはいけない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、離乳食の野菜は、必ず1種類ずつ単品で試さなければならないわけではありません。

にんじんと玉ねぎを一緒にやわらかく煮て、赤ちゃんが食べやすい状態にして与える方法もあります。

今回は、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」と食物アレルギーの特徴を踏まえて、初めての野菜の進め方を考えてみましょう。

離乳食 複数野菜が入ったベビーフード

「新しい食品は1さじずつ」は、何でも必ず1さじという意味?

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、離乳の開始について説明する中で、新しい食品を1さじずつ与え、子どもの様子を見ながら量を増やしていく進め方が示されています1)。

ここでいう「1さじ」は、厳密な容量や重量の指定ではなく、少量から始めるという趣旨です。この点は、厚生労働省の担当者にも確認しています。

また、この記述を「離乳期を通じて、初めての食品は何でも必ず1さじから」「初めての野菜は必ず1種類ずつ」と広げて読む必要はありません。

読み方ガイドから言えること
離乳を始めるときは、少量から子どもの様子を見て進める示されている
新しい食品を与えるときも、量を急に増やさず様子を見る基本的な考え方として読み取れる
離乳が進んだ後も、初めての食品は何でも必ず1さじに戻すそこまでは書かれていない
初めての野菜は必ず1種類ずつ、単品で試す書かれていない

大切なのは、子どもの様子を見ながら食べ進めることです。

「少量から始めること」と「野菜を1種類ずつ単品で試すこと」は、別の話なのです。

「1さじ」の意味については、下記の記事でも詳しく説明しています。

【関連記事】離乳食「1さじ」ってどのくらい?

大切なのは、なんでも「1さじから」としてしまうと全然進まないということです。1さじというのは、それほど多くは食べられないけど少しずつでいいからね という意味です。 そのようにしないとアレルギーになってしまうなどではありません。
大切なのは、なんでも「1さじから」としてしまうと全然進まないということです。1さじというのは、それほど多くは食べられないけど少しずつでいいからね という意味です。 そのようにしないとアレルギーになってしまうなどではありません。
管理栄養士

管理栄養士

なぜ野菜は複数種類を混ぜてもよいの?

初めての野菜を混ぜることに不安を感じる理由の一つは、食物アレルギーではないでしょうか。

食物アレルギーは、どの食品でも起こる可能性を完全に否定することはできません。
しかし、乳児期に原因となりやすい食品や、アレルギーの仕組みを食材別に知っておくと不安が薄らぎます。

乳児期の即時型食物アレルギーは、鶏卵・牛乳・小麦が多い

日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン2021」では、新たに発症した即時型食物アレルギーの原因食品について、0歳では鶏卵・牛乳・小麦が圧倒的に多いことが示されています2)。

即時型食物アレルギーとは、食べてから比較的短い時間で、じんましんや咳、嘔吐などの症状が現れるタイプです。

そのため、鶏卵・牛乳・小麦などを初めて与えるときには、何をどのくらい食べたのか把握しやすい形で、子どもの様子を見ながら進めることが大切です。

また、昨今ピーナッツやナッツ類を離乳期にあげる人もいます。あげる場合は、それらも少しにしておくほうが安心でしょう。

消化管アレルギーでは、牛乳や卵黄などが原因になることも

即時型とは別に、食べてから時間がたって嘔吐などの消化器症状が現れる「食物蛋白誘発胃腸炎症候群(FPIES)」などの消化管アレルギーもあります。

乳児では牛乳が原因となる例が知られています。また、離乳食に関連して、卵黄や大豆、米、小麦などによるFPIESも報告されています2)。

即時型と消化管アレルギーでは、症状の現れ方も原因食品の傾向も同じではありません。

野菜・果物のアレルギーには、花粉との関係があるものも

野菜や果物によるアレルギーには、花粉との交差反応によって起こる「花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)」や、ゴムとの交差がある「ラテックスアレルギー」があります。
ラテックスアレルギーは、バナナ・キウイなど限られた食材によっておき、これは加熱有無はあまり関係がありません。

一方で、多くの野菜のアレルギーはPFASといわれるもので、これは花粉に対するアレルギーがある人が、関連する野菜や果物を食べた際に、口の中のかゆみなどを感じることがあるものです2)。

花粉への感作が関係するため、離乳を始めたばかりの乳児に多い食物アレルギーとは、発症の背景が異なるんです。ただし、野菜によるアレルギーがすべて花粉と関係するわけではなく、乳児では起こらないという意味でもありません。

このように、食物アレルギーへの配慮は大切ですが、鶏卵や牛乳などと、にんじん・玉ねぎ・キャベツなどの野菜を、すべて同じリスクとして扱う必要はないでしょう。

つまり、アレルギーリスクが高くないものは、恐れず混ぜて使って構いません。野菜だけではなく肉などもそれほど多くはありませんのですべてを少しずつ食べさせてチェックする…という必要はありません。
絶対にアレルギーにならないということではありませんが、それをすることによる保護者負担や栄養欠乏のほうが心配です。
つまり、アレルギーリスクが高くないものは、恐れず混ぜて使って構いません。野菜だけではなく肉などもそれほど多くはありませんのですべてを少しずつ食べさせてチェックする…という必要はありません。
絶対にアレルギーにならないということではありませんが、それをすることによる保護者負担や栄養欠乏のほうが心配です。
管理栄養士

管理栄養士

初めての野菜は、複数種類を組み合わせても構いません

たとえば、次のような組み合わせでもよいでしょう。

  • にんじん+玉ねぎ
  • かぼちゃ+白菜+にんじん
  • にんじん+キャベツ+玉ねぎ

初めての野菜が複数入っていても、必ず別々に調理する必要はありません。
月齢や食べる力に合わせて、十分にやわらかくし、食べやすい形にしましょう。

もちろん、1種類ずつ食べる方法もよいと思います。それぞれの野菜の味を経験でき、もし食後に症状が出た場合にも原因を考えやすくなります。

1種類ずつでも、複数種類を混ぜてもよい。 野菜の進め方を一つに決めなくてよいのです。

ただし、食後にアレルギーを疑う症状があった場合や、医師から個別の指示がある場合は、その子に応じた対応が必要です。

離乳食 野菜 複数  初めて

保育園の食材チェックリストでは、野菜をどう確認する?

保育所では、食物アレルギーによる事故を防ぐため、家庭での食経験を確認しています。これは大切な取り組みです。

しかし、アレルギーへの配慮が必要であることと、すべての野菜を単品で何回も試すことは、同じではありません。

保育所の食材チェックは、食材を「チェックする食品」と「提供する食品」に分けます。
すべてをチェックさせる必要はありません3)。

「チェックする食品」は、家庭で複数回食べた日付を園に伝えます。

一方で「提供する食品」は、野菜など自宅でチェックが必要ないありません。乳児期ではアレルギーリスクが低いものだからです3)。

例えば、保育園の未食チェックリスト(食材チェックリスト)において
□玉ねぎ
□にんじん
□白菜・・・とチェックさせるようなことは基本的にはありません。

保育所の食材チェックリストについては、以前の記事で詳しくお伝えしています。

【関連記事】離乳食 食材チェックリストで考えたいこと:保育園入園

まとめ:野菜を「単品で試すこと」自体を離乳食の目的にしないで

野菜を複数種類まとめて煮たり、大人の料理から味付け前に取り分けたり、市販のベビーフードを利用したり…
離乳食の進め方には、いろいろな方法があります。

複数の野菜が入った料理を食べたなら、その野菜を食べた経験になりますので、例えば野菜を単品で食べる必要もありませんし、特に「白菜をまだ食べていないから、買ってこなくちゃ!」と無理に旬でもない食材を試す必要もありません。

離乳食は、食材チェック表のマスを一つずつ埋めるためのものではありません。

食品によって必要な配慮をしながら、野菜は複数種類を組み合わせる方法も取り入れて、赤ちゃんが食べられるものや味の経験を広げていけるとよいですね。

よくある質問

  • Q 離乳食で初めて食べる野菜は、1種類ずつ試さなくてもいいですか?
    A

    はい。初めての野菜を必ず1種類ずつ単品で試さなければならない、という決まりはありません。 にんじんと玉ねぎなど、複数の野菜を一緒にやわらかく調理して食べる方法もあります。
    ただし、初めからたくさん食べるのではなく、赤ちゃんの様子を見ながら進めましょう。

  • Q 「新しい食品は1さじずつ」と守らなくていいのですか?
    A

    その1さじとは、「少しずつ」という意味であり、量の決まりでもありません。また、アレルギーが強く出る可能性の高い、鶏卵・牛乳・小麦などを意味しています。野菜はこれらに該当しません。

  • Q 初めての野菜を2~3種類混ぜると、アレルギーが起きたときに原因がわからなくなりませんか?
    A

    複数の食品を一緒に食べたあとに症状が出た場合、その食事だけで原因食品を特定することは難しくなります。
    一方、乳児期の即時型食物アレルギーでは、鶏卵・牛乳・小麦などが主な原因食品です。すべての野菜をこれらの食品と同じように扱い、必ず単品で試す必要があるとはいえません。
    食後に気になる症状があった場合や、医師から指示を受けている場合は、個別に相談しましょう

参考文献

  1. 厚生労働省.授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
  2. 日本小児アレルギー学会.食物アレルギー診療ガイドライン2021 ダイジェスト版
  3. 相模原市.相模原市立保育所等 食物アレルギー対応マニュアル~調理・提供編~「離乳食の食材表」

著者のプロフィール

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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