子どもは銀杏(ぎんなん)にご注意を
銀杏(ぎんなん)は、茶碗蒸しに入っていたり、秋のおつまみとして身近な食材ですが、子ども、とくに乳幼児には注意が必要な食品です。
少量でも体調不良を起こすことがあり、日本中毒情報センターでは、銀杏による中毒相談の例が毎年寄せられていることを報告しています。
そのため、子どもに与える場合には「年齢」「量」「与え方」に十分な配慮が必要です。
この記事では、なぜ銀杏に注意が必要なのか、どの年齢からどのような点に気をつければよいのかを、管理栄養士・母子栄養指導士の立場から、できるだけわかりやすくお伝えします。
ぎんなん(銀杏)とは
ぎんなんはご存知のとおり、イチョウの木の実になります。実はとても匂いがしますが、食べるぎんなんは匂いがしませんね。
食べている部分は、イチョウの実の種のようなところです。

ぎんなんはイチョウの実の種の中身
普段目にするものは、殻に入っているかと思います。それがいわゆる種の部分で、いわゆる食べる部分は、種の中身なんです。
日本と中国、韓国くらいが食べると言われていて、欧米では食べないそうですよ。
日本と中国、韓国くらいが食べると言われていて、欧米では食べないそうですよ。
管理栄養士
子どもは、小さい豆類のようなものが好きなので、つい、やわらかければ、刻んであげられるのかな?と思ってしまうかもしれませんが、いくつか注意が必要です。
ぎんなんの注意点
ぎんなんは、何がいけないのでしょうか。特に赤ちゃんや子ども(乳幼児)は注意が必要です。
過剰に食べると起きうる「ぎんなん中毒」
銀杏には、ビタミンB6に似た成分(4’-O-メチルピリドキシン)が含まれ、過剰に摂取すると嘔吐やけいれんなどの中毒症状を引き起こす可能性があります1),2)。
日本中毒情報センターには毎年相談が寄せられており、小さな子どもは特に症状が出やすいと報告されています2)。
ビタミンB6欠乏状態になると、GABAの生成ができなくなってしまい、
神経に作用してしまうことで、このような嘔吐や下痢、けいれんなどを起こすのです。
ぎんなんの中毒成分は加熱をしても変わりません
このように神経に影響を及ぼすぎんなんの成分は、
熱に強いので、加熱調理しても、⾷べ過ぎると中毒がおこりえます2)。
食べ過ぎないように注意しましょう。

子どもにはあげない食べ物
ぎんなんは、数個食べただけでも中毒症状を起こした事例が、いくつか報告されています。
⽇本中毒情報センター に2010〜2019 年で寄せられたぎんなんの相談は252件あり、そのうち、5 歳以下の⼦どもの相談が 173件みられたとされています2)。
これらの相談のうち、けいれんや嘔吐などを含むものがあげられており、日本中毒情報センターは「5歳以下の子どもには食べさせない」こととしています 2) 。
食べ物はある程度のリスクがあるものもあり、食べ過ぎに注意すれば少しは大丈夫というものがありますが、それらは食材として欠かせないものであったりすることもあります。
しかしながら、ぎんなんは、
・食材として食べなくても問題ない
・代替食材はたくさんある
ことから、とくにリスクの高いぎんなんを子どもにあげる必要はないといえるでしょう。
また、消費者庁では、硬い食品や豆類などを幼児に与える際には年齢や量に配慮することが推奨されています。
5歳以下の子どもにはあげない としてもいいのではないでしょうか

ぎんなんはいつから何歳から食べられる?
ぎんなんは、大人でもたくさん食べたら中毒を起こす可能性があります。
何歳から食べてもいいという目安をつけるのは、とても難しく、答えがありません。
しかし、どうしてもというのであれば、
5歳以下では豆類は誤飲誤嚥の可能性もあることから、
あげるのであれば小学校にあがったくらいの年齢から、1個程度というのが目安になるでしょう。
【関連記事】乳幼児期に気を付けたい果物:保育園給食のガイドラインからのから学ぶ
よくある質問
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子どもに銀杏を食べさせても大丈夫ですか?
基本的には、栄養学上絶対に必要というわけではないので、避けるほうがいいでしょう
-
何歳からなら銀杏を食べられますか?
6歳以降ならいいかとは思いますが、個人差もありますし、たくさん食べるのはおすすめできません。6歳以降であっても数個にとどめておきましょう。
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ぎんなんを1個食べてしまいました。大丈夫ですか?茶わん蒸しの中に入っていて、知らないうちに食べてしまったんです。
軽くて硬い豆類は5歳までは食べないようにと消費者庁でいわれているように、のどにつまったりすることには注意をしたいものです。
しかし、問題なく食べたのであれば大丈夫ですよね。
あとは中毒症状ですが、多少(数個)食べても大丈夫ケースがほとんどです。
ぎんんあん中毒は数十個食べたようなケースですので、それほどナーバスに考える必要はありませんが、お子さんの様子を観察し、なにかあれば医療機関にご相談ください。
ぎんなん拾いにも気を付けて
イチョウの実(ぎんなん)を拾う場合にも注意は必要です。
ぎんなんの実(外側のやわらかい部分)には接触性皮膚炎を起こす場合があります。
実を剥がすには水につけたりしますが、
拾ったり実を剥がすときには必ず手袋を着用しましょう。
参考文献
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著者のプロフィール

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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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