つわり中の食事術と栄養のポイントを管理栄養士が解説

つわりとは、妊娠初期に多くの妊婦が経験する吐き気や嘔吐のことを指します。
このつわりの時期に大切な食事と栄養について、管理栄養士、母子栄養指導士として解説します。

まずはじめに、つわりでつらい方にお伝えしたいことは
「食べられるものをなんでもいいから食べましょう」になります。
この理由や、それができた次に、考えていきたいことなどを解説します。
つわりの原因・期間・症状
妊娠初期の悪心・嘔吐がみらるのは、約半数以上といわれています1)ので、
つわりがあることは異常ではありません。
しかしながら、体重減少や脱水、電解質異常がみられる「妊娠悪阻」は全妊婦の 0.5~2% みられます1)。
悪化して、妊娠悪阻までにならないように、
少しでも水分や栄養を摂っておくことが大切です。
つわりの原因
つわりの主な原因は、妊娠中に体内で急激に増えるホルモンにより、
感覚伝導路の神経細胞が影響を受けて、消化器系が敏感になって
吐き気や嘔吐が引き起こされるとされていますが、
詳細なメカニズムは解明されていません。
つわりの期間
つわりは通常、妊娠初期の6週目から始まり、多くの場合、妊娠12週から16週ごろにはおさまってくるとされています。
しかしながら、つわりの期間には個人差があるので、中には妊娠中期や後期まで続くケースもあります。
個人差のある症状
つわりの症状は個人差がとても大きいので、なんともいえません。
中には、全くつわりを感じない妊婦さんもいますし、第一子と第二子で異なることもあります。
1人目は産む直前までずっとつわりのような症状が続き、とてもつらく、ずっと寝ていました。しかし2人目はほとんどつわり症状がありませんでした。2人とも生まれてからの差はありません。 個人差があるという参考にされてみてくださいね。
1人目は産む直前までずっとつわりのような症状が続き、とてもつらく、ずっと寝ていました。しかし2人目はほとんどつわり症状がありませんでした。2人とも生まれてからの差はありません。 個人差があるという参考にされてみてくださいね。

管理栄養士
つわりが長引いたり、症状が重い場合でも、
赤ちゃんの発育には大きな問題がないことが多いので、とれる限りの水分と食事を摂るようにしましょう1)。
つわり時期に気を付けたい食事と選びたい食品
まず、つわりを妊娠悪阻(激しいつわり)にさせないためにも、できる限り水分や栄養を摂っていく必要があります。
つわり時期にもっとも気を付けたい食事と水分摂取
細かい栄養素を気にするよりも、まず生きていくための水分補給と栄養補給と考えましょう。
細かい栄養素は考えすぎないでくださいね。
細かい栄養素は考えすぎないでくださいね。

管理栄養士
とにかく少しでも食べ物と水分を
産婦人科診療ガイドライン 2020年版では、妊娠中の悪阻の緩和や治療のためには、
「心身の安静のために休養を取ることが症状緩和につながることなどを説明し、少量頻回の食事摂取と水分補給を促す」としています1)。
食欲にムラがあったりするつわりの時期は、少しずつでもいいので、こまめに食べられる物をしっかり食べましょう。
しっかり休みつつも食べやすいものを食べていってくださいね。
しっかり休みつつも食べやすいものを食べていってくださいね。

管理栄養士
つわりでも食べやすい?食事の一例
下記はあくまでも一例です。もしよければ参考にしてみてください。
少しでも「食べる」ことを意識したものになります。
においを少なくするために冷やす!
まず、つわりのときは食べられる物であれば食べていただいて構いません。理由はさまざまですが、そのうちの1つがにおいによるものです。
「妊娠初期には、においの変化を感じた」とした妊婦さんは約1/3であるものの、
実際に嗅覚を調べても変化はみられないという調査があります2)。
面白いですね。実際に嗅覚は変わっていないということなのでしょうか。
嗅覚自体が変化をするのか、今までの経験や好みなどへの変化なのかは、
解明されていませんが、
いずれにしても経験則として、多くの妊婦さんが、においによって食べられるもの、食べられないものがあると語ります。
このことから、においが気になる場合は、
においが発生しにくくするために冷やして食べるのも1つの方法です。
温かいと湯気とともににおいを強く感じるので、冷やすといいでしょう。
例:冷やしみそ汁
氷を加えたり、冷蔵庫にいれて冷やしみそ汁にしてみるといいでしょう。
通常のお味噌汁を冷やすと塩分を薄く感じてしまいがちですが、
できたらそのまま少しずつでも口にできるといいですね。
インスタントなどでも構いませんので、とにかく摂ることで適度な塩分と水分を摂取できます。
もちろん塩分ばかりにならないように、
過剰な味付けや水分のすべてをみそ汁にするようなことがないように心がけてください。
例:冷やしお茶漬け
お茶漬けも、氷をいれて冷やして食べてみるといいかもしれません。
ささっとすすって食べられるのでごはんでエネルギー補給になるのと
同時に塩分や水分の補給にもなりますね。
下の写真は「冷や汁」と呼ばれるもので、
だしをきかせて豆腐やきゅうり等を加えたものをごはんにかけるものですが、
味噌汁を冷たくしても同じように食べることができます。
水分だけではなく、エネルギーも摂りたいので食べられる物を
とにかく食べるという意味での1つのアイディアです
コンビニでも手に入るオススメ品
例:冷製スープ
野菜のポタージュを冷たくして食べるのもいいでしょう。冷蔵庫にいれておくのもいいですね。
コンビニエンスストアなどでも野菜スープや
ポタージュが売られているので使ってみてもいいですし、
冷凍野菜などをミキサーやブレンダーで牛乳や顆粒コンソメなどと一緒になめらかにしてもいいですね。

例:冷凍果物を使ったスムージー

バナナを自宅で冷凍しておいたり、
市販の冷凍ベリー類などを使ったスムージーも冷たくて栄養・水分が摂れます。
最近ではコンビニエンスストア等で、
作り立てのスムージーが飲めるところもあるようなので試してみるのもいいかもしれませんね。
つわりの症状がひどい場合、悪阻と呼ばれることもあります。
悪阻が重い場合には、医師の助言を受けることが重要です。
つわりの時期には酸味が良い!?
よく、妊娠すると酸っぱいものが食べたくなるなどといわれますが、妊婦30名を対象とした研究では、
酸っぱいものよりもフライドポテトを食べたくなる人が意外と多いとされています2)。
同研究では、妊娠初期に甘・塩・苦味の感度が低下したが、酸味は不変だった2)。とも結論付けられており、
この研究だけではわかりませんが、特に酸味を好きになるということはないのかもしれません。
個人差が大きく、まだまだ一概にいえることはないようです。

管理栄養士
つわりにおける食事バランスとは
まず、食事バランス、栄養バランスは摂るにこしたことはありませんし、それができたらパーフェクトです。
しかしながら、つわりの症状によっては、そこをパーフェクトを目指すのではなく、
まず母体やお腹の赤ちゃんのことを考え、
生きていくためのエネルギー(カロリー)と水分をとっておくことが何よりも大切です。
バランスよく食べるというストレスを持たないこと
「妊娠したから、赤ちゃんのためにバランスよい食事を食べなきゃいけない」
「必要な栄養は何!?」
と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
この記事にたどり着いていただいてよかったです。
まず、つわり症状がある方へ、管理栄養士としてお伝えします。
つわりが原因で食事が摂りにくい時期は、
無理をせず、食べられるものから少しずつ摂ることが大切です。
「バランス」を意識しすぎて、
あれもダメ、これもダメと食事摂取を避けてしまい、栄養不足になってしまうことは避けたいものです。
食べるのが大変なようなつわりの場合は、
バランスよく食べるというストレスを持つのではなく、食べられる物を少しずつ とってください。
妊娠初期に必要な葉酸
妊娠期はいろいろなビタミンやミネラルが必要ですが、まずつわりがひどいようでしたら、
とにかく食べること、少しずつでも食べられることを意識します。
次に、できるなら、葉酸をサプリメントで摂ってみましょう。
食べられない・水分摂れない場合は産婦人科へ
いろいろなことをしてもどうしても食べることができない場合は、産婦人科に連絡をしましょう。
「食事や水分が摂れない」
「体重が妊娠前に比べて5%以上または3キロ以上減っている」などの場合は、
妊娠悪阻の可能性があります。
軽視せず、必ず産婦人科にご相談ください。
つわり中に食べたほうがいいもの
あまり気にせずに、食べられるものを食べてほしいのですが、気になるようでしたら、食べたほうがいいかな?と思うものをいくつかピックアップしてみます。なお、つわりが改善するとはいいきれないので、参考程度にとどめておいてください。
つわりが軽減するかも?!バナナと生姜
まず、他の記事などで、ビタミンB6を摂りましょう。生姜を食べましょう などと書かれていたかもしれません。
そんな時は、吐き気に有効とされる「ビタミンB6」や、嘔吐改善が期待できる「ショウガ」がおすすめではあります。
たしかに、つわり症状の緩和に、ビタミン B6(ピリドキシン)を経口投与することが有効であるとまとめた、無作為化比較試験があります3)。
ビタミンB6は医療的に摂取するのと食事で摂るのとは濃度が異なりますので効果のほどはわかりません。
しかしながら、ビタミンB6をバナナは、皮をむいただけで手軽に食べられ、ソファーに寄りかかってなどでも食べやすいですし、
小口にして冷凍すると口の中がひんやりして食べやすいアイスクリーム状にもなるのでおすすめです。
【関連レシピ】バナナのフローズンヨーグルトアイス(外部リンク:ピジョンInfo )
また、ショウガ粉末が有効としている試験もたくさんあります。
また、ショウガはいわゆる、漢方的に効果が昔からいわれているものです。
これも効果を期待するということよりも、
口腔内がさっぱりするので、ジンジャーシロップを水や炭酸水で割るのもいいかもしれませんね。
つわり中に食べてはいけないもの
エナジードリンクとアルコールはNG!
つわり中は、何でも食べて構いませんが、エナジードリンクやアルコールは飲まないようにしましょう。
元気がないからと、飲みたくなりますが、エナジードリンクの多くはカフェインを多く含みます。
妊娠中にはコーヒー1-2杯程度のカフェインなら問題ありませんが、エナジードリンクはたくさん含むので、やめておきましょう。
また、アルコールも避けましょう。いかなる理由があっても妊娠中にアルコールは避けます。
同様に喫煙も避けてください。
不衛生なものも避けましょう
生肉などは、通常も食べませんが、特に妊娠中は生焼けのものは避けておくといいでしょう。
つわり時期は、食べないとは思いますが、もし食べられるようになった場合でも、生焼けの肉などは避けるといいでしょう。
油や砂糖が多いものはダメなの?
まず、食べるのも困難な場合は、
油でも砂糖でもエネルギーが補完できるので、摂って構いません。
しかし、食べるものが選べるような場合には、
油や砂糖が多くパクっと食べてしまいやすいものは避けておくといいでしょう。
油や砂糖は、それだけでエネルギー(カロリー)があり、お腹いっぱいになりがちですが、
ビタミンやミネラルを含まないことが多いためです。
例えば、フライドポテトやシュークリームなどがあげられますが、
ビタミンやミネラル、タンパク質などが少ないような気がしますよね。
そのもの自体が悪いということではなく、野菜や肉類などもできる限り摂ってほしいのです。
ですので、例えば、
先ほどご紹介したスムージーなどで糖分をとることは、
決して悪いことではなく、
果物に含まれるビタミン類や、牛乳に含まれるタンパク質やミネラルも補えるので、オススメです
アレルギーや赤ちゃんが病気にならないようにと気になる場合
お腹の赤ちゃんが、卵や牛乳などのアレルギーになってしまうのではと、
妊娠中にアレルゲンを避けることは予防にはならないとされています。
妊娠中は、胎児のアレルギーや病気発症などを気にして、必要以上な食事制限をおこなわないようにしましょう。
まとめ
妊娠中の食事は、バランスが重要ですが、それ以上に「食べること」自体が大切です。
つわりなどで食事が摂りにくい時期があっても、無理をせず、できる範囲で栄養と水分を少しずつでいいのでとってくださいね。
食事や栄養面をプレッシャーに感じすぎず、ゆったりした気持ちで過ごすことも大切です。
どうぞ、この特別な時期を大切に、そして楽しくお過ごしください。
参考文献
1)公益社団法人 日本産科婦人科学会,産婦人科診療ガイドライン―産科編2020,p108(2024年5月20日閲覧)
2)柴田 美雅ら,妊娠悪阻(つわり)と嗅覚・味覚の変化-性ホルモンと微量元素の検討,基盤研究(C)24592585:科研費報告書,2014
著者のプロフィール

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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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