食物アレルギー診療の手引き2020 改定の主なポイント
2021年春、食物アレルギー診療の手引き2020が発表となりました。食物アレルギー診療の手引き2014でしたので、6年ぶりの改定となります。
食物アレルギー診療の手引き 改定のポイント
今回の、改定のポイントはかなり多岐にわたるとは思います。
ここでは、母子栄養協会として、食事指導をする側として興味深かった点をポイントとしてお伝えします
*診療としてのポイントではありません
消化管アレルギーの区分と名称の変更
2014年版では「新生児・乳児消化管アレルギー」として臨床分類されていたものを、
2020年版では非IgE依存としてをまとめ、細分化しました。
新⽣児・乳児⾷物蛋⽩誘発胃腸症(Non-IgE-GIFAs)として分類化され、
頻度の高い食物は従来の「牛乳」だけではなく、「⼤⾖、コメ、鶏卵、⼩⻨など」も加わりました。
これらは主症状は嘔吐に分類されます
特に、最近ではは卵⻩や⼤⾖、コメ、⼩⻨などによる
固形物のアレルギーが多くみられるので、
「消化管アレルギーは牛乳」という覚え方ではなく、情報をアップデートしておきましょう
詳細はこちら> 食物アレルギーの診療の手引き 2020
乳児アトピー性皮膚炎 の頻度の高い食物
食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎の頻度の高い食物について、2014年版では「鶏卵、牛乳、小麦、大豆」とされてきましたが、2020年版では、「鶏卵、牛乳、小麦」となりました。大豆がなくなったわけではありませんが、頻度として上位3つが圧倒的に多いため、この3つのみとなりました。
追記:令和6年(2024年)では、全年齢の調査では、鶏卵の次がくるみとなりました。しかしながら、乳児期は依然として変わらず、鶏卵、牛乳、小麦です。
口腔アレルギー症候群の頻度の高い食物
口腔アレルギー症候群は、頻度の高い食物として2014年版では「果物と野菜」としてきましたが、2020年版では「果物、野菜、大豆など」となり、大豆が追加されました。
ラテックスアレルギーのリスクの高い食物
ラテックス(天然ゴム)のアレルゲンと交差反応して起こる食べ物として、2014年版ではアボカド、栗、バナナとされていましたが、2020年にキウイフルーツもリスクの高い食べ物として追加されました。
【関連記事】キウイはいつから食べられる?口腔アレルギー等について
調理従事者のアレルギーの項目追加
調理の仕事をしている従事者は、経気道感作と⼿湿疹などから、扱っている⾷物に感作され、⾷物アレルギーを発症することがあるとし、項目が追加されました。
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遅発性IgE依存性⾷物アレルギーの追加
海でクラゲにくり返し刺されることで感作される、納豆アレルギーについて追加された他、獣肉アレルギーについても追加されました。
以上が、臨床型区分についての主な変更点となります。
他にもたくさん変更事項はありますので、確認は原著よりお願いいたします。
参考文献
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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