子どもや妊婦さんがバーベキューで気を付けたいこと

バーベキューは家族や友人と過ごす楽しい時間のひとつですが、妊婦さんや小さな子どもと一緒に行う場合は、食材の扱いや調理方法に特別な配慮が必要です。
この記事では管理栄養士の視点から、妊婦さんや子どもが安全にバーベキューを楽しむためのポイントを解説します。

妊婦さんがバーベキューで注意したい食材とリスク
妊婦さんや赤ちゃんがいる場合は、特に常に衛生には気を付けていただきたいのですが、外で食べるバーベキューは、つい気が緩みがちです。
以下は「あたりまえ」と思われてしまいそうですが、大切なことなので、再度「ついやってしまう」ということがないようによく覚えてくださいね。
妊娠中は免疫力が下がりやすく、食中毒のリスクが通常より高まるといわれています。
特に気をつけたいのは以下の食品です。
- 生肉・加熱不十分な肉:O-157やサルモネラ菌、カンピロバクターによる食中毒リスク
- 生魚・貝類:リステリア菌や寄生虫の危険性
厚生労働省の資料「これからママになるあなたへ」でも、中心部までしっかり加熱することが強調されています。
特に、生肉をつかんだトングには十分に気を付けましょう。
安全に楽しむための4つの基本
- 加熱はしっかりと:肉や魚は中心温度75℃以上で1分以上が目安です。
- 調理器具を使い分ける:生肉用と加熱後用のトングや皿を分けて食中毒を防止。
- 保冷を徹底する:クーラーボックスは10℃以下をキープし、常温放置は避けましょう。
- 手や野菜をよく洗う:土を触った手などは特によく洗う
1.加熱はしっかりと
また、肉は十分に加熱してから食べるようにします。
生肉には腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ属菌などの菌が存在することがあります。
中心までしっかり火を通してから食べましょう。
最近ブームとなっている野生動物の肉を用いた「ジビエ」料理は、特にしっかり加熱し調理する必要があります。
2.調理器具は使い分ける
生肉を切ったまな板などで切らないようにするなど、衛生面での配慮が必要です。
他にも、生肉をつかんだ箸やトングで食材をつかむなどしないようにしましょう。
生肉を扱う調理器具と、そうでないものは分けるようにしましょう。

3.保冷を徹底する
肉や海鮮などは、食中毒菌がすごいいきおいで繁殖します。
クーラーボックスは10℃以下をキープし、常温放置は避けましょう。
4.手や野菜をよく洗う
土には様々な菌がいます。また、その中には動物の糞などもあるかもしれません。
ボツリヌス菌やトキソプラズマなどをはじめとしたさまざまな菌がいますので、必ず手を十分に洗うようにしましょう。
トキソプラズマは、トキソプラズマ原虫が引き起こす人と動物の感染症で、妊婦さんの場合、妊娠中に初感染し胎児への感染が起こると、流産、死産につながる場合がありますので、注意が必要です。
ちょっと草花を触ったりすることもあるかもしれませんが、妊婦さんや赤ちゃんは、よく手を洗うことを忘れずにいたいものです。
野菜も、土や菌がついていることがあります。
妊婦さん・子どもと一緒に楽しむ!食事以外のコツ
- 屋外の暑さ対策:日陰を確保し、水分をこまめに補給する
- 休憩をとる:妊婦さんは特に長時間立ちっぱなしを避けましょう
- 安全な場所で:炭や火の周りは子どもが近づかないように
よくある質問
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妊婦がバーベキューで避けるべき食材はありますか?肉や魚が生にならないようにしましょう。トングなど取り分けの際の調理器具に気を付けましょう。しっかり中まで加熱しましょう。
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子ども向けバーベキューメニューのおすすめは?焼きおにぎり、焼き野菜、やわらかいさつまいもや、とうもろこしなど、薄味でやわらかいメニューが安心です。やけどには気を付けましょう
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バーベキューで食中毒を防ぐにはどうすればいいですか?中心温度75℃以上で1分以上加熱します。大切なのは、調理器具は生肉用と加熱後用を分けることです。また、食材はしっかり保冷しましょう。
まとめ
妊婦さんや子どもと一緒にバーベキューを楽しむには、食中毒予防・加熱の徹底・安全対策が欠かせません。
バーベキューのトングの取り扱いなどは妊婦さんだけではなく、周りの人も気を付けたいものです。
ちょっとした心がけで感染は防げます。食材や調理法を工夫すれば、家族みんなが安心して美味しい時間を過ごせます。
楽しいイベントにするためにも、このポイントを忘れないでおきたいですね。
参考文献
- 内閣府食品安全委員会.バーベキューやピクニックでの食中毒にご注意ください(2025年9月10日 閲覧)
- 食品安全委員会.寄生虫による食中毒にご注意ください(2025年9月10日 閲覧)
- 医薬基盤・健康・栄養研究所.これからママになるあなたへ(2025年9月10日 閲覧)
著者のプロフィール

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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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