保育園栄養士が語る!子どもが喜ぶおもしろい食育の取り組み

保育園での食育は、子どもたちが食の大切さや楽しさを学ぶ重要な機会です。

しかし、子どもたちに食育を効果的に伝えるには、工夫が必要です。
そこで、本記事では、保育園栄養士の視点から、子どもが喜ぶおもしろい食育保育園の取り組みを紹介していきます。

子どもが食育に興味を持つポイント

子どもが食育に興味を持つためには、以下のポイントが重要です。

子どもの五感を刺激する

子どもたちは、五感を通して情報を得て成長します。そのため、食育をする際には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を刺激するような工夫をすると効果的です。例えば、

・色や形を活かした料理にする
・音や香りを体験させる
・味や食感を確かめさせる
・食材に触れる機会を作る

などが挙げられます。

子どもの興味や関心を引きつける

子どもたちは、興味や関心のあることには積極的に取り組みます。そのため、食育をする際には、子どもの興味や関心を引きつけるようなテーマや内容を選ぶことが大切です。例えば、

*食材を子どもの好きな形に切ってみる

*子どもにとって身近な絵本で食材について話をしてみる

などが挙げられます。

保育園でできる食育活動のおもな種類

保育園でできる食育活動は下記のようなものがあるでしょう。


・ 子どもたちが食材を育てたり収穫する(栽培収穫体験食育)
・子どもたちが料理をする(調理体験食育)
・シェフや農家の方を招いて教室(講座)を開く
・ 食育に関する絵画や工作を展示する
・食べ物に関するお話しを絵本や展示で伝える
・ 箸やマナーなど食べ方を真似してみる

などが挙げられます。

他にもいろいろあるかと思います。

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まずはこれらを参考にして、各園でできそうなことを
いろいろ考えてみましょう

食育活動は、子どもたちが食材について楽しく学ぶきっかけになります。

食材を知ることで、食べたことがない食材などでも興味がでたり、食べてみようと思ったりできるので、「好きな食材を増やす」ことにつながります。

子どもたちが食材を育てたり収穫する(栽培収穫体験食育)

保育園の庭や畑で、子どもたちが自分で野菜や果物などを育てる取り組みは、近年増えてきています。子どもたちが自分で育てた食材は、特別においしく感じられ、食べ残しも減る傾向があります。また、食材の成長過程を間近で観察することで、食材に対する理解や興味も深まります。

子どもたちが料理をする(調理体験食育)

子どもたちが自分で料理を作る保育園もあります。
自分の手で料理を作ることで、食材の扱い方や調理の過程を学ぶことができます。

また、手を洗うなどの衛生管理も学ぶことができますね。

また、料理を作ることで、食に対する自信や意欲も高まります。

おもしろい食育、保育園の取り組み実例

さて、今回は、「シェフや農家の方を招いて教室(講座)を開く」についての実例1と、
「子ども達が食材を育てたり収穫する(収穫体験食育)」と「展示」を組み合わせた実例2をみていきましょう。

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ここからは、実際に行っているおもしろい食育保育園の取り組みを紹介していきます。

実例1)鮭の解体ショーと調理(羽村まつの木保育園)

毎年、園庭で鮭の解体ショーを行ない、全園児で観察しています。この園ではシェフではなく、園長と保育士の先生が行っています。

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園庭でおこなう理由

なぜ、園庭料理するの?と思われたかもしれませんね。

解体後のものをすぐに外で焼き、子供達に見てもらうことができる利点があります。

また、ホールがあってもなかなか全園児集合となると狭いところの方が多いですが、園庭だと全園児が集合することができます。
怖がる子は遠くから見ることもできます。

もし、部屋でおこなうと、いろいろ飛び散ったり匂いも残ったり、掃除が大変なので、園庭だとそういう手間がなく、すぐ通常の保育にうつることができます。

ただし、衛生面には注意を払う必要があります。

解体後、食べることを頭に入れて、衛生的に解体していきます。

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毎年やる理由

・年齢ごとに感じることが違う

乳児期は魚を見ることがメインとなっていますが、幼児期になると名称を覚えたり、疑問などが湧いてきます。去年との比較ができ、去年はこうだったのになんで?となる子もいます。

年齢ごとに感じることが違うので毎年おこなっても新しい発見があります。

・記憶も定着する

1回きりだとなかなか子供にとっては覚えられないものです。

しかし、毎年 鮭をつかって解体をすることで、魚の名前、鮭にはいくらが入っている、どういう特徴があって、切り身にするとこういう色なんだ…までが卒園する頃には身につきます。


実際に、魚はお店に行ってもなかなか切り身でしかみたことがなかったり、捌くところをみたことがなかったりする子もいますが、
このように魚の顔を見ること、全体を見ることで子どもにとって大切な食育になります。

このあとに絵本を読み聞かせするこでさらに定着していきます。

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実例2)栽培収穫ポスター(古淵保育園)

野菜を栽培して、ポスターにしています。

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ポスターにする理由

栽培するだけでは、その日の「芽が出た」などで終わってしまうことがあり、いつの間にか完成ということがあります。

土づくりから植え付け、水やり、間引き、雑草抜き、収穫などをすべて子どもたちと行ないますが、それを書き留めてポスターにすることで、植えて終わりではなく、日々野菜が育つ過程への興味を引き立たせることができ、記憶に残りやすくなります。

違ったものを栽培する理由

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なすとキュウリ など違うものを並行して栽培していきます。

種、苗、芋の違ったものを比べることで様々な栽培方法を通して毎日観察しながら違いを楽しむことができます。

最後まで飽きさせない「おもしろい」が続く工夫

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それぞれの野菜の収穫数を、子ども達が毎日確認してシールを貼るようにします。

「植えておわり」ではなく、最後まで、野菜の育つ過程を飽きさせない工夫がありますね。

まとめ

子どもが食育に興味を持つためには、一時的なイベントのようにして終わらせるだけではなく、継続性をもっておこなうことがいいでしょう。

子どもがおもしろいなと感心をもってもらえる仕組みづくりが大切です。

本記事で紹介した取り組みを参考に、保育園でも子どもたちが喜ぶおもしろい食育の取り組みをぜひ検討してみてください。

協力園

下記の園より情報、お写真提供をいただきました。ありがとうございました。

(鮭) 社会福祉法人 松栄福祉会 羽村まつの木保育園


(収穫ポスター) 社会福祉法人すぎのこ福祉会 古淵保育園 

著者

茅野陽
茅野陽
(東京都)
保育園栄養士として、離乳食、幼児食、アレルギー食に携わる。 子どもの食事に悩むママのために自身の子育て経験も踏まえ、保護者にも負担にならないようなアドバイス、レシピ提案を行っている。
管理栄養士として離乳食相談やコラム執筆、原稿執筆も多数。
調理担当書籍:西東社「まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食」「まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング幼児食」他
研修:保育園従事者研修 経験多数