子どもの好き嫌い は なぜ起こる?

子どもの好き嫌いに困っているという声をたくさん耳にします。
そもそも、なぜ「嫌い」になってしまうのでしょうか?

科学的な視点から好き嫌いについて考えてみましょう。

子どもが食事で好き嫌いが生じる理由

「子どもは好き嫌いがあって当然である」と考えられます。
その理由は、大人では味の感じ方、味覚の「敏感さ」が異なるためです。

子どもは苦味を本能的に拒否

昔嫌いで食べられなかった物を、大人になってから食べられるようになった、という経験はありませんか?


これは大人になって味覚が発達し、味の感じ方が変化したためです。

新生児は生まれながらに苦味を拒否する反射を備えています。

苦味のある物質には毒性があることが多いため、本能的に拒否するのです。
この反射は乳児期にあるといわれています。

苦味のあるものを赤ちゃんが食べないのは当然ね!

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子どもは薄い味にも反応する敏感な舌の持ち主

また、幼児と大人の味覚や食嗜好を研究において、低濃度〜高濃度の味溶液を口に含んで味わった際に、幼児の方が低濃度の溶液で味を認知することが報告されています。


このことからも、子どもの味覚は大人より「敏感」であることがわかります。

これらのことから、
普段大人が気にしていない、ちょっとした苦味や酸味といった本能的に嫌う味を、強く感じている可能性が考えられます。

管理栄養士

管理栄養士

舌が敏感だから、受け付けない食べ物が多く出てきてしまうのかもしれませんね。

生野菜は好き嫌いも多くみられます

食べ物の「おいしさ」は学んで知るもの

「おいしさ」を感じることは「おいしい味」を感じる、ということだけではありません

「おいしさ」は舌で感じる味覚だけではなく、嗅覚・視覚などの五感の他に、生理状態や心理状態、経験や知識などを総合して感じ取っていきます。

子どもの好き嫌いを考える時に注目すべきなのは「経験」と「知識」です。

たくさん食べて「おいしさ」を学ぼう

子どもは大人と違って食経験が、まだまだ圧倒的に少ないですよね。

管理栄養士

管理栄養士

1日3回の食事だとすると、たった1年で約1000回分食経験の差が生じます。

何回食べたら「食べ慣れる」のかという明確な基準はありませんが、幼児期に苦手だったものが大学生になって食べられるようになっているという意識調査の結果からも、繰り返し食べて「おいしさ」を学んでいくと考えられます。

キャベツ 好き嫌い 子ども 解決

おいしそうと思えるお話をしよう

また、子どもは、その食べ物が「おいしそう」と感じるに至る知識も乏しいです。

例えば春キャベツを食べる時、大人は
「野菜はビタミンや食物繊維が豊富だからちゃんと食べよう」
「春キャベツは今だけで、葉が柔らかくておいしいのよね」など、


食べることのメリットや季節感など、直接的な味に関わること以外の、おいしさに関わる「知識情報」を持って食事を選択しています。

あわせて読みたい:▶幼児食の悩みの子どもの好き嫌い解決!食事の見直し5つのポイント

でも、子どもはなかなか理解できないものです。

子どもは目の前に出された物からの情報に限られます。そのため、「おいしい」と感じるストライクゾーンが狭くなることが考えられます。

情報を知らない子どもは、それらの話では「おいしさ」を感じにくいのです。

管理栄養士

管理栄養士

おいしさを判別する知識は、大人と子どもでは異なるので、いろいろな食の話題と経験を少しずつ増やしていきたいですね。

好き嫌いの解決法

好き嫌いを解決する方法は1つではないと考えましょう。また、好き嫌いをなくすだけがゴールではありません。

しかしながら1つでもヒントになるといいかと思いますので、参考にしてみてください。

食べ物の話題で おいしさの感度を広げる

子どもの食経験をすぐに増やすことは難しいですが、知識は少しずつ増やせます。

「今日の給食は何がおいしかった?」
「今日の晩ごはん何が食べたい?」
「春になってたけのこが並んでいるね」
など、毎日少し、食べ物に関する話題で会話してみましょう。

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好き嫌いをなくす秘訣!?

嫌いなものが今すぐに大好きになる魔法はありませんが、みんなで一緒に食卓を囲み、「おいしいね」「これは何?」と食べ物について語り合うことが早く好き嫌いを無くす秘訣と言えるかもしれませんね。

管理栄養士

管理栄養士

味は敏感なので、無理強いせず、楽しく食卓を囲み「おいしいね」という会話で、好き嫌いをなくすと覚えておいてくださいね!

参考文献

・子どもの味覚を育てる:ジャック・ピュイゼ
田口田鶴子、岡本洋子,幼児の食味嗜好性および味覚閾値,4 (2),1993,日本家政学会誌,1993
・「鰹だし」風味の食餌の初期経験が後の嗜好性に及ぼす影響:川崎寛也、山田章津子、伏木亨
・野菜の嗜好の発達的変化に関する研究 : 小学生時と大学生時との比較:堀尾 強, 沢本 凌

著者

奥野由
奥野由
管理栄養士/母子栄養指導士
子育て家族の食卓研究「FooMiLab」主宰
大手加工食品メーカーでの開発・基礎研究の経験を活かし、赤ちゃんも大人も笑顔になれる食卓づくりについて、レシピ研究・情報発信・教室運営をしています。離乳食相談実績多数。ベビーフード開発・監修実績あります。
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