妊娠・授乳中、卵・牛乳アレルギー予防策

赤ちゃんのアレルギーが心配がゆえに、卵や牛乳を控えたほうがいいのかと心配になりますよね。

妊娠中、授乳中にアレルギー予防として考えたいポイントをまとめてみました。

妊娠中に卵や牛乳を避けるとアレルギー予防できるか

食物アレルギー診療の手引きでは下記のように記載されています。

・食物アレルギーの発症予防のために妊娠中と授乳中の母親の食物除去を行うことを推奨しない。食物除去は母体と児に対して有害な栄養障害を来す恐れがある。

・妊娠中や授乳中のプロバイオティクスの使用が児の湿疹を減ずるとする報告はあるが、食物アレルギーの発症を予防するという十分なエビデンスはない。

引用:「食物アレルギー診療ガイドライン2016」のコンセンサス,P.5,食物アレルギーの診療の手引き2017,2018

つまり、妊娠中や授乳中に、プロバイオティクスを使用すると、出産後の乳児の湿疹を軽くできるという報告2)があります。食物アレルギー発症自体は予防するとは言い切れませんが、ヨーグルトなどを摂っておくと、赤ちゃんの湿疹が予防できるかもしれないので、

また、発症予防を目的として食物除去をおこなうと、母体の栄養が心配なのでそのような指導は基本的に望まれていません。

安易に、妊娠時期に卵や牛乳などのアレルゲンを除去しないようにしましょう。

授乳中に気を付けること

まず、厚生労働省が発表している「授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月改訂)」には下記のように書いてあります。

子どものアレルギー疾患予防のために、母親の食事は特定の食品を極端に避けたり、過剰に摂取する必要はない。バランスのよい食事が重要である。

引用:食物アレルギーの予防について,P.19,授乳・離乳の支援ガイド,厚生労働省,2019

つまり、

授乳中にむやみにアレルゲンを避けることは、望まれていません

ただし、乳児のアレルギーに関する検査がすすみ、「完全除去」と言われた場合には、医師の指示のもと、授乳中であれば母親もアレルゲンを避ける必要あります。

授乳中にむやみにアレルゲンを避けてはいけない理由

アレルゲンは主にタンパク質に含まれていますが、それを除去することで、身体をつくるもととなるタンパク質が不足するかもしれないからです。

授乳中も妊娠中も、しっかりとバランスの良い栄養が望まれているので、一部の食品に偏ったり、また何かを制限したりすることは、ふさわしくありません。

医師の診断のもと、完全除去といわれた場合、その期間は授乳中の母親も制限することはあります。しかしながら、それも期間があると思いますので、医師に確認しましょう。
子どもの食物アレルギーが疑われる場合には、必ず医師の診断に基づいて母子の食物制限等を行うよう支援しましょう。

母乳育児はアレルギーになりにくい?

母乳児とミルク児(人工栄養児)では、アレルギー発症に差はありません。

授乳離乳の支援ガイドでは、以下のように書かれています。

母乳による予防効果については、システマティックレビューでは、6か月間の母乳栄養は、小児期のアレルギー疾患の発症に対する予防効果はないと結論している。

引用:食物アレルギーの予防について,P.19,授乳・離乳の支援ガイド,厚生労働省,2019

つまり、母乳栄養でも、小児期のアレルギーの発症予防になるとはいえません。

アレルギー用ミルクは予防になる?

もちろん、乳アレルギーの場合には、育児用ミルクは飲むことが出来ず、アレルギー用ミルクを飲ませることになりますが、アレルギーがみとめられない時点でアレルギー用ミルクを飲ませても予防にはなりません。

このことも下記のように書いてあります

アレルギー素因のある子どもに対する牛乳アレルギー治療用の加水分解乳の予防効果について、以前は予防効果があるとする報告がされていたが、最近では、効果がないとする報告が多い。子どもの食物アレルギーが疑われる場合には、必ず医師の診断に基づいて母子の食物制限等を行うよう支援する。

引用:食物アレルギーの予防について,P.19,授乳・離乳の支援ガイド,厚生労働省,2019

まとめ

アレルギーが心配というお気持ちは理解できます。しかしながら、それを避け続けて、大きくなってから急にあげることでより発症しやすくなるという研究が卵とピーナッツで発表されています(参考:卵はいつから? PETIT研究について 母子栄養協会

周りの環境にあるものは、できるだけ早く摂った方が良いのではないかという仮説も、近年注目されています。

アレルギーの発症を予防したいと思ったら、

・皮膚をしっかりケアし、保湿などを充分にする
・離乳食はいろいろなものを少しずつ、遅らせることなく始める

の2つが大きなポイントです。

医師からの指示がない限り、妊娠中や授乳中のアレルゲン除去は望まれていません。

お母さんも赤ちゃんもしっかり楽しく、バランスの良い食事を意識していきたいですね。

 

[参考文献]

1)「食物アレルギーの診療の手引き2017
2)「乳酸菌とアレルギーの発症予防」 国立成育医療センター 松本健治
3)厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」2019年3月
4)妊娠後期の母に投与したプロバイオティクスによる児のアレルギー疾患発症予防効果
5)卵アレルギーの発症予防 ─見えてきた道筋─,Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 65(6), 320-324, 2018

プロフィール

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
All About 「離乳食」「幼児食」「妊娠中の食事」ガイド

女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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