卵の早期摂取の有効性が海外で証明!日本ではアレルギー重症児はなぜ減らない?
最近の離乳食のトレンドである「卵の早期摂取」。
アレルギーを防ぐために早めに食べ始めるという方法として「早期摂取」があります。
さまざまな研究(PETIT研究等)でわかってはいたものの、実際に減少を示すものは多くはありませんでした。
しかし、2026年6月、オーストラリアの大規模な研究で「アレルギーを減らす効果がある」と証明されました1)。
一方で、日本のデータでは、「卵の早期摂取を伝えて10年経てど、アレルギー重症な子は減っていない」という結果が出ています。
この違いは一体どこにあるのでしょうか?
そして保護者にどのように伝えていったらいいのでしょうか。
オーストラリアでは卵の早期摂取でアレルギーが劇的に減少!
オーストラリアでは2016年にガイドラインが変わり、「生後1年以内に卵をあげること」を推奨し始めました1)。
2026年6月、その結果を調べた研究が発表されました。
この研究によると、卵を食べ始める時期が平均8ヶ月から6ヶ月へと早まったことで、1歳時点での卵アレルギーの割合が9.2%から7.6%へと有意に減少したのです1)。
特に肌がデリケートで湿疹があった乳児たちにおいては、アレルギーの割合が約3割も減るという劇的な効果が認められました1)。
まさに「卵の早期摂取はアレルギーの早期摂取に有効であった」と言える結果です。

日本の現状:救急搬送される「アレルギー重症例」は減っていない?
しかし、ここで考えたいのは日本での調査結果です。
日本の国立成育医療研究センターが発表した最新(2026年)のデータでは、少し違う側面が見えてきました3)。
日本では2017年頃から早期摂取が提言されました。しかし、救急外来を受診するような中等症から重症の卵アレルギー患者数は、2022年以降も大きな減少が見られなかったと2026年1月に発表されていたのです3)。
女性
管理栄養士
オーストラリアの研究では、実際に卵の6か月からの早期摂取を「街全体のアレルギー児の数(発症率)」を見ているのに対し、
日本の研究は「救急車で運ばれるような重い症状(アナフィラキシーなど)」に焦点を当てています3)。
つまり、早期摂取で軽いアレルギーの子は減っているかもしれませんが、「救急受診が必要なほど強い反応が出てしまう子」を減らすまでには至っていないという現実があるのかもしれません。
なぜ重症化してしまうのか?「卵の加熱」?
日本でも2017年、PETIT研究において、湿疹のある乳児に対し、皮膚炎の治療を行いながら加熱卵を少量ずつ段階的に摂取した群では、1歳時点での卵アレルギー発症率が低下したことが報告されています4)。
このPETIT研究は、「卵を早く始めるとよい」ということでなく、「避けるよりも1歳より前に始めたほうがいい」ことが重要性を示した研究として知られています4)。
日本では卵の早期摂取が知られるようになりましたが、しかしながら重症患者が減っていないというのは、もしかすると「食べさせ方」に注意が必要なケースがあるのかもしれません。
卵アレルギーの大きな原因である「オボムコイド」という成分は、非常に熱に強いのが特徴です5)。
100℃で20分間加熱した「固ゆで卵」でも、アレルギーを引き起こす力が残っています5)。
ここで注意したいのが、調理方法です。
- しっかり加熱した卵・・・離乳食のスタートに推奨されています2)。
- 半生・加熱不足の卵・・・親子丼、フレンチトースト、アイスクリーム、マヨネーズなどは加熱が不十分なため、アレルギーを引き起こす力が非常に強いままです5)。
もしかすると、早期導入を意識するあまり、
まだ消化機能が未熟なうちに「加熱が不十分な卵」を急に多めに食べてしまったことで、重い症状が出て搬送されるケースも考えられるかもしれませんね。
ただし、日本で重症例が減っていない理由が「加熱不足の卵を急に食べたから」と断定できるわけではありません。救急外来を受診する背景には、摂取量、調理方法、年齢、湿疹の有無、すでに感作されていたかどうか、受診行動の変化など、さまざまな要因が関係していると考えられます。
たとえば、卵黄ばかりに気をとられてしまい、卵白がなかなかすすめられないことも理由かもしれません。
まとめ:ガイドライン通り、「離乳食ではしっかり加熱」
早期摂取はアレルギー予防にとても有効であることが、オーストラリアの研究で証明されました。
オーストラリアの研究では、ガイドライン変更後に卵を早く食べ始める乳児が増え、卵アレルギー有病率が低下したことが示されました1)。
一方で、日本の救急外来データでは、卵による重症の救急受診が明らかに減っているとはいえませんでした3)。
この違いは、早期摂取の効果がないという意味ではありません。
むしろ、卵の早期摂取は「ただ早く食べる」のではなく、
・湿疹など皮膚の状態を整える
・しっかり加熱する
・少量から始める
・急に量を増やさない
・半熟や加熱不十分な料理は慎重にする
という進め方が大切だと考えられます。
卵は、離乳食で不安になりやすい食品の一つです。
ですが、怖がって長く避け続けるのではなく、赤ちゃんの様子を見ながら、加熱されたものを少しずつ進めていくことが大切です。
つまり「授乳・離乳の支援ガイド」にある通り、「しっかり加熱した卵」を「少量から」というルールを守ることが何より大切です2)。
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卵は早く食べ始めるとアレルギー予防になりますか?
研究によって結果は異なりますが、近年は卵の開始を必要以上に遅らせないことが推奨されています。オーストラリアではガイドライン改定後に卵アレルギーの有病率が低下したことが報告されています。一方で、日本では救急受診を要する重症例の減少は明確には確認されていません。そのため、「早くたくさん食べる」のではなく、「しっかり加熱した卵を少量から始める」ことが大切です。
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離乳食の卵はいつから始めればよいですか?
「授乳・離乳の支援ガイド」では、生後5~6か月頃から離乳食を開始し、卵は固ゆでにした卵黄から少量ずつ進めることが示されています。アレルギーが心配だからといって長期間避け続けることは推奨されていません。赤ちゃんの体調が良い日に、少量から試してみましょう。
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どのくらい卵食べたら、卵クリアになりますか?
卵クリアという言葉は、ネットで保護者の方が「アレルギーがないことが証明された」「食べられるようになった」ことを意味する言葉として用いられますね。しかしながら、卵を始めたばかりの時期は、しっかり加熱した卵から進めることが推奨されます。加熱が弱い、親子丼や半熟卵、フレンチトーストなどは加熱状態にばらつきがあり、卵に慣れていない時期にはあまりおすすめできませんので、かたゆで卵だけで「卵クリア」とかんがえないようにしましょう。
参考文献
- Jennifer J. Koplin. Egg Allergy Prevalence Before and After Guidelines for Earlier Egg Introduction. JAMA Pediatrics. 2026年6月;e262080:(2026年6月13日 閲覧)
- 厚生労働省研究班. 授乳・離乳の支援ガイド. 厚生労働省. ;:(2026年6月13日 閲覧)
- 大西志麻ら. Trends in Emergency Department Visits for Food Allergy in Children Before and After Early Introduction Guidelines in Japan: A 10-Year Retrospective Study from a National Tertiary Centre. Clinical Experimental and Allergy,. 2026年2月;56(2). :(2026年6月13日 閲覧)
- Natsume O,Kabashima S, Nakazato J, et al. . Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. . Lancet.. 2017年1月; 2017;389(10066):276-286.(2026年6月13日 閲覧)
- 伊藤節子. 食物アレルギー患者指導の実際. アレルギー. ;58(11):1490–1496(2026年6月13日 閲覧)
著者のプロフィール

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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
記事
コラム2026年6月17日卵の早期摂取の有効性が海外で証明!日本ではアレルギー重症児はなぜ減らない?
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