ホットケーキミックス等の開封後は冷暗所保存を(パンケーキ症候群とは)

小麦粉などを使った味がついたミックス粉は、常温で保存しているとコナダニがわくことがあります。知らずに食べてしまうことで、焼いたとしてもその死骸を食べることでアレルギーを発症することがあります。

これをパンケーキ症候群(またはパンケーキシンドローム)といいます。

このようなことにならないように、ホットケーキミックスなどは開封後は密閉して冷蔵庫に保管するようにしましょう。

小麦粉などの粉製品でおこるコナダニアレルギー

突然ですが、粉製品をどのように管理していますか?

小麦粉やホットケーキミックスは、常温品だから棚にいれているわ!ダメなの?

管理栄養士

未開封ならOKですが、開封したら常温保存はダメですよ!
特にいろいろなものが入っているミックス粉には注意です。

ホットケーキミックスやお好み焼き粉などの小麦ミックス製品は、開封後はきちんと管理をしないと、ダニが発生する可能性があります。

未開封のものは常温保存でも構いませんが、袋を開封した後は、密閉容器にいれて冷蔵庫に保管しましょう。

ダニがいる場所はじゅうたんだけではない!

ダニはじゅうたんや畳、寝具などにいるイメージがありますが、近年の研究では小麦粉に味がついたもの等に大量のダニが存在することがわかりました。

コナダニ(コナヒョウダニ)などが原因といわれています。

ダニは小麦粉も好みますが、栄養があるものをより好みますので、ホットケーキミックスやお好み焼き粉といったような味がついているものに、特に多量に発生します。

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小麦粉ミックス製品の開封後はコナダニに注意

お好み焼きやホットケーキ(パンケーキ)を食べた後に、アレルギー症状が起きることがあります。

これをパンケーキ症候群(パンケーキシンドローム)といいます。

中には、重篤なアナフィラキシー症候群がみられたケースもあるので、年齢問わず、気を付ける必要があります。

パンケーキ症候群とは

小麦粉に潜むダニによって、引き起こされるアレルギー症状を、パンケーキ症候群(パンケーキシンドローム)と言います。

症状は一概にいえず多岐にわたりますが、蕁麻疹やかゆみなどの皮膚症状、ぜんそくなどの呼吸器症状などの他、重篤なアナフィラキシーショックと呼ばれる意識障害などもあるので、注意をしたいものです。

加熱してもダニアレルギーは発症

ダニアレルギーは、加熱したとしても発症しますので、ホットケーキやお好み焼きになってもアレルギーのちからを減らすことができません。(*アレルギーのちからとは、「抗原残存」をわかりやすく表現しました)

パンケーキ症候群の症例としては、常温で保存していたお好み焼き粉などを利用して作ったお好み焼きを食べた後に、
呼吸困難になったりする事例があげられています。加熱するからと安心してはいけません。

梅雨時~夏は特に注意

ダニは、高温多湿が大好きです。
ちょっと湿気があって暑いような時には特に発生しやすく、最適温度が25~30℃といわれているので、冷房が効いてる部屋でも要注意です。

またこの時期に限らず、キッチンは何かと高温多湿になりやすいので、常に注意は必要ともいえるかもしれませんね。

じゃあ、どこに保管したらいいの?

管理栄養士

密閉して、冷暗所がいいでしょう。夏は冷蔵庫の野菜室などがいいですね

ホットケーキミックスなどはなるべく早く食べきって

未開封であれば問題ありませんが、開封後は必ず冷暗所において早く食べましょう。
また、なるべく小さくパックになっているものを購入して、食べきるようにするのがいいですね。

輪ゴムやクリップなどで止めてもダニが検出されるという報告がありますので、過信をせず、冷蔵庫にいれましょう。

小麦アレルギー?それともダニアレルギー?

今まで大丈夫だったのに、ホットケーキやお好み焼きを食べたら蕁麻疹が出た、呼吸が苦しくなったという症状があれば、ひょっとしたらダニアレルギーかもしれません。

そうなる前に、まずキッチンに保管してある商品がないかどうか、見直してみてくださいね。

他にもみられるパンケーキ症候群

ダニは、小麦粉ミックス粉(ホットケーキミックス、お好み焼き粉、てんぷら粉等)だけではなく、チョコレートや乾物などにもみられます。

ホットケーキミックスだけではなく、食品は開封後はパッケージに記載のとおりの保管をしましょう。

参考文献

・市川光太郎ら,お好み焼き粉によるアナフィラキシー,エマージェンシーケア29(5):454-456,2016

・長尾ら,ミックス粉に繁殖するダニによるアナフィラキシーの3例とアンケート結果について,日本小児アレルギー学会誌 28(2): 226-231, 2014.
大谷ら,ダニの経口摂取による即時型アレルギー,薬局 61(11): 3289-3289, 2010.

・鈴木ら,コナヒョウヒダニが混入したお好み焼きを経口摂取したことによるPancake Syndromeの1例,昭和学士会誌79(3),282,2018.

著者

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている