BLWの利点と注意点、離乳食との違い

BLWとは

BLWとは、「Baby led weaning」の略です。Baby(あかちゃん)がLed(主導の)Weaning(乳離れ)と訳せるかなと思います。

この考えは、イギリスの訪問保健師Gill RapleyとジャーナリストTracey Murkettが、10年前に出版した書籍「Baby-Led Weaning」で名付けられ紹介された、赤ちゃん主導の食事システムです。

離乳食を始めるタイミングを赤ちゃん自身が決めます。スプーンで食べさせたり、裏ごしをする必要はないとしています。

BLWの利点

BLWは、赤ちゃんが自分で食べる順番や量、ペースを決めて、赤ちゃん自身が食べるまで待つという考えです。

・離乳食をはじめる目安は「座れる時期であり、なおかつ食べ物に自分で興味があって、自分で食べらればOK」

・赤ちゃんと家族と一緒に食卓を囲んで食べる

・赤ちゃんがいっぱい食べても、量が少なくても大丈夫

と、全体的におおらかに構えています。もし、離乳食に対して過剰な不安があるのであれば、これらの言葉が大きな魅力になるでしょう

BLWと離乳食との違い

では、日本の離乳食と何が違うのでしょうか。

表にまとめてみました

	BLWの考え方	厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」 離乳食の始める目安	座れる時期であり、なおかつ食べ物に自分で興味があって、自分で食べらればOK	"・首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる ・スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる ・食べ物に興味を示す ・生後5~6か月頃が適当(但、個人差があり、月齢はあくまでも目安) ・子どもの様子をよく観察しながら、親が子どもの「食べたがっているサイン」に気がつくように" 食卓シーン	赤ちゃんと家族と一緒に食卓を囲んで食べる	家族等と食卓を囲み、共に食事をとりながら食べる楽しさの体験を増やしていくことで、一人ひとりの子どもの「食べる力」を育む あげ方	食具は使わず手づかみ。テーブルに食材を2~3種類置き、自由に食べさせる。	スプーン、手づかみ食べ(親が納得して子どもに手づかみ食べを働きかけることが大切) 固さの目安	危険ではない固形物	なめらかにすりつぶした状態~舌歯ぐきでつぶせる固さなど

日本の離乳食とは全く違うという印象の方も、日本の離乳食と同じという印象の方もいるかもしれません。

大きく違うのは、

・BLW・・・赤ちゃんが食べ物を選ぶ

・離乳食は・・・大人が食べ物を選ぶ

という点でしょう。

また、

手づかみ推奨はどちらもしていますが、BLWのほうが推奨度合いは高く、スプーンは使わないことを推奨しています

筆者は、「日本の離乳食とBLWは、食卓を囲む大切さや赤ちゃんの食欲にあわせることは同じ」と感じます。

離乳食とBLWで同じこと

どちらも「家族等と一緒に食べる」ことが赤ちゃんの食欲などには良い影響があると言っています。

これはBLWも日本の離乳食も言っていることは同じです。

しかし、現代の離乳食の状況はいかがでしょうか。

赤ちゃんのためだけに離乳食を作り、赤ちゃんだけが決まった時間に食べ、家族は赤ちゃんが寝た後などにこっそり食べるということをしていませんか?

豚汁 鮭 皮 

例えばこのような豚汁のにんじんと大根、お肉を赤ちゃんにペラっとあげることだって本来離乳食です。大きさは、食べにくそうにしていたらその場でスプーンでつぶしてあげたり小さく切ってごはんにまぜてもいいですね

ママパパはしっかり食事をとっていますか?

育児が忙しいのでなかなかきちんと食べる時間がないので、赤ちゃんの食事だけでも食べさせて自分達のことをおろそかにしてしまったりしていませんか?

お気持ちはとてもよくわかりますが、それではママパパの栄養が心配です。

授乳離乳の支援ガイドでも、そのようなことは全く望んでおらず「家族等と一緒に食べる」「共食」という言葉を複数回使って強調していることですので、どのような考えであったとしても、共通しているこの点については大切にしていきたいですね。

BLWでの注意点

筆者は、BLWによる専門家講習を受講し、BLWのCertificate Of Completionも保持しています。
ママパパの気持ちがそれでラクになるのであれば良いと思う一方で、管理栄養士としていくつか気になる点はあると思っています。

・赤ちゃんが選ぶ食べ物とはいえ、調理するのは大人なので、何をどのように調理するかは伝える必要があるのではないか

・窒息などの危険性はないか(BLWの講習では「窒息の危険性は離乳食と同じ」としています。離乳食でも大きさにより窒息の可能性はゼロではありません)

・赤ちゃんが食べ物を選んで食べなかった時の栄養欠乏や、鉄やカロリーなど必要な栄養が足りそうかそうでないかの判断が難しいのではないか

・赤ちゃんが本当にバランス良く食べ物を選ぶか(単純な疑問)

・テーブルや床下などが汚れることを親がどこまで許容できるか(かえってストレスにならないか)

・アレルギーに対する考え方などがまだ不明瞭(伝達の必要性)

BLWを行ないたいと思ったときには、
まず家族の食事をメインと考えてやはり栄養バランスがとれた食事を用意することは忘れないようにしたいものです。また、目を離すことはしないようにしたいですね。(これは離乳食でも本来一緒)

離乳食をもっと楽しく考えてみる大切さ

BLWは「赤ちゃんが選ぶから」という理由になるので、「食べてくれない」という発想で親が悩むことはないのかもしれませんね

管理栄養士としては栄養欠乏やアレルギー等が心配がぬぐえないため、オススメはしかねますが

どうしても日本の離乳食が決まり事だらけで大変だと思って悩んでいたら、一度こんな考えもあるのだと知っておくことで気分をラクにすることはいいかもしれません。

離乳食でも

・何をいつからどの食材を何gとは決めていない(あくまでも多め?少なめ?と判断するための目安値)
・家族などと食卓を囲んで一緒に食べることが大切
・手づかみなど赤ちゃんの食欲をひきだしてあげることが大切

としています。

BLWという1つの手法を通じ、離乳食の基本を今一度考えるきっかけとなり、育児中のママパパが無理なく楽しく離乳食タイムが過ごせるようになりますように。

 

「離乳食は何g、何mmと決めているものではなく、

乳児の発育発達と食欲にあわせてすすめていきましょう」

プロフィール

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
All About 「離乳食」「幼児食」「妊娠中の食事」ガイド

女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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