はじめての離乳食「10倍がゆ」やつぶしがゆ
離乳食の最初のおかゆは10倍がゆでもいいの?どうやって作るの?10倍がゆはダメだと聞きました…などなど、情報がいろいろあることでしょう。
まず、結論から申し上げますと
「10倍でも何倍でもいいので、ドローっとヨーグルトのようにするおかゆ」
がつぶしがゆであり、離乳食の最初のおかゆになります。
そのことについてみていきましょう。
10倍がゆの水の量
米に対して水が10倍で炊き上げたものを「10倍がゆ」といいます。
10倍がゆの米と水の割合
米1:水10
例)米大さじ1:水150ml
10倍がゆのごはんと水の割合(ごはんから炊く場合)
ごはん1:水4.5
例)ごはん大さじ1 :水 大さじ4と1/2
離乳食の最初はつぶしがゆ
離乳食、最初のひとくち、何を食べさせようかなと悩みますよね。
授乳・離乳の支援ガイド2019年には、
つぶしがゆから始める。すりつぶした野菜等も試してみる。
厚生労働省研究班,「授乳・離乳の支援ガイド」2019年,P.34 [*1]
とありますので、つぶしがゆや、すりつぶした野菜などから始められるといいでしょう。
10倍がゆとつぶしがゆの違い
つぶしがゆとは、文字通りつぶしたおかゆであり、授乳離乳の支援ガイドでは、何倍とは示していません。
つまり、10倍がゆであっても5倍がゆであっても構いませんが、
トローっとヨーグルトのような硬さになっているようにしましょう。
つぶしがゆとは10倍がゆ程度のものをなめらかにつぶしたものを指しますが、
鍋や火の状態によっても水分量は変わりますので、つぶしがゆとは本来5倍がゆかもしれませんし7倍がゆかもしれません。
大切なのは、ポターっとヨーグルト状になっているかどうかです。
10倍がゆでもつぶしがゆでも野菜でもOK!
離乳食はおかゆから始めた方がいいのか、野菜から始めた方がいいのかと悩みますよね。
どちらでも構わず、ルールはありません。
おかゆでも、野菜でもお芋でも、始めやすいものから始めましょう。
授乳離乳の支援ガイドでも、何から始めるかは言及していません。
ただ、強いて言うなら
家庭の食習慣等を考慮した無理のない離乳の進め方、離乳食の内容や量を、それぞれの子どもの状況にあわせて進めていくことが重要
厚生労働省研究班,「授乳・離乳の支援ガイド」2019年,P.29 [*1]
とあるように、基本的に離乳食は「無理のない進め方」という理由から
「その辺にあるものをちょっと煮てあげたらいいよ」という意味や、
咀嚼の観点から米の場合は「つぶしがゆから始める」とされているだけです。
管理栄養士
つぶしたおかゆでもつぶしたお野菜でも、身近にあるものをあげればいいですよ。ただパンなどは塩分が強かったり、アレルゲンも含んだりするので、できたら最初はごはんか野菜か芋類がいいですね。
食品は、子どもが口の中で押しつぶせるように十分な固さになるよう加熱調理をする。初めは「つぶしがゆ」とし、慣れてきたら粗つぶし、つぶさないままへと進め、軟飯へと移行する。
厚生労働省研究班,「授乳・離乳の支援ガイド」2019年,P.32 [*1]
と書かれていますが、これは「軟らかいものを」という意味であり、
特に米に限定して話しているだけの文言なので、野菜でも米でも構わないでしょう。
野菜でも芋でも構いませんが、もし迷ったら 離乳食はつぶしがゆからはじめるのがいいでしょう。
海外では、オートミールから始めることもありますが、あえて特別に用意をしないという意味から、
身近にあるごはんをつぶした「つぶしがゆ」にしていますが、
このあたりは特に細かい決まりはありませんので、
オートミールがいいという場合はそれでも構いません。
10倍がゆ(つぶしがゆ)の作り方
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材料
- 米 30g(大さじ2)
- 水 150~300ml
作り方
- 米に水を加えて30分浸水させておく
- 強火にかけ沸騰したら火を弱め、弱~中火で途中で何度かかき混ぜながら茹でる(この時点で水分が少なくなるまで茹でる)
- ブレンダーやうらごし器でつぶす
おかゆの硬さが異なる条件
・鍋や電子レンジ、炊飯器など調理器具による違い
・加熱量、加熱時間の違い
・かき混ぜる回数の違い
10倍がゆは間違え?と思ったら考えたいこと
「10倍がゆでは、母乳よりカロリーが少ないから10倍がゆはよくない」という説があります。
これは、どこから生まれたのかというと、食品成分表という表から算出された33Kcalというところから来ているのでしょう。
たしかに母乳は61Kcalなので、おかゆのほうがカロリーが低いといえます。
たしかに、10倍がゆでは、カロリーは低いです。
しかし野菜はもっと低いです。離乳食はカロリー(エネルギー)のために食べているわけではありません。
火加減や鍋の種類によって違うので、あくまでもポターっとしたポタージュのようにすることがポイントです。
米1:水10の10倍がゆであっても、米1:水7の7倍がゆであっても、仕上がりの粘度によってカロリー(エネルギー)は同じです。
どれだけ蒸発するのか、浸水時間などもわからないため、一概にダメとはいえません。
離乳食はエネルギーだけを気にするのではなく食べる練習のため、食べやすい粘度にするように、水の量を調整してください。
カロリーが低いものの時に注意をしたいのは、
そればかりでおなかいっぱいにしない
ということです。
特に離乳食期は水や麦茶でお腹を膨らませてしまうのはよくありません。水分のとりすぎが心配です。
おかゆではスプーンであげるため、母乳と比較する意味はありませんが、
カロリーが低くなりすぎなら多すぎないほうがいいでしょう。
離乳食のおかゆ、つぶしがゆの目安
透明な水に米の粒が浮いているように見えるような10倍がゆでは、赤ちゃんが食べにくかったり、水分のところのカロリーが低かったりすることがあります。
全体的にトロ―っとヨーグルト状になっていれば、カロリーは母乳と大きくは変わりませんので心配はいりません。
管理栄養士
食品成分表からエネルギー量を調べたければ、その項目はどのように算出されているかを考え、場合によっては原材料と仕上がり量から計算できるといいですね。
10倍がゆでも7倍がゆでも最初はつぶすと食べやすい
離乳食のおかゆは、米1に対して水7-8倍くらいで作っても10倍で作っても「つぶしがゆ」です。
鍋の種類や火加減などで大きく変わってきてしまいますので、つぶしがゆが何倍であるかはなかなかいえません。
もっと詳しい理由などは当協会の離乳食アドバイザーの講座でもお伝えしてします。
「10倍がゆはいいか悪いか」ではなく、「つぶしたときにさらっとしすぎていないか」「食べられそうか」に注目したいですね。
参考文献
[*1]厚生労働省,授乳離乳の支援ガイド,2019
[*2] 文部科学省,日本食品標準成分表,2020
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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