妊娠中にアボカドを食べると、赤ちゃんのアレルギーは減るの?
「妊娠中にアボカドを食べると、子どものアレルギーが少なくなる」
そんな情報を見かけて、気になった方もいるかもしれません。
この話題の背景には、フィンランドで行われた前向きコホート研究があるのは事実です。
しかし、内容をそのまま受け取るには注意が必要です。
妊娠期のアボカド摂取と乳児アレルギー発症の研究について
この研究は、フィンランドのKuBiCo研究のオンラインの食事アンケート調査(思い出し法)を基にしておこなった、前向き研究です。
フィンランド・クオピオ大学病院(KUH)を拠点にしたKuopio Birth Cohort(クオピオ出生コホート)研究の略で、妊娠、出産に関するものです。
この研究は、どのように調べたの?
この研究では、同じ妊婦さんを対象に、
・妊娠初期
・妊娠後期
の2回、食事内容のアンケート調査(Food Frequency Questionnaire:FFQ)が行われました1)。
それぞれの時点で聞いているのは、
「過去3ヶ月間に、どんな食品をどのくらいの頻度で食べましたか?」
という内容です1)。
食材は163項目あり、食べた頻度(9段階)と、目安量(g)が設定されており、その中で今回の研究ではアボカドを0か0以上かで抽出しています。
つまり、この研究は下記のように行われました。
- 妊娠期間すべての食事を追ったわけではない
- 毎日、量を測って記録したわけでもない
- その時点からさかのぼって3ヶ月を振り返る調査
これらの条件の上で
「アボカドを食べた人」の定義は?
この研究では、解析上、下記のように分けています。
A.妊娠初期または後期のどちらか一方でも
アボカドを少しでも(0gより多く)食べたと答えた人
→「アボカドを食べた人」
B.初期・後期の両方で
アボカドをまったく食べていない(0g)と答えた人
→「食べなかった人」
そのため、妊娠初期に食べたのか、後期に食べたのか、両方で食べていたのか…というような違いは、結果からは分かりません。
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3ヶ月以外の時期に食べた可能性もある
この研究は、妊娠初期と妊娠後期の3ヶ月間の思い出し調査です。
両方の期間が0gであっても、その間の期間(妊娠中期など)にアボカドを食べていたということも、十分に考えられます。
たとえば、妊娠中期によく食べていたが、初期・後期の調査期間には食べていなかった人
「食べなかった人」に分類
反対に、調査対象の3ヶ月の間に、たまたま1回食べただけの人
⇒「食べた人」に分類
ということになります。
つまり、
妊娠中ずっと食べていたかどうかは分かりませんし、
特定の時期が重要だったかどうかも判断できません。
研究結果はどうだったのか?
上記のような、思い出し食事調査からの前向きコホート研究の結果、
妊娠中にアボカドを食べたと分類された人の子どもでは、1歳時点の食物アレルギーが少ない傾向が見られました1)。
ただし、これは
「同時にそういう傾向が観察された」という結果です。
アボカドそのものの効果なのか
食事全体の質や生活背景の影響なのか
はわからないのです。

アボカドはアレルギー発症を抑制すると妊娠中の食事指導に使える?
この研究は、
- 観察研究(研究者が食事を指示していない)
- 食事は記憶による「思い出し法」のアンケート
- 摂取量や時期の詳細が分からない
というものなのです。
そのため、「妊娠中にアボカドを食べるとアレルギーを予防できる」というような指導にはつながりません。
また、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、本研究より前に定められているとはいえ、
妊娠中に特定の食品を積極的にとることで子どものアレルギーを防げるという明確な根拠はない
とされています。
今の時点でこの研究はまだまだ作用機序もわからない状態で
なおかつ、
アボカドの量や頻度なども全く分かっていない状況であることを知っておきましょう。
今の時点でこの研究はまだまだ作用機序もわからない状態で
なおかつ、
アボカドの量や頻度なども全く分かっていない状況であることを知っておきましょう。

アボカドを食べるときの、ひとつだけ注意
アボカドは、妊娠中に特別避ける必要のある食品ではありません。
また、食べたらアレルギー予防ができると確立されたものでもありません。
どちらでもないので、アボカドは妊娠中でもいろいろな食材とともに食べていきましょう。
ただし輸入果物が多いため、切る前に皮を流水でよく洗うようにしましょう。
皮の表面に付着したリステリア菌などが、
包丁を通じて中身に移る可能性があるためです。
【関連記事】生ハム・スモークサーモンなど妊娠中に気を付けたいリステリア菌
アボカドの妊娠中のレシピ
アボカドを妊娠中に食べることは、葉酸やその他必要な栄養を確保する上でオススメです。
当会でもいくつかレシピを紹介しています
妊娠中のアボカドとアレルギーに関するFAQ
-
妊娠中にアボカドを食べると、赤ちゃんのアレルギーは防げますか?
防げるとは言えません。
研究では「妊娠中にアボカドを食べたと回答した人の子どもで、アレルギーが少なかった傾向」が見られましたが、
アボカドそのものの効果かどうかは分かっていません。
そのため、予防目的で積極的に食べる必要はありません。 -
この研究では、どのくらいの量のアボカドを食べたのですか?
具体的な量は示されていません。
「少しでも食べた(0gより多い)」か、「まったく食べなかった(0g)」かで分類されています。
何g食べればよいか、毎日食べる必要があるかは分かっていません。 -
アボカドを食べてアレルギーを予防するには、どのくらいの期間食べたらいいですか?
この研究で確認しているのは、
妊娠初期と妊娠後期の直近3か月でアボカドを少しでも食べたか、全く食べなかったかでみています。
それ以外の時期に食べていたかどうかは分かりません。
また、アボカドを食べた量や頻度などもわかっていません。
妊娠期は何かを期待して1つの食材に偏ってたくさん食べたりすることは避けましょう。
さまざまな食材をバランスよく食べられるといいですね。
もしアボカド食べてみようかなと思ったら、少し食べてみるという程度でとらえましょう。 -
結局、妊娠中にアボカドを食べたほうがいいのですか?食べない方がいいですか?
避ける必要はありませんし、無理に食べる必要もありません。
アボカドは、妊娠中に特別避ける必要のある食品ではありません。
一方で、「食べなければいけない食品」でもありません。
無理のない範囲で、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。 -
妊娠中に食べると、アレルギー予防になる食材を教えてください
現在のところ、
妊娠中に特定の食品を積極的にとることで、子どものアレルギーを予防できるという明確な根拠はありません。
日本の公的な指針でも、過度な食事制限や特定食品の推奨は行われていません。
まとめ
妊娠中のアボカド摂取と、子どものアレルギーの「関連」を見た研究はあります。
しかし、この調査は、妊娠初期・後期それぞれの「直近3ヶ月」を振り返る方法です。
その調査期間以外の妊娠中期頃にアボカドを食べていたのかどうかは考えられていません。
また、この研究では、
アボカドを摂取した量も未定で、なぜそのようになったのかも
わからない状況です。
現時点(2025年12月)では、妊娠中に食べたものでアレルギーが予防できるという指針はありません。
1つの食品に期待しすぎて栄養を偏らせたりするのではなく、全体の食事バランスがとても大切です。
これをきっかけに、アボカドを少し食べてみようかなと思うのであれば、悪いことではありません。さまざまな食材をとっていくことは良いことです。アボカドを食べる時は皮を洗ってから切るようにするとさらに安心でしょう。
新しい研究として目にしてしまうと、心がざわざわしてしまうものですが、いろいろなものを食べて元気に妊娠生活をストレスフリーに過ごせるといいですね。
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参考文献
- Cheng FW, et al.. Avocado consumption during pregnancy linked to lower child food allergy risk: prospective KuBiCo study.. Pediatric Research. 2025年3月;:(2025年12月17日 閲覧)
- 厚生労働省.授乳・離乳の支援ガイド(2025年12月17日 閲覧)
著者のプロフィール

-
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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