しらすを離乳食に使う時、塩抜きしたほうがいい?いつまで?
しらすを離乳食で使う利点と、注意したいことを管理栄養士・母子栄養指導士の視点から解説します。
離乳食にしらすを取り入れるメリット
離乳食にしらすを取り入れると、以下のようなメリットがあります。
1.ゆでられているので、調理の時短になる
離乳食においては「加熱されていて柔らかい」ことがとても大切です。
しらすは、ゆでられて販売されることも多いので、
身がやわらかくて食べやすいので調理の時短になり、離乳食時期にはおすすめです。
2.味つけがされているので味が決まりやすい
しらすは、すでに塩ゆでされて味付けされているので、
他のものとあわせて食べると適度な塩味や旨味を加えることができます。
例えば、おかゆ、豆腐、じゃがいもペーストなど、味が薄いもので、
なかなか食事が進まない/飽きてしまったみたい
などあったら、しらすをちょっと足してみるといいかもしれませんね。
管理栄養士
離乳食は、おかゆさえあれば、しらすやきなこ、青のりなどをパッとかけたものなどがいいですよね。
本来離乳食はそういうものです。しかし毎日それだけで大丈夫ということではなく、野菜などもとりたいですね。
3.冷凍保存も可能であり、少しずつ使える
しらすは、冷凍もできるので小分けにして、少しずつ使うようにもできますね。
なるべく空気に触れない方がいいので、ぴっちりと1回分ずつラップに包めるといいでしょう。
しらす 小さじ1は2.3g程度です。小さじ2でだいたい5gです。
下記の写真は、しらす小さじ2(5g)ですので、参考にしてみてくださいね。
4.たんぱく質とカルシウムが含まれているため、成長に必要な栄養素を摂取することが可能
小魚であるしらすには、骨のもとになるカルシウムも含まれます1)。
もちろん、しらすだけでよいというわけではなく、小魚全般に含まれます。その小魚類の中でもやわらかく食べやすいのが、しらすです。
魚の骨を食べることはできませんので、乳幼児期に、カルシウムを摂りたいと思ったら、しらすの他には
牛乳乳製品・小魚・納豆など豆製品・青菜など1)がオススメです。
とくに小魚や牛乳乳製品は、動物性のたんぱく質とカルシウムが含まれている1)ので、
成長に必要な栄養を効率よくとることができます。
管理栄養士
メリットがたくさんありますね。しらすは、カルシウムやタンパク質もとれるので、ぜひお子様の食事にとりいれたい食材の1つなのです。
離乳食にしらすを取り入れる際の注意点
離乳食にしらすを取り入れる際には、いくつかの注意点があります。
特に以下の2つの注意点に注意してください。
しらすに小さなエビやカニなどが混入していることも。
しらすには、他の小さなエビやカニが混入していることがあります。
離乳食にしらすを使う時には、このような混入物に注意が必要です。
混入しているエビやカニの殻は赤くなっておりわかりやすいので、見つけた場合は取り除けるといいでしょう。
よく、エビ・カニを離乳食にはあげないほうがいい といわれていますが、
理由は
硬い可能性があるということと、
アレルギーの問題です。
しらすの中のエビ・カニは離乳食のときは取り除かなきゃダメ?
エビやカニのアレルギーは、乳児期に多いアレルギーではありません3)。
また、しらすに入っている量はとてもわずかです。
ですので、
しらすを1つ1つチェックしてエビを探して取り除くほどの手間をかける必要はありません。
しかしながら、どんな食べ物でもアレルギーの可能性はゼロではありません3)。
とても強いエビアレルギーを持っている場合は、
食べたときにアレルギー症状がでる可能性はあるでしょう。
しかし近年の考え方では、
アレルギーの可能性のあるものでもあえて避ける必要がない3)といわれています。
過度に避けすぎないくらいが程よいともいえるでしょう。
食べてみて問題がなければ、何も後悔などする必要はありません。
むしろ、このくらいの量のエビカニは大丈夫なんだ。という確認になったと思えばいいですね。
ただし、他の種類のエビや、量によってエビアレルギーになる可能性はゼロではありません3)。
ですので、小さな小さなエビを食べたからといって「エビアレルギーはありません」と言い切ることはできません。
さて、この質問の答えを再度申し上げますと、もう食べたものについては、後悔することもありませんし、
これから食べるものを神経質に見る必要はありません。
もし気づいたものがあれば取り除くと食べやすい くらいに考えてみましょう。
管理栄養士
難しくてわからない! どうしたらいいの? という方に端的に回答をするなら、「私なら多少は気にせず食べさせちゃいますかね。気になったら硬いかもしれないからとるかなー。余裕があれば…」とお答えするかもしれません。実際に子育てをしているときには、そのような余裕がなくとりませんでしたが、保育園給食ではなるべくとりのぞくようにしています。
塩分が多すぎないように
しらすには塩分が含まれていますので、離乳食に使用する際には塩が多くなりすぎないように注意するといいでしょう。
例えば離乳中期(7‐8ヶ月頃)の目安量は、魚10₋15gくらいとされています2)。
しかし、それをすべてしらすにしてしまうと、味噌2gよりも多くなってしまいます(下表参照)。
食品に含まれる塩分量2)3)
しらすの塩抜きは必要?塩抜き方法は?
しらす10gほどを、塩抜きせずに使ってしまうと、まるで調味料のように塩分を摂ってしまうので、注意が必要です。
離乳食期の1食あたりの塩分量は?
乳幼児期の塩分量は目標量として、1日1.5gとされています。
これは、平均的な母乳量に含まれる食塩相当量 0.183g+平均的な離乳食に含まれる食塩相当量1.237gを足した1.42gを丸めて、1.5gとなっています。
つまり、乳幼児の食塩目標量はありませんが、
だいたい1.42g/1日、
1日3回とすると1食あたり 0.5gくらいが平均的な目安といえます。
(これを超えたりするとなにかを害するという数字ではありません。あくまでも平均です)
基本の塩抜き方法
塩抜きをすることで、赤ちゃんの塩分摂取を抑えることができます。
基本的な塩抜き方法にはいくつかあります。
茹でる
鍋に湯をわかし、1~2分ほど茹でて、ざるにあけてゆで汁を切る
熱湯をかける
しらすをボウルやざるに入れ、沸騰したお湯をかけ、1~2分ほど湯通ししてから、お湯を切る
水につけておく
しらすを泳がすくらいの水にいれラップをして、冷蔵庫に2時間ほどおいておく
塩抜きしても十分ではないので・・・
また、しらすは塩抜き後でも塩分が残っている場合がありますので、
加熱調理する際には塩分量にも注意が必要です。
できるだけ塩分を控えめに調整し、赤ちゃんの塩分摂取が多くならないように気を付けたいですね。
管理栄養士
しらすを使うときには、味付けを薄めにする。
しらすの量は多くなりすぎないようにする などもいいですね。
では、しらすの塩抜きはいつまでしたほうがいいのでしょうか。
【関連記事】魚を使った離乳食の進め方を管理栄養士が徹底ガイド!
しらすはいつまで塩抜きしたらいい?
離乳食の塩分を考えるときは、1日や1食に何gまで…というのではなく、
食事はなるべく塩分を摂らない方がいいということになります。
さきほどの表はあくまでも、「平均的な目安」です。
赤ちゃんがおいしく楽しくタンパク質類(肉魚類)や野菜、穀類(ごはん類)が食べられるようにすることが先決です。
毎日、しらすを塩抜きせずにあげていて他の肉魚はあげていない というような偏りがなければ特に大きな問題はありません。
3才ごろまでは塩抜きしておくと安心かも?
何才までという決まりなどがあるわけではありませんが、さまざまな味を他にもつけたくなる時期だからこそ、
しらすにお湯をかけて、できる限り塩抜きの工夫をしたほうが、他に味がつけられるのでおすすめです。
1才以下でもしらすを塩抜きしなくても大丈夫なことも!?
しらすを離乳食時期に使う時でも、少しであれば塩抜きせずに使っても構いません。
ただし、少量であることや他に味の濃いものがないことが理想です。
しらすは調味料のように考えられる場合は、
味が足りないときにごはんにしらすをかけたりして使うことができますし、
ちょっとした和え物の味付けにしらすを加えることができます。
出来る限り塩抜きすると、他で味がつけられる
しかしながら、食べる量やバリエーションが増えてくるころになると、他にも味が濃いものが増えてくるかもしれませんね。
例えば、ロールパン(30g)を1個食べてしまうと、0.36gの塩分を含むので、他の食事であってもしらすを足してしまったら、さらに塩分過多ともいえます。
さまざまな味つけが増えてくる幼児期でも、やはり塩抜きはしたほうがいいのかもしれませんね。
管理栄養士
本来は大人であっても、しらすにしょうゆをかけたりすることがないように、しらすはそのままの味で食べたり、なるべく塩抜きしてから食べるのがオススメです。
子どもの頃と区切る意味はあまりありませんが、他の塩分などが多そうだなと思ったら、調整してみたり、しらすをよく食べるなと思ったら、塩抜きしておくといいですよね。
まとめ:たくさん食べたいしらす。だからこそ
しらすは塩抜きしたらいいの?という疑問を解決する答えは1つではないため、
説明が長くなりましたが、たくさん食べるなら塩抜きしておくと安心です。
すなわち、しらすを少量のみにとどめれば、塩抜きせずに使うことも可能です。
しかしながら、しらすは、たんぱく質やカルシウムを豊富に含み柔らかくて調理しやすい食材ですので、たくさん食べたいものです。
たくさん食べたいしらすだからこそ、塩抜きして食べてみたいですよね。
参考文献
1)文部科学省,日本食品標準成分表2020年版(八訂)(2024年6月17日閲覧)
2)厚生労働省,授乳・離乳の支援ガイド 2019年改訂(2024年6月17日閲覧)
3)海老澤元宏ら「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」 検討委員会「厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022」
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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