保育所における食事の提供ガイドラインが2025年統合「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」へ。重要ポイント解説

保育現場や児童福祉施設で働く皆さま、「保育所における食事の提供ガイドライン」が新しくなったことをご存知でしょうか?

これまで保育所向け(2012年策定)と児童福祉施設向け(2010年策定)に分かれていた2つの指針が統合され、2025年9月に「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」(以下、新ガイド)として大幅に刷新されました。

「保育所だけじゃないの?」「何が変わったの?」と戸惑う方も多いかもしれませんね。
今回は、この最新ガイドへの移行に伴い、現場が押さえておくべき重要ポイントをわかりやすく解説します。

1. 乳幼児の給食だけではなく児童まで入るように

今回の改訂の最大の目玉は、2012年の「保育所における食事の提供ガイドライン」と、2010年の「児童福祉施設における食事の提供ガイド」がひとつに統合・刷新されたことです。

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これまでは主に就学前の乳幼児が対象でした。
新ガイドでは乳児院や児童養護施設なども含むすべての児童福祉施設が対象となりました。
つまり、乳幼児期から思春期以降までの幅広い成長段階をカバーする内容になりました。

2. 給与栄養目標量はアセスメントが重要。3-5歳の目安は43%

献立作成に直結する変更として見逃せないのが、栄養素の算定基準です。

これまでの基準では、1日の給与栄養目標量を「45〜50%」として算出例がありました。
しかし、今回のガイドでは、アセスメントを大切にすることが求められています。身長・体重・体格評価などから、望ましい栄養価を算出するようにとしています。

この上で、例として 3〜5歳児は「1日の43%程度(昼食33%+おやつ10%)」という考え方が追記されました。

これは近年の研究結果に基づいたより具体的な数値例から参照されています。
目安基準も「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の最新値へと更新したほうがいいですね!

この数値が設定された背景と理由は以下の通りです。

  • 実態調査を例として
    認可保育所等に通う3〜5歳児を対象とした詳細な食事記録調査において、発育が良好なこどもたちが、実際に園の食事(昼食+おやつ)から摂取していたエネルギーや栄養素の割合を分析した結果、37%〜49%という範囲となり、その中間に近い値として「43%」とした。
  • 昼食(33%)+間食(10%)
  • ミネラルは50%
    すべてが43%に固定されているわけではなく、日本人のこどもに不足しがちなカルシウムや鉄については、引き続き1日の「50%」を目安とすることが推奨されています。

しかしあくまでも、アセスメントがあって行うものとなっており、この限りではなくPDCAサイクルをまわすとされています。

3. 「PDCAサイクル」による組織的な管理の徹底

これまで、保育所における食事の提供ガイドラインでは「Plan-Do-See」でした。

しかし今回は、さらなる食事提供の質を向上させるため、「PDCAサイクルの構造化」が明確に記載されています。

具体的には、以下のサイクルを回すことが求められます。

  • Plan(計画): アセスメント(状態把握)から始まり、目標設定や食育計画を策定する
  • Do(実施・推進): 計画に基づいた調理・提供
  • Check(評価): モニタリングと評価
  • Act(改善): 評価に基づく改善
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特に「アセスメント」を起点とすることが強調されるようになりました。
一人ひとりのこどもの喫食状況や発達に合わせた対応がより重視されています。

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4. 「自立支援」と「多様なニーズ」への対応

これまでの「発育・発達」「教育」「保護者支援」という役割に加え、新たに「食事を通じた自立支援」の視点が盛り込まれました。
特に、将来こどもが自ら食生活を営むための「生活力」を育むことを意図しています。

また、医療的ケア児、障害児、さらには外国にルーツを持つこどもなどの対応が記載されました。

近年の多様化するニーズへの個別対応についても問われてきます。

ただ、本件については全てに対応をせねばらないという義務ではないと筆者は考えます。

保育所給食運営のキャパシティーを考えて受け入れなどを考えることが、求められるでしょう。

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5. アレルギー対応と窒息予防

食物アレルギーについては、従来の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」を基本としています。
アレルギー症状を誘発するリスクの高い食物が、少ない又はそうした食物を使わない共通献立メニューを取り入れるなど、食物アレルギーのリスクを考えた取組を工夫する必要があります。

昨今では、アレルギーの可能性の低い食品を1つずつ試すような細かいチェックリストが世の中にあふれていますが、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン作成者らが望んでいることは、野菜などは任意チェックと様式となっています。

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また、窒息や誤嚥の防止についても、こどもの口腔機能の発達に合わせた食材の硬さや形状の配慮が、より具体的なリスク管理として位置づけられています。
これは今まで別のガイドのものを統合したものとなります!
ようやく、今まであまり浸透されていなかった部分が名言化されました。

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保育園入園前のチェック項目

入所時のヒアリングポイントとしては下記のような項目があげられています。

項目確認することが望ましい事項
健康状態基礎疾患、アレルギーの有無
栄養状態肥満度から把握
身体状況身長・体重、発育状況(発育曲線で確認)
食経験摂取したことがない食品
外国にルーツを持つこどもの禁忌食品
食べる機能歯の生え方
咀嚼・嚥下
嗜好好みの硬さ、味・匂いの好き嫌い

まとめ:現場でどう対応すべき?

新しい「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」は、単なるマニュアルではなく、少々わかりにくいものになっています。
この現状を考えるなら、とにかくアセスメントをしっかりすることにより、「PDCAを活用した食事提供の質の向上」を目指すことが目的になっているので、園ならではの方法を考えることができます。

この他にもさまざまなマニュアルやガイドが、保育所給食にはたくさん存在しています。

最新の国の指針を正しく理解し、こどもたちが一生涯「食を営む力」を育めるよう、園全体で取り組んでいきましょう!

よくあるご質問

  • Q 保育所の給食のガイドラインはありますか?
    A

    はい。2025年9月に「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」に統合されました。これに伴い、「保育所等における食事の提供ガイドライン」はなくなりました。
    また、このほかにもさまざまなガイドが複雑に絡み合っています。

  • Q 保育所の入園児に、給食管理として聞かなければならないことはなんですか?
    A

    政府や公的機関がさまざまなところで問診票や食材チェックリストを紹介しています。これらを参考にしましょう。尚、母子栄養協会のアドバイザー講座を受講することでより深く理解し、いつでも質問することができます。

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参考文献

  1. こども家庭庁.児童福祉施設等における食事の提供ガイド(2026年3月31日 閲覧)
  2. 厚生労働省.保育所等によける食事の提供ガイドライン(2026年3月31日 閲覧)
  3. 厚生労働省.保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (2026年3月31日 閲覧)

著者のプロフィール

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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