取り分け離乳食とは?そのコツとレシピ
取り分け離乳食がいいとは聞くものの、実際にどのように取り分けたらいいのかわからない。
そもそも何から取り分けるのかわからないという声も聞きます。
今回は取り分け離乳食という言葉の解説と、そのメリットや気を付けたい点、レシピについてご紹介します。
「取り分け離乳食」とは?
取り分け離乳食とは、親子のメニューが一気にできることが
利点の離乳食の作り方の一般名称です。
取り分け離乳食という名称は、昭和から「大人の食事からの取り分け離乳食」のように使われており、
離乳食として望ましい手法の1つとされています。
「取り分け離乳食」については、
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2020年改定)」には、下記のように書いてあります。
離乳食に慣れ、1日2回食に進む頃には、穀類(主食)、野菜(副菜)・果物、たんぱく質性食品(主菜)を組み合わせた食事とする。また、家族の食事から調味する前のものを取り分けたり、薄味のものを適宜取り入れたりして、食品の種類や調理方法が多様となるような食事内容とする。1)
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)1)
つまり、1日2回食に進む頃になると、家族の食事から取り分けていくのは、離乳食の作り方の1つであるといえます。
取り分け離乳食の利点は、赤ちゃんのためだけに離乳食を作るのではなく、
大人や兄弟の分も一緒に作れるという点があげられます。
母子栄養協会では、フリージング離乳食の本を多数だしていますが、
雑誌などで取り分け離乳食を多数出しています。
どちらもメリットがあるので、ぜひどちらも試してみてください。
母子栄養協会では、さまざまなところで取り分け離乳食についてレシピをだしています。
鍋でコトコト煮る他にも、電子レンジ、電子調理器、電気炊飯器などいろいろなもので取り分け離乳食が可能です。
その時に気を付けている ポイントをご紹介します。
取り分け離乳食で気をつけたいポイント
基本的に大人の食事も離乳食も大きな違いはありませんが、離乳食では少し気にしたいポイントがありますので以下のことは守れるといいでしょう。
1.卵、乳、小麦などは初めての時はしっかり加熱されたものを少しにする
乳児期にアレルギーが多いのは、卵、乳、小麦です。他にもナッツ類なども増えています。
このようなものを赤ちゃんにあげるときは少しにします。
特に卵はしっかり加熱することも重要です。例えば茶碗蒸しや親子丼、卵とじうどんなどの取り分けはなるべくしないほうがいいでしょう。
親子丼、茶碗蒸し、プリンなどは大人ものを取り分けて赤ちゃんがアレルギーになる場合も多いので、気を付けましょう。
他の卵料理がしっかり食べられるようになったら少量から試すといいですね。
2.アルコールが入ったみりんなどはしっかり煮る
赤ちゃんにアルコールが残っているようなものはあげないようにしましょう。
調理の工程で日本酒やみりん、しょうゆなどを使う場合は、しっかりグツグツと沸騰させるようにしましょう。
心配な場合は、とりわける前に日本酒やみりんは使わないほうが安心です。
3.調味料は少しにする
薄味であれば、大人と一緒に調味しても構いませんが離乳食をとりわけたときに「味がしっかりしているな」とは思わない程度の味つけがいいでしょう。
塩分%やしょうゆの量などを気にするよりも、実際に食べてみてから判断するほうがオススメです。
もしそれでも調味料の量が気になるなら、大人の普通の味付けの半分くらいを目安にしましょう。
4.にんにくや香辛料はとりわけた後にする
にんにくや香辛料は赤ちゃんにとっては刺激が強すぎますので、ごく少量にするか、離乳食用にとりわけた後に大人用に足すようにするといいでしょう。
5.ハチミツは使わない
1歳未満には加熱をしてもハチミツを使ったものはあげてはいけませんので、とりわける前にハチミツが入っているようであればとりわけないようにします。
取り分け離乳食のメリット
大人の食事と赤ちゃんの食事を別々に作るのは、子育てで忙しい家庭ではとても難しいものです。
赤ちゃんとの生活は食事だけではなく、おむつ替えやあやしたりとなかなか忙しいので、
食事作りにそこまで時間を割く必要はありません。
取り分け離乳食のメリットは、
大人ごはんをつくるついでに離乳食を作れるということです。
ポイント1:赤ちゃんのための材料を別に準備する必要がない
子育て中は、買い物も大変です。
赤ちゃんを連れての外出も、宅配をしたとしても大人の分はコレで、
赤ちゃんの分はコレ…など悩むことも大変です。
また、離乳食の分の食材を少しだけ買って、余らせるのはもったいないですよね。
取り分け離乳食であれば、
大人用と赤ちゃんの食材を同じにして中途半端に食材を余らせたりしなくてもすみます。
ポイント2:大人のメニューと一緒に下ごしらえができる
大人のメニューと一緒に、食材を切ってから茹でるというところまでの過程をするのがおすすめです。
例えば、根菜類などは特に茹でる時間に時間がかかりますので、
赤ちゃんの分と大人の分を別々に煮たり茹でたりするのは手間です。
取り分け離乳食なら、
茹でるところまで同じ工程であとは大人の分は味を付けるだけということができます。
また茹でるなどの工程がなくても、食材の下ごしらえ(皮むきなど)を一緒に行うだけでも時短につながります。
ポイント3:大人も赤ちゃんも健康的な食事になる
まず食材は赤ちゃんが食べられるものを優先的に考えて、
できる限り味付けは薄くすると家族全員で薄味になったり、
揚げ物が少なくなったり、食事バランスも必然的にそろって家族全員が健康的な食生活が送れるでしょう。
【関連記事】簡単とりわけ!炊き込みごはん(離乳食・幼児食・大人)
取り分け離乳食とフリージング離乳食、どちらがいい?
取り分け離乳食の種類は、
①未調理のまま食材を取り分ける
②加熱してから取り分ける
の2種類があります。
取り分け離乳食がいいのか、フリージング離乳食がいいのかは、
さまざまな事情によって変わるでしょう。
取り分けとフリージングを両方するものとして、
一旦大人のものとともに作ったものを取り分けて、冷凍するやり方もあります。
つまり、取り分けをしてからフリージングです。
ちょっとしたストックを作っておくと、
大人のものをとりわけできないような日にも赤ちゃんの離乳食として使えます。
フリージング離乳食のほうがいいのは離乳初期
取り分け離乳食よりも、フリージングの方が向いている月齢は「離乳初期(5-6ヶ月)」です。
この時は、1食あたりの量がとても少なく、ブレンダーやミキサーにかけにくいので、一度に数食分を作って冷凍するのが効果的でしょう
取り分け離乳食が便利な離乳完了期
どんどん大きくなって食べる量も増えてくると、
赤ちゃんのためにフリージングストックをたくさん作るのも大変になってきます。
1歳を超えた離乳完了期や幼児期は取り分けるのがオススメです。
例えば、鶏と野菜のトマト煮などを作ったときには、
鶏肉を炒めてから、ホールトマトと野菜、水を加えて煮詰めます。
加熱が終わって野菜や鶏肉が柔らかくなったら、離乳食用を取り分けて、
適宜キッチンバサミなどで小さく切ってからあげるといいでしょう
取り分け離乳食からフリージングしている実例
「ホットクックで離乳食が出来ないか?」ということで、
シャープ株式会社に「取り分け離乳食」の提案をさせていただきました。
このように調理家電を使う時にも、取り分け離乳食はオススメです。ホットクックでたくさん煮込み料理を作って、フリージングしています。
>母子栄養協会監修「ホットクック 取り分け離乳食」はコチラ
これらはすべて、離乳初期や中期なども取り分けてから切って、
フリージングするようにできています。
母子栄養協会では
なるべく工程を少なく、取り分けを簡単にするように
日々さまざまな調理家電で研究をすすめています。
取り分け離乳食のみを紹介する実例
母子栄養協会では、
他にも電子レンジや1つのフライパンで簡単に作れる、取り分け離乳食を多数掲載しています。
その1つとして、創刊50周年を迎える「赤ちゃんとママ社」の赤ちゃんと! では
取り分け離乳食のコーナーを受け持っています。
毎月、電子レンジや炊飯器、
鍋などでパッと作れる簡単な取り分け離乳食を紹介していますので、ぜひご覧ください!
電子レンジで取り分け離乳食
電子レンジだけで作れるような料理でも、取り分け離乳食は可能です。
例えば、市販のかぼちゃの煮物なども赤ちゃんに離乳食に取り分けることができます。
コンビニエンスストアで買ったようなものでも赤ちゃんに取り分けることができます>>リンク
炊飯器で取り分け離乳食
炊飯器でも簡単に取り分け離乳食にすることができます。
家族みんなで食べられる取り分け離乳食ごはん
かつおぶしと野菜だけでシンプルにごはんを炊き、
赤ちゃんはそのままや水を足してお粥にします。
大人はしょうゆなどで少量味を足しましょう。
【関連記事】簡単とりわけ!炊き込みごはん(離乳食・幼児食・大人)
取り分け離乳食「炊飯器で肉じゃが」
炊飯器で肉じゃがを簡単に作ります。大人のものはあとで味をつけるので、大人も減塩につながります。表面に味をつけたほうが満足度が高く、少ない調味料でおいしく食べられます。
まとめ
「取り分け離乳食」は、昔からずっとある典型的な離乳食の方法の1つです。
現在では、赤ちゃんのためだけに作ることが注目されがちですが、
実は大人の食事もとても大切です。
赤ちゃんのためだけに一生懸命作って、
大人の食事がおろそかになってしまっては、悲しいですよね。
なかなか育児に忙しいとは思いますが、例えばお惣菜などを取り分けるのも方法の1つ。
赤ちゃんと大人が同じものを食べるという、
昔から行われてきた当たり前の食事を、もう一度見直してみてくださいね。
参考文献
1)厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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