気を付けたい 乳幼児におけるイオン飲料 の飲みすぎ

イオン飲料はどんな時に必要なの?

イオン飲料は、電解質を含む飲料のことで、浸透圧が調整されているため、素早く体内に吸収されるといわれていますが、主に糖分を多く含んでいます。他にもスポーツ飲料(スポーツドリンク)とも呼ばれたりもしますが、ここではほぼ同義と考えて記述します。

乳幼児用として売られているものとして「ベビー用のイオン飲料」などもありますが、それも薄く調整してあるものの、糖分を含むので同義と考えます。

経口補水液(ORS)とは何が違うの?

似ていますが、違う言葉として「経口補水液」があげられます。

経口補水液は、食塩とブドウ糖を混合したものですが、必要以上の糖分を追加していません。

主に乳幼児に、経口補水液が有効なケースとしては

・下痢や嘔吐、発熱時  

があげられます。

風呂上りの水分補給

入浴後は、こまめに水を摂取する程度でよい

大きな違いは、

経口補水液・・・水分が吸収されやすいようになっている/コンビニには置いていないことが多い

イオン飲料・・・糖分が追加されていて、甘いので飲みやすい/コンビニや自販機ですぐ手に入る

といえます。

「イオン飲料」を飲むタイミングと量

「入浴後などに脱水するからイオン飲料がいいんですよね?」という質問を受けたりします。
たしかに水分補給が必要なタイミングとしては、
さきほど挙げた
・下痢、嘔吐、発熱時
のほかにも、
・暑い日の外出や運動後など脱水が疑われる場合
・入浴時
・朝起きたとき

なども挙げられます。

しかしながら、後者の場合は、食事をとることができるため、イオン飲料に頼る必要はありません。

また、なるべく一度にたくさん飲むのではなく、こまめに摂取することが望まれます。
イオン飲料を多量に飲むことのないようにしたいものです。
目安量としては、乳幼児の場合は、1日に200ml程度を上限としたいものです。

イオン飲料を必要以上に飲むとおきる「ビタミンB1欠乏症」

近年、イオン飲料をたくさん飲みすぎることによる、乳幼児のビタミンB1欠乏が問題視されています。本来、糖分を分解するのに、ビタミンB1も必要なのですが、イオン飲料には、このビタミンB1が入っていないので、ビタミンB1が欠乏するのです。

ビタミンB1欠乏は、「脚気(かっけ)」などで知られるように、歩きにくくなったり、手足のしびれやむくみといった神経症状がでます。

重症化事例としては、2歳ごろまでの乳幼児が母乳や食事をあまり摂らず、イオン飲料をたくさん飲んだ場合(1日1-2リットル)、ビタミンB1が減少しすぎてウェルニッケ脳症をひきおこした事例が複数報告されています。治療しても場合によっては知的障害や麻痺などが残るので是非ともに防ぎたいものです。

これは極端ともいえますが、複数例報告されていることから、今一度、イオン飲料の飲みすぎは考え直したいものです。

イオン飲料

幼児でもペットボトルのイオン飲料を飲み切ることのないようにしたいものです

長期間飲まないこと!

経口補水液を、乳幼児であればスプーンで飲む程度の少しずつ、こまめに摂取しましょう。(大人であってもこまめに摂取)

味がうけつけないという場合には、イオン飲料で代用も可能ですが、その場合は、下記の点に注意しましょう

<イオン飲料の注意点>

・少しずつ、なおかつ1日200ml以内
・症状がおさまったらすぐに中止し、数週間など飲み続けない

イオン飲料は嗜好品と考え、飲みすぎることのないように注意しながら、適量を楽しむよう心がけましょう。

食事はしっかりとることが大切

入浴後や暑い日の外出などは、水分補給も気になります。

他に食べ物などを摂取できる状況であれば、水分補給は乳児なら母乳、母乳が終われば白湯(さゆ)や麦茶で構いません。

ミネラルバランスを壊すのではないかと疑問になる方もいるようですが、食べ物を摂取していれれば、極端なミネラルバランスを崩すこと(水中毒など)は起こりません。

食事をしっかりとっていれば、食事に含まれる塩分などのミネラルがありますし、他にもビタミンや必要カロリーも補えます。

あまり水分ばかりをとりすぎるとそれでおなかがいっぱいになってしまうことが心配です。

涼しい室内で食事をゆっくりとるなどして、水分以外のものをとれる場合には、イオン飲料ではなくて構いません。イオン飲料を飲みすぎて、食事が食べられなくなってしまわないように、覚えておきたいですね。

 

【参考文献】
奥村 彰久「イオン飲料水の多飲によるビタミンB1欠乏症」,第12回 子どもの食育を考えるフォーラム
奥村ら「イオン飲料水の多飲によるビタミンB1欠乏症」日本小児科学会雑誌121巻5号(2017年)
厚生労働省 「熱中症予防リーフレット」
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/nettyuu_leaflet26.pdf
平木彰佳ら「イオン飲料の多飲によるビタミンB1欠乏症からWernicke脳症を発症した2例」(2014年)

【最後に】
本件は、日本小児医療保険協議会栄養委員会主催 「第12回 子どもの食育を考えるフォーラム」内での「イオン飲料水の多飲によるビタミンB1欠乏症」を拝聴し、「メディアを利用し」、本件を「一般的に広く認知」することが必要とうかがいましたので、記載いたします。今後このような事例が減りますことを祈ります。

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