キウイはいつから食べられる? アレルギーは?
離乳食期につきものの悩みは、「この食材はいつから食べられる?」というものですよね。
今回はキウイフルーツは、赤ちゃんに好ましいのか避けた方がいいのかということを考えてみたいと思います。
いつから食べられるか心配になったとき考えたいこと
こういったお悩みのすべての基本として頭にいれていただきたいのが、
・個人差がある
・同じ子でも体調によって差がある
・食材は季節や鮮度によっても変化があるものがある(特に魚や肉)
ということです。
一概にはいえませんので、ちょっと何かが疑わしいなと思ったら加熱したものを少しだけあげておくというのがいいでしょう。
また、
「どうしても食べるものがそれしかないのか」
「あげる必要があるのか」
ということも判断基準になるでしょう。
赤ちゃんの口腔状態や消化を考えて
赤ちゃんの口腔機能や胃腸は完全ではありませんので、便(ウンチ)としてそのままでてくることが多くあります。
今回、考えてみる「キウイ」も同様で、種が消化できずにでてきたり、食物繊維などが便に影響することもあります。
大人には食物繊維が豊富なことは利点が多いですが、消化吸収能力が乏しい赤ちゃんにはまだ多すぎないほうがいいこともあります。適度にとりいれるということはとても難しいですが、目安量よりも何倍も多くとったり、1つの食品だけに偏ったりすることがないようにしましょう。
アレルギーを考えて
乳幼児にとって初めての食品をあげたいなと思ったら、アレルギーのリスクが高そうかどうかを考えると心構えがかわるかもしれません。
乳児で多いアレルギーの原因食材は、鶏卵・牛乳・小麦粉製品となり、そのうちとても鶏卵が多いので注意が必要です。
キウイはいつから食べられるのか。加熱は必要?
キウイは果物の王様といえるくらい、ビタミンCが豊富で、食物繊維が多いのが特徴ですが、赤ちゃんには積極的にあげたいという食材とは言いにくい点もあります。
いつから食べられるのかということをいえば、諸説でてくるとは思いますが、下記を理解してからあげるといいでしょう。
キウイをあげるときの月齢別ポイント
理由はさまざまありますが、まず、あげるときのポイントを月齢別に結果からみていきましょう。
離乳初期(5‐6ヶ月頃)
まず、離乳初期にあげてはいけないのかというとそうではありませんが、他にも食べてみたい食材としてにんじん、じゃがいも、たまねぎ、ほうれんそう、かぼちゃなどがあげられるので、それらを食べ慣れることを優先し、キウイはあげなくてもいいでしょう
離乳中期(7~8ケ月)頃
あげたなくてもいいですが、あげる際には加熱をしてからジャムのようにとろーっとしてからあげると食べやすいでしょう。ヨーグルトなどと混ぜてもいいですが、酸味が気になるかもしれません。
離乳後期(9~11ヶ月)頃
あげなくてもよいが、あげる際には 加熱すると安心です。
1歳頃から
生でもいいですが、無理させず少しずつ。ベーっと出したら無理強いをしないでください
次に、その説明をしていきますね
キウイは加熱をしたほうがいい?その理由
キウイは乳幼児期には加熱をしてあげたほうが安心です。何歳までという目安はありませんが、それぞれの状況に応じて判断してみてください。1歳までは加熱をしたほうがいいかなと思いますが、年齢や月齢だけにとらわれないでくださいね。
アレルギーの原因の1つの除去
果物は稀に口腔アレルギー症候群(OAS=oral allergy syndrome)が生じます。
口の中や喉がかゆくなったりするほか、口の周りや手に触れるとかゆくなったりします。
これはおもにに学童期以降の大人などにみられるものであって、乳児期期にはそれほど多くはみられません。
これはいわゆる食物アレルギーとは別分類とされることもあり、わかりにくいものですが、体内のIgE抗体(アレルギーに反応するもの)が関与していることは同じです。
この口腔アレルギー症候群は、主に生の果物や野菜と直接接した場所でアレルギー症状が生じ、腸に達するころには壊れたり、加熱することによって壊れやすいのが特徴です。
中でも、花粉と似たタンパク質を含む場合に発症する「花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)」では、シラカバ花粉とキウイやマンゴーなどの交差があるといわれています。
つまり、加熱することで、アレルゲンが弱まりますので、最初は加熱をして様子をみてからのほうが安心なのですが、これは乳児期には、あまりみられません。
キウイには加熱をしても減らないアレルゲンもある
また、キウイはバナナなどと同様に、加熱すると弱まるアレルギーだけではなく、ラテックスアレルギー(ゴムなどと交差がある)ものもあります。この場合は、加熱をしても減りません。
加熱すれば大丈夫なのかそうでないのかはアレルギーのタイプによります
乳児もキウイでアレルギーが起こるのか
平成23年の即時型食物アレルギー全国モニタリング調査によると、鶏卵、乳製品、小麦、ピーナッツの次に果物がランクインされていて、全体の4%を占めています。
乳児の場合は、果物のアレルギーの割合は高くはありません。
しかしこれは乳児で生の果物を摂取する率が低いことも考えられることも考えられます。
しかし、キウイやバナナは口腔アレルギー症候群だけではなく、全身症状がでやすい食べ物でもあります。
乳児期には主にこちらの全身症状がでることが多いとされているので、口腔まわりだけではなく、キウイを食べた後などは全身症状もあることを念頭においておくといいでしょう。
アレルギーを起こす可能性のある食品は避けるべきか
以上のように、キウイは食物繊維が多く、アレルギーを起こす可能性のある食品です。
しかし、可能性があるからといって避けていては、食べるものが限られてしまい、栄養も偏ってしまいます。
お子さんが元気なときに、加熱したものを少しあげて様子を見ればよいだけで、必要以上に避けたりしないようにしたいですね。
キウイで口の中に違和感!?タンパク質分解酵素
キウイやパイナップルなどには、タンパク質を分解する酵素が多く含まれています。
例えばお肉などをやわらかくするときにキウイやパイナップルと漬け込んだりすることがあるのをご存知でしょうか?
このたんぱく質の分解酵素の働きにより、口の中にいれると舌や口腔内に違和感が生じることがあります。特に乳幼児は違和感を感じやすいので、嫌がるお子さんは多いでしょう。
健康を害するものではありませんので、あげても大丈夫ですが、無理強いしてまで食べさせてい待っては将来的な食物嫌悪学習につながりかねませんので、嫌がる場合は、あえてあげなくてもいいでしょう。
この酵素は加熱すると軽減するので、加熱してからあげると食べやすくなりますよ
キウイの酸味をやわらげるための加熱
キウイは少し酸っぱいと感じることもありますので、加熱をしてペースト状にすると食べやすくなったりすることもありますので、そのために加熱をしてもいいかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。キウイは乳幼児にあげてはいけないわけではありません。
むしろ栄養もあっておいしい果物です。しかし口腔内に違和感があったり、嫌そうにしていたら無理にあげる必要はありませんので、加熱をしてみたり、また時期をみてみたりして、楽しめる時期までまってみてもいいですね。
参考文献
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
著者の記事
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