離乳食の豆腐 いつからどのようにあげる?開始時期と進め方
離乳食をはじめるときに、おかゆや野菜を試してみたら、最初の頃に試してみたいのが豆腐です。
なぜ、そのようにいわれているのか、いつからどのように豆腐をあげたらいいのかを、管理栄養士が説明します。
離乳食の豆腐はいつから食べさせていい?
離乳食の豆腐は、生後6カ月頃からはじめるといいでしょう。
これは、生後5カ月頃にあげるのが絶対ダメということではありません。日本では授乳離乳の支援ガイドで、離乳食は生後5-6カ月頃からはじめる」としています1)が、WHOの補完食では「食事は6カ月頃からあげる」としています2)。
離乳食におすすめの豆腐
豆腐には絹ごし豆腐と木綿豆腐がありますが、離乳期にはどちらが良いのでしょうか。
離乳食期におすすめの豆腐は、充填豆腐や絹ごし豆腐でしょう。もちろんすべての豆腐がおすすめですし、食べられます。どのような豆腐をどんな基準で選べば良いかご紹介します。
絹ごし豆腐
絹ごし豆腐は、やわらかいので離乳食におすすめです。舌でもつぶすことができます。だいたい5㎜~1㎝くらいの厚さであれば赤ちゃんの舌でつぶれますので、食べやすいです。舌でつぶせない離乳初期(5-6カ月)であれば軽くつぶしてからあげましょう
木綿豆腐
木綿豆腐は、すこししっかりした食感で茹でるとすこし弾力が残りますので、離乳後期(9カ月以降くらい)におすすめですが、別にそれ以前に食べられないというわけではありません。
赤ちゃんは食感などでも好みが変わりますが、それは時期によってころころ変わりますので、いろいろ試してみてくださいね。
充填豆腐
充填豆腐はパックなどにいれてから固めるタイプのものです。
見極めのポイントは、品名にも書いてありますが、パックに水が入っているか否かでみるとわかりやすいでしょう。パックに水がはいっておらず、ぴったりパックの中につまっているのは充填豆腐です。
充填豆腐はそのままでも使いやすく、また最近では小さいパックもでているのでおすすめです。
離乳食ちょっと足りなかったかな?と思ったら小さな充填豆腐をあけて、ちょっとだけあたためてあげられるので便利でしょう。
この商品は、1個が35gになっているので、ちょうど離乳中期や離乳後期の1食分にぴったりの量なのも嬉しいですよね。
大豆の遺伝子組み換え
大豆は、遺伝子組換えにより、農作物等の改良の範囲の拡大や改良期間の短縮等ができるようになりました3)。しかし、遺伝子組み換えについては、乳児の使用はご不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
現在日本では、「遺伝子組換え」や「不分別」などと表示義務になっているので、心配な場合はこの表示をみて判断してもいいかもしれませんね。
離乳食の豆腐の量と進め方
離乳食時期の豆腐の量はどのくらいなのでしょうか、時期別にみていきましょう。
まず、離乳期によって、このくらい・・・という数量ではなく、お子さんの食べる具合にあわせてもらっていいものです。例えばたくさん動けばお腹がすきますし、母乳やミルクが足りなければお腹がすくものです。ですので、あくまでも豆腐はどのくらい?という量は「目安」にすぎません。
離乳初期の豆腐の目安量
離乳初期で初めて食べる数量に、目安量はありません。
しかしたくさんに一度に食べるのはなかなか難しいですし、苦手だったり、はじめての味にびっくりしてしまったりするので、豆腐はまず少しだけにしておくと安心かもしれませんね。
特に目安量はありませんが、初めて食べるときは小さじ1程度にするのがいいかもしれません。
離乳初期での調理方法
豆腐を茹でてからスプーンの裏などでつぶしたり、裏ごしをしてみましょう。トロ―っとヨーグルト状になるといいですね。
離乳中期の豆腐の目安量
離乳中期(7ヶ月-8ヶ月)の豆腐の目安量は、30-40gです。
離乳中期というのは、月齢を指したり、食べる機能を指したりしますので難しいところですが、生後7-8ヶ月頃になると、からだも大きくなり、食べることにも慣れてくるので1回で30~40gがいいでしょう。これを超えて食べたからといって体になにかが起きるわけではありませんが、もし2倍以上食べるという場合には、野菜や穀類も食べたかな?とか母乳やミルクも飲んでいるかな?などと考えてみられるとより良いかもしれませんね。
離乳後期の豆腐の目安量
離乳後期(9ヶ月-11ヶ月)の豆腐の目安量は、45gです。
離乳食と母乳やミルクからとるエネルギーの比率がだいたい、半々になるのが望ましいこの頃は、食べる量も増え、1回45gくらいの豆腐を摂るのが望ましいでしょう。
さきほどと同様、この量を超えてもなにかが起きるわけではありません。
食事バランスがなんとなく1週間くらいでみてとれていて、湿疹や便などに異常がなければ問題ないでしょう。
離乳食の豆腐の量は、なぜ肉とは違うのかなどについては、離乳食アドバイザー講座でご説明しています
離乳期は豆腐を加熱したほうがいい?
大人は生で食べることもある豆腐ですが、離乳食に用いる場合はなるべく火を通して使いましょう。
火を通す理由は、衛生面です。
新しくパックをあけたてであれば、そのまま食べることができます。
しかしながら、豆腐は冷蔵庫に保管してあることが多いので、そのままでは赤ちゃんには少し冷たいものです。
そのような時には、豆腐は少しだけ温めるといいかもしれません。
豆腐のアレルギー
豆腐は、大豆製品なので、大豆アレルギーの場合は食すことができません。
豆腐のアレルギー(大豆アレルギー)はどのような心配があるのかみていきましょう。
大豆アレルギーは注意
豆腐の原材料である大豆は「アレルギー特定原材料28品目」に含まれています。大豆は、表示義務ではなく、アレルギー表示は推奨品目です4)。
大豆は商品の原材料に使っていても、アレルギー表示がされないことがあるので、もし大豆アレルギーの場合には注意深く原材料名を見る必要があります。
大豆アレルギーの種類
大豆アレルギーは、大きく分けて乳幼児期に発症する即時型症状、もしくは学童期以降に発症するカバノキ科花粉症に伴う花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)の2つにわかれます5)。もっといえば、成人になってからサーファーなどにみられる納豆アレルギーも発表されており、それぞれ別の原因になります。
離乳食における大豆アレルギーの心配は?
日本の乳児に多いアレルギーは、鶏卵・牛乳・小麦です。
ほとんどがこれらに該当しますが、これらの次にみられるアレルギーの1つが大豆アレルギーです。
しかしながら離乳食期にすでに大豆アレルギーであると明確にわかることはほとんどないと思われますので、医師に必ず相談してから判断するようにしましょう。
大豆アレルギーになりにくい離乳食のあげ方は?
大豆アレルギーは、乳幼児期に発症する即時型症状であっても、現時点では、どのように食べたからアレルギーにならない/なりにくい ということは発表されていません。
ただはじめて豆腐を食べる時に、たくさん食べてしまうと、赤ちゃんの不調が強くでてしまうことも考えられることから、だいたい小さじ1くらいでとどめておくと安心かとは思います。
それ以上食べたからといって、アレルギーが出やすいということはありません。
*湿疹などがある場合には、医師からの薬をしっかり塗り、指示を仰ぎましょう。
離乳食は豆腐で鉄補給
豆腐は、鉄が含まれています。
離乳食時期には鉄をしっかり摂りたいものです。おかゆだけではなく、青菜、豆腐、卵黄、肉類、魚類もしっかり食べましょう。
何か鉄補給のために特別なものを食べるのもいいですが、まずは普通の食材からしっかり食べていかれると今後もずっと長く鉄補給ができそうですね。
豆腐の離乳食レシピ
舌でつぶせる離乳中期(7ヶ月頃~)なら、「鮭と豆腐のミルク煮」はいかがでしょうか
「材料2つだけ!オートミールと豆腐のおやき」の記事で解説していますが、豆腐はなかなか手づかみしにくいものですが、これなら手づかみできるのでおすすめです。
豆腐は冷凍できる?
豆腐を冷凍保存することは可能ですが、離乳食の場合は注意が必要です。
豆腐は冷凍すると 、黄色くなり、水分が抜けて食感が変わってしまいます。いわゆる「凍り豆腐(高野豆腐)」のような食感になります。
離乳期の赤ちゃんには、この食感は少しボソボソした感じが苦手かもしれません。離乳後期以降であれば食べられるかもしれませんが、料理形態によってはおいしくなくなってしまうので、あまりおすすめは出来ません。
高野豆腐は離乳食であげてもいい?
離乳食で、赤ちゃんに高野豆腐はあげても大丈夫です。しかしながら、硬くて弾力があることから、大きさが大きかったりすると咀嚼力によっては喉につまってしまうこともあるかもしれないので注意しましょう。
ある程度形がある状態であげるときには、みじんぎりにしたりして試したあとにするといいかもしれませんね。
高野豆腐は何ヶ月から食べられるようになるというような目安はありません。大豆製品は5-6カ月以降であれば、いつから食べても問題ありませんが、最初のうちは柔らかい豆腐のほうが圧倒的におすすめなので無理に上げる必要はないでしょう。
まとめ
豆腐は、口当たりが滑らかで栄養価も高く離乳食では使いやすい食材の1つです。
ちょうど舌でつぶれる固さなので、特に生後7-8ヶ月頃の舌で食物をつぶせるようになった赤ちゃんにはぴったりです。
アレルギーは鶏卵、牛乳、小麦ほどは多くはありませんが、大豆アレルギーがみられることもあります。加熱したからといって大豆アレルギーが弱まるわけではありませんが、衛生的に少し加熱しておくと安心かもしれませんが、衛生的であるなら冷たくなければ食べることができます。
冷蔵庫に小さな豆腐などを用意しておくと、いざというときに便利ですのでおすすめですよ。
*この記事は、レシピ提供を目的としているものであり、医療や診療ではありません。気になる症状がありましたら、医療機関にご相談ください。
参考文献
1)厚生労働省,授乳離乳の支援ガイド2019年改定.2022年10月20日閲覧
2)World Health Organization. (2000). Complementary feeding : family foods for breastfed children. World Health Organization.2022年10月20日閲覧
3) 消費者庁,遺伝子組換え食品.2022年10月20日閲覧
4) 消費者庁,食物アレルギー表示に関する情報 .2022年10月20日閲覧
5)海老沢元宏ら,食物アレルギー診療ガイドライン2021,P.173,協和企画
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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