減塩食をおいしく楽しめるスプーン「エレキソルト」で感じたこと

国民全体の健康課題の1つとして、減塩があげられます。今回は減塩食をおいしく食べられるスプーン、エレキソルトを試してきましたので、現在の課題と筆者が考える減塩法についてお話します。

国民の課題「減塩」

離乳食や幼児食、妊娠中の食事というと、皆さん「うす味」を連想するのですが、実は特別うす味である必要はありません。

減塩を心がける人は、子どもや妊婦さんだけではなく、国民全員です。

食育基本計画では1日に食塩8g以下目標

農林水産省「第4次食育基本計画」によると、1日あたりの食塩摂取量の平均を8g以下にすることを目標にしています(下図)1)

目標は令和7年度達成と設定しているので、もうすぐですよね。

第4次食育推進基本計画 減塩 何g 国民 目標

1日に食塩10g近くとっている現状

令和5年度国民健康・栄養調査では、食塩摂取量の平均値は9.8g(男性10.7g、女性9.1g)でした2)

令和2年度の10.1gより少しは減っていますが、有意に減っているとはいえません。

令和7年度までには、8gにしていきたいことを考えると、まだまだ減塩の努力が必要です。

食塩過多は、血圧などさまざまな疾患につながるリスクですので、国民の健康を考えてなんとかして減らしていきたい大きな課題です。

このような社会の健康課題を考え、さまざまな会社が工夫をしています。

減塩タイプの加工食品も多く見られるようになりましたので、ぜひそのようなものを利用していきたいものです。

さて、今回試したのは、食品ではなくスプーンです。

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減塩食をおいしくするスプーン「エレキソルト」

キリン株式会社のエレキソルトは、微弱な電流のチカラで、塩味やうま味などの食事の味わいを増強させるスプーンです。

内閣府の日本オープンイノベーション大賞にて日本学術会議会長賞を受賞している研究の商品です。

エレキソルトの感想

エレキソルトを実際に試してみました。

普通のサイズより少しだけ大きめでも違和感無し

  • 少し大きいので介護食用などでありそうな感じです。
  • 特に重いなどありませんでしたので、高齢者や元気がない時などでも問題なく持てます。

持ち方に注意

スプーンの持ち手裏側に電流を感じるプレートがあるので、必ずそこに触れて食べる必要があります。

スプーンに食品や舌が直接触れなくてもOK

スプーンでスープなどを飲む時だけではなく、スプーンの上に食材を置けば電流が伝るので、スプーンに直接触れていない、スプーン上部の食材も味をおいしく感じられます。

一風堂の減塩30%ラーメン

今回は、キリン エレキソルト×一風堂のコラボ企画「塩分を 30%オフした「減塩白丸元味」を共同開発試食イベント」に、参加しました。

30%減塩ラーメン  一風堂 減塩白丸元味

まず、スープをエレキソルトを、使わずに味わってみたところ、私には「普通においしい!」というのが感想です。

普通においしいとは、今回の場合最大の褒め言葉のつもりであり、ずっとこの30%減塩ラーメンを食べたいという感想です。

エレキソルトなどのガジェットや減塩食品だけで解決できるのか?

今回、30%減塩ラーメンを食べて、普通においしく感じたことに自分はショックを受けました。

普段は、気づかないうちにもっと塩分が濃いものを食べていたのか…!と気づかされました。
知らないうちに塩分ってとっているものなのですね。
でも30%オフでも本当においしいのです。

エレキソルトを使うと、味がより濃厚に感じましたが、なくても美味しかったというのが感想です。
これは万人には当てはまらないのかもしれません。
エレキソルトを使うと、味がより濃厚に感じましたが、なくても美味しかったというのが感想です。
これは万人には当てはまらないのかもしれません。
管理栄養士

管理栄養士

この感覚による違いはとても興味深いですね。

いつもこのラーメンを召し上がっている方には、かなりの薄味と思われるのかもしれません。
このように、習慣的にどのような塩分のものを食べているかというのは大切です。

このスプーンのようなガジェットや減塩食品を上手に使いつつ、
普段からさまざまなものを常に心がけ味を感じるベースを少しずつ各自が変えていく必要があるのかなと感じました。

食塩の摂取を控えようとする気持ちの重要性

令和5年度「国民健康・栄養調査」をみると、食塩の摂取を控えようとしている人は、男性40%、女性50%にとどまっています。

実際に改善に半年以上取り組んでいる人は、男性17.9%、女性23.0%と多くありません。

国民健康・栄養調査 減塩をしようとする人

まずは国民全体で、減塩の必要性をしっかり感じる必要があります。

エレキソルトや、その他減塩食品でいいものが開発されても、使う必要性を感じなければ意味がありませんので、「食塩の摂りすぎを改善しよう」と国民全体で感じていきましょう。
エレキソルトや、その他減塩食品でいいものが開発されても、使う必要性を感じなければ意味がありませんので、「食塩の摂りすぎを改善しよう」と国民全体で感じていきましょう。
管理栄養士

管理栄養士

「減塩だから大丈夫」の考えを見直そう

また、30%減塩だからといって、いつもよりスープを多めに飲んでしまったら、トータルとして減塩にはなりません。

減塩だしや減塩しょうゆなども同様ですが、
減塩だから安心としてたくさん飲んでしまっては、同じになってしまいます。

エレキソルトのようなガジェットや、減塩食品などを上手に利用しつつも、
塩分を含むものの量を普段から考えられるようになると、
日本人全体としてもっと減塩に進むのではないでしょうか。

さて、皆さまは何をどのように減塩しますか?
私はみそ汁に野菜をいっぱい入れてみようと思います。
限られた御椀の中が野菜でいっぱいになれば、必然的に汁の量が減り、それにともなって塩分も減るかと思うのです。

減塩のポイント 味噌汁  具をいれる

このような考えはあくまでも1案です。

今回紹介したスプーンも1案。他にも減塩のだしや味噌などもあります。

塩分の高いものは美味しいものですが、摂取しすぎないように、普段から心がけ、少しずつ舌を減塩好みに変えていきたいですね。

国民みんなで減塩できますように。

参考文献

1)農林水産省「第4次食育推進基本計画」(2024年12月13日閲覧)

)厚生労働省「令和5年度 国民健康・栄養調査」(2024年12月13日閲覧)

「エレキソルト」公式サイト 

参加イベント:KIRIN「博多発祥のラーメン店「一風堂」とキリンの「エレキソルト」のコラボレーション 塩分を30%オフした減塩ラーメンを共同開発 一風堂 浜松町スタンドで12月に期間限定で販売」

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川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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