2017年04月10日 2025年05月31日

はちみつは何歳から？｜ボツリヌス菌の赤ちゃんへの影響と注意点

川口由美子

「はちみつ（ハチミツ）を食べてしまったけれど、大丈夫？」
「食べさせてみたいけど、なんか怖いな」「乳児ボツリヌス症候群って何才から大丈夫なの？」
などと心配になりますよね。
まず、もし食べさせてしまったとしても、はちみつにボツリヌス菌の芽胞が入っている可能性は100％ではありません。

まずは冷静に、あてはまる症状がないか、様子をみておきましょう。

はちみつは、基本的に1歳未満の乳児には絶対に食べさせないようにしましょう。

加熱したら大丈夫かどうか、何歳なら食べられるかなど少し詳しく説明します。

はちみつが1歳未満の赤ちゃんに危険な理由

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」でも、
「はちみつ（ハチミツ）は乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使わない」こと
としています。

保健所などの離乳食教室でもよくいわれていることですね。
なぜハチミツを避けるのかの理由をご説明します。

はちみつには稀にボツリヌス菌の芽胞が含まれるため

ハチミツには、ボツリヌス菌が芽胞という状態で入っていることが稀にあります。

1歳未満の乳児の腸の中では、その芽胞がボツリヌス菌をたくさん増やしてしまいます。

増えてしまうと、ボツリヌス菌による症状を起こしてしまいますの。

1歳すぎたらすぐにいつでも大丈夫というよりも、少し具合が悪いなと思ったら
消化吸収に問題がある場合もあるといけないので、
1歳半くらいまでは、具合が悪そうな時には避けた方が無難です。

年齢別はちみつの与え方

1歳以降になると腸管が発達して、そのようなことは起こりませんので、
幼児や大人はハチミツを食べても問題ありません。

幼児や大人の腸内では、ボツリヌス菌が他の腸内細菌との競争に負けてしまうため、
通常、何も起こりません。

ただし、2歳未満の場合には、からだの調子が悪いときには、
あえて万一のことを考えて食べなくてもいいかもしれませんね。

ハチミツは、ミネラルなども豊富なので、幼児期では試していきたい食品の１つです。

管理栄養士

2才以降のハチミツの与え方

基本的に2才以降の幼児になれば、ハチミツを食べても問題ありません。

ただし、具合が悪いときは、胃腸の発達状態が悪く、可能性としてはゼロではないかもしれませんので、控えておくと安心です。

乳児ボツリヌス症を防ぐ対処法|加熱

1歳未満でも、加熱調理をすれば大丈夫なのかという質問がよくあります。

ボツリヌス菌の芽胞は死滅するのにかなりの高温で時間がかかります^**。

普通に調理してもボツリヌス菌の芽胞は死滅しません。

例えば、離乳食に最適な蒸しパンを作るのに、ハチミツをいれて加熱したり、
焼き菓子のオーブン設定を220℃にしても、お菓子の中身が220℃になるわけではありません。

つまり、庫内温度が熱くても、食品中のボツリヌス菌の芽胞は死滅しないのです。

一般的な家庭での調理法ではボツリヌス菌は死滅しないと考えましょう。

管理栄養士

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ハチミツ入りクッキーなども赤ちゃんにはダメ

クッキー蜂蜜　幼児　1歳 2歳　乳児　赤ちゃん　はちみつ — ハチミツ入りのクッキーなども注意

飲みものや、焼き菓子など、ハチミツ入りの加工品も、1歳までは摂取しないようにしましょう。

ハチミツ入りのパンも乳児にはダメ

ハチミツ入りのパンでも1歳未満にはあげることができません。オーブン温度は高くても食材はそこまで温度があがらないためです。

最近は、高級パンなど、対面販売のもの中には、ハチミツを利用しているものもあります。

1才未満の赤ちゃんにあげるときは、食パンにハチミツを使っていないか聞いてみましょう。

黒糖や他のもののボツリヌス症の危険性

日本では、乳児ボツリヌス症候群の発症事例は欧米比べて少ないと言われています。

しかしながら、ハチミツは海外からの輸入品も多いので、
注意が必要なのではないかという見方もできます。

日本での死亡例は2017年の1件のみであり、
発症事例は他には海外製の野菜スープ（缶）や、
青果店での塵（もしくはスープ）、井戸水などもあります。
黒糖は、俗にいわれていますが日本での発症事例としてあがっていません。

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乳児ボツリヌス症の症状と対処法

乳児ボツリヌス症の症状

芽胞を摂取したのち、3〜30日後から症状が始まります。

便秘
表情のこわばり
母乳やミルクの吸い込みが弱くなる
泣き声が弱くなる
動きが鈍くなり、筋力が低下する
呼吸をしにくそうにする

以上のような症状がないかどうかチェックしましょう。

あてはまるようなことがあれば「ハチミツを食べた」ことを含めて医師に相談してください。

赤ちゃんがハチミツ入りの加工品（パンやお菓子など）を食べた。大丈夫？

ハチミツの中に、ボツリヌス菌の芽胞が入っている可能性は、高くはありません。
ハチミツを食べたからといって、必ず感染するわけでも発症するわけではありません。
また、いろいろな食べ物を食べる生後10カ月頃から、芽胞を体内で増やす可能性はかなり低くなります。

しかしながら、数％の確率で乳児ボツリヌス症にかかる場合もあります。

先ほどの乳児ボツリヌス症の症状がみられないかどうかチェックしておきましょう

大人に見られるボツリヌス食中毒

ボツリヌス症は、乳児ボツリヌス症だけではなく、
食品中でボツリヌス菌が増えたときに産生されたボツリヌス毒素を摂取したときにおこる
「ボツリヌス食中毒」もあります。

ボツリヌス食中毒は大人にもみられます^３）。

芽胞ではなく、毒素が生成されボツリヌス毒素が産生された食品を摂取後、
８時間～36時間で、
吐き気、嘔吐、視力障害、言語障害、えん下障害（ものを飲み込みにくくなる）などの
神経症状が現れるのが特徴です^３）。

重症例では呼吸麻痺により死亡することがあります。

大人もかかるボツリヌス食中毒の予防

ボツリヌス菌は空気のないところで多く繁殖する嫌気性菌です。
特に、レトルト（高熱高圧）加工していないパック製品で、冷蔵庫保管が必要なものを、
あやまって常温保管してしまったもの

などで発生します^３）。

パック詰め製品で「要冷蔵」などと書かれているものは、必ず冷蔵庫で保管しましょう。

乳児ボツリヌス症候群と、ボツリヌス食中毒は違います。赤ちゃんは芽胞を食べると体内で増やしてしまいます。大人は食品管理をしっかりと！ということですね

管理栄養士

以前は「いずし」という魚を発酵させた寿司を自家製した際に
ボツリヌス菌が産生された事例がみられましたが、
現在は自家製も少なくなり、その事例も少ないようです。

また「からしレンコン」でも、事例がありましたが、
昨今ではその保存なども見直されています。

消費者としては、真空パックなどのパック詰め製品は、表示をよく読みましょう。

表示に「要冷蔵」「10℃以下で保存」とされているものは、冷蔵庫などで保管するようにしましょう。

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＊＊ボツリヌス菌にはA～E型まで種類があり、死滅までの熱や時間はその型によって異なりますが、A型B型では、121℃、4分以上の加熱、比較的毒素が弱いE型は80℃、10分の時間と熱を要します。

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よくある質問

赤ちゃんにはちみつを与えてはいけないのはなぜ？

はちみつにはボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性があり、腸内環境が未熟な赤ちゃんでは重い食中毒（乳児ボツリヌス症）を起こすことがあります。
何歳からはちみつを食べても大丈夫？

厚生労働省は、満1歳を過ぎてからの摂取を推奨しています。大きくなって様々なものを食べるようになると、このボツリヌス菌芽胞は死滅させて排出できます
加熱したはちみつなら赤ちゃんにあげても大丈夫？

加熱してもボツリヌス菌の芽胞は死滅しないため、1歳未満の赤ちゃんには与えないようにしましょう。
黒糖もハチミツと同様に避けたほうがいいですか？

黒糖の発症事例は近年ありません。ハチミツだけではなく、自然に近いものは、可能性としてはあります。井戸水や野菜の皮などもありえます。黒糖は近年そのようなことはありませんが、そもそも甘いものをたくさんあげることは離乳食時期には望ましくはないので、あえて挙げる必要はないでしょう。
ハチミツ入りのものを赤ちゃんが食べてしまいました。大丈夫でしょうか

ハチミツを食べたからといって、必ず発症するわけではありません。
いろいろなものを食べる生後10カ月頃から、芽胞を体内で増やす可能性はかなり低くなります。心配な場合は医師に相談してもいいでしょう。