乳幼児の水分補給 イオン飲料って何?
乳幼児は水分補給が必要といわれていますが、どのくらい必要なのでしょうか。また、イオン飲料は使えるのでしょうかみていきましょう。
水分補給の必要性
水分は常に必要ですが、特に注意したい時は
- 下痢、嘔吐
- 発熱
- 暑い日の外出や運動後など脱水が疑われる場合
- その他、尿量が著しく少ない場合、泣いても涙が出ない 等
などが挙げられます。

どんな時に必要?
水分が必要なときはどんな時でしょうか。ケースによって摂りたい水分は違うかもしれませんね。
経口補水液が必要な時
主に乳幼児に、経口補水液が有効なケースとしては
- 下痢、嘔吐
- 発熱時
があげられます。
イオン飲料が必要な時
基本的に、乳幼児ではイオン飲料が必要な時はありません。
スポーツなどをしている幼児などは、必要なこともあるかもしれませんが、そうでない限りは基本必要ありません。
イオン飲料と経口補水液、何が違うの?
イオン飲料は経口補水液と何が違うのでしょうか。
イオン飲料
イオン飲料は、電解質を含む飲料のことで、浸透圧が調整されているため、素早く体内に吸収されるといわれていますが、主に糖分を多く含んでいます。
他にもスポーツ飲料(スポーツドリンク)とも呼ばれたりもしますが、ここではほぼ同義と考えて記述します。
乳幼児用として売られているものとして「ベビー用のイオン飲料」などもありますが、それも薄く調整してあるものの、糖分を含むので同義と考えます。
経口補水液
経口補水液は、食塩とブドウ糖を混合したものですが、必要以上の糖分を追加していません。

わかりやすい大きな違いは、
経口補水液(ORS)・・・水分が吸収されやすい/コンビニには置いていないことが多い
イオン飲料・・・糖分が追加されていて、甘いので飲みやすい/コンビニや自販機ですぐ手に入る(ベビー用はベビー用品店など)
といえます。

飲みやすいのは利点ですが、頼りすぎないのがコツかもしれませんね。
気を付けたい「ビタミンB1欠乏症」
近年、イオン飲料をたくさん飲みすぎることによる、乳幼児のビタミンB1欠乏が問題視されています。
本来、糖分を分解するのに、ビタミンB1も必要です。
しかし、イオン飲料には、このビタミンB1が入っていないのでたくさん飲みすぎると、ビタミンB1が欠乏してしまいます。
ビタミンB1欠乏は、「脚気(かっけ)」などで知られるように、歩きにくくなったり、手足のしびれやむくみといった神経症状がでます。
重症化事例としては、2歳ごろまでの乳幼児が母乳や食事をあまり摂らず、イオン飲料をたくさん飲んだ場合(1日1-2リットル)という事例がありました。
ビタミンB1が減少しすぎてウェルニッケ脳症になった報告があります。治療しても場合によっては知的障害や麻痺などが残るので、是非防ぎたいものです。
これは極端ともいえますが、複数例報告されていることから、今一度、イオン飲料の飲みすぎは考え直したいものです。

甘いイオン飲料だけ になることは 絶対に避けましょうね!

水分補給の目安と注意点
水分補給はどのような点に注意をしたらいいのでしょうか。
望ましい水分補給
入浴後や暑い日の外出などは、水分補給も気になります。
他に食べ物などを摂取できる状況であれば、水分補給は乳児なら母乳、母乳が終われば白湯(さゆ)や麦茶で構いません。
具合が悪そうな時には経口補水液が一番望ましいです。
しかし、なかなか味が受け付けないこともありますよね。
一度にたくさん飲めないので
幼児の場合、スプーンで飲む程度の少しずつ、こまめに摂取しましょう。(大人であってもこまめに摂取)
乳児の場合は、母乳またはミルクが最良の水分補給なので、無理に経口補水液に切り替える必要はありません。
味がうけつけないという場合には、イオン飲料で代用も可能ですが、その場合は、下記の点に注意しましょう
水分補給の量
なるべく一度にたくさん飲むのではなく、こまめに摂取することが望まれます。
イオン飲料を多量に飲むことのないようにしたいものです。
イオン飲料の場合、目安量としては、乳幼児の場合は、1日に200ml程度を上限としたいものです。
イオン飲料の注意点
- 少しずつ、なおかつ1日200ml以内
- 症状がおさまったらすぐに中止し、数週間など飲み続けない
イオン飲料は嗜好品と考え、飲みすぎることのないように注意しながら、適量を楽しむよう心がけましょう。
関連記事:水分補給で気を付けたいこと
食事がとれているかどうか
よく質問としてあるのが、水や麦茶ではミネラルバランスが崩れるのではないかということがあります。
食事をとっていれば極端なミネラルバランスを崩すこと(水中毒など)は起こりません。
食事をしっかりとっていれば、食事に含まれる塩分などのミネラルがありますし、他にもビタミンや必要カロリーも補えます。
あまり水分ばかりをとりすぎるとそれでおなかがいっぱいになってしまうことが心配です。
涼しい室内で食事をゆっくりとるなどして、水分以外のものをとれる場合には、イオン飲料ではなくて構いません。イオン飲料を飲みすぎて、食事が食べられなくなってしまわないように、覚えておきたいですね。

水分ばかりでお腹いっぱいになってしまうことが一番心配です。
まとめ
この他にも、栄養や保育の支援者なら考えたいポイントがあります。離乳食アドバイザーや幼児食アドバイザーでは、これらについて解説しています。 >>資格講座へ
参考文献
奥村 彰久「イオン飲料水の多飲によるビタミンB1欠乏症」,第12回 子どもの食育を考えるフォーラム
奥村ら「イオン飲料水の多飲によるビタミンB1欠乏症」日本小児科学会雑誌121巻5号(2017年)
厚生労働省 「熱中症予防リーフレット」
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/nettyuu_leaflet26.pdf
平木彰佳ら「イオン飲料の多飲によるビタミンB1欠乏症からWernicke脳症を発症した2例」(2014年)
プロフィール

この著者の記事
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