「改正食育基本法」と「第5次食育基本計画」で食育はどう変わる?

私たちの「食」を取り巻く環境が今、法律レベルで大きく変わろうとしているのをご存知でしょうか。

2026年5月20日「食育基本法の一部を改正する法律案」が可決されました。
あわせて2026年度から「第5次食育推進基本計画」が動き出しましたね。
今回のアップデートは、単なる健康習慣の推奨にとどまらない、食材の選び方などを含め、昨今のさまざまな政治的・世界情勢を含めた、非常にインパクトの強い内容になっています。

なぜ今、法改正と新しい計画が必要?

背景には、私たちのライフスタイルの大きな変化がありますよね。

  • 働き方の多様化と、世帯構成の変化
  • 生産者と消費者の関係が見えにくい
  • まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」

などが問題です。

また、今回の改正案では、食育を単なる健康増進の手段ではなく、食料安全保障の確保に資するものと再定義しました 3)

栄養士としては、「食育」は健康増進だと思っていたので、個人的にはとても大きな衝撃でした。
栄養士としては、「食育」は健康増進だと思っていたので、個人的にはとても大きな衝撃でした。
管理栄養士

管理栄養士

【関連記事】食育とは?第4次食育推進基本計画の重要性と実施例

そもそも、「食育」とは

2005年の制定当初、食育基本法では、下記のように定められていました4)

食育とは、「生きる上での基本」であり、「知育、徳育及び体育の基礎」となるべきものと位置づけられています。単に知識を得るだけでなく、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食を選択する力」を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てることを目的としています。

食育基本法の2016年改正では、高齢化に対応

制定された2005年から約10年経った2016年、食育基本法は改正されました。

改正のメインは「健康寿命延伸」「地産地消・食品ロス削減」でした。
その後、第4次食育基本計画(2021年~2025年)では、「SDGs」なども加わりました。

2026年の食育基本法の改正では、食料と価格の形成も焦点に

今年の食育基本法の改正では、国民が「食料の合理的な価格の形成」についてです。

また、それぞれの発達段階に応じて理解を深めることが重要視されています 3)

米などの価格の揺れ幅や、世界情勢なども影響しているのかもしれませんね。
これらを考えながら、「食」が持続可能になるかを、全員で考える状況に来たのでしょう。
米などの価格の揺れ幅や、世界情勢なども影響しているのかもしれませんね。
これらを考えながら、「食」が持続可能になるかを、全員で考える状況に来たのでしょう。
管理栄養士

管理栄養士

改正食育基本法を踏まえた第5次食育推進基本計画の主な内容

食料安全保障の確保

今回の改正で最も注目すべきは、食育が「食料安全保障の確保に資するものと明確に位置づけられたことです。

単に栄養バランスを考えるだけでなく、下記について求められています。
【今回の食育基本法改正で求められていること】

  • 食料の安定的な確保
  • 将来にわたって食べ物を供給し続けるために必要な合理的な価格の形成

「安ければいい」ではなく、持続可能な供給を支えるための適切な選択をすることが、新しい時代の食育の大きな柱となったのかもしれませんね。

これまでの食育は「子供」が中心というイメージが強かったかもしれません。
しかし、今回の改正では、「あらゆる世代」への展開が強調されています。
これまでの食育は「子供」が中心というイメージが強かったかもしれません。
しかし、今回の改正では、「あらゆる世代」への展開が強調されています。
管理栄養士

管理栄養士

「大人の食育」が本格始動! 職場や大学も舞台に

これまでの食育は家庭や学校が中心でしたが、改正法では新たに「職場」が加えられました 3)

  • 職場の活用
    事業者が雇用者の健康に配慮して行う食育活動への支援が盛り込まれました。
  • 大学等での啓発
    大学生などの若い世代も強化されます。

これは、朝食欠食率が高く、栄養バランスの偏りが目立つ20歳代から30歳代の「働く世代」へのアプローチを強化するためです 1), 2)

大人も対象になったので、「食育」という言葉を、子ども向けの食イベントととらえず、私たち一人ひとりが、自分の栄養や食習慣を把握し、改善していくことが期待されています。
大人も対象になったので、「食育」という言葉を、子ども向けの食イベントととらえず、私たち一人ひとりが、自分の栄養や食習慣を把握し、改善していくことが期待されています。
管理栄養士

管理栄養士

具体的な施策として、
大学等の学生に対する啓発活動や、
事業者が雇用者の健康に配慮して行う食育活動への支援も盛り込まれています 3)

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改正食育基本法と第5次食育基本計画

農林漁業教育の推進

食への理解を深めるため、食べ物がどこから来るのかを知ることは大切です。そのため、体験活動を中心とした「農林漁業教育」は、さらに推進されます 3)

例えば、学校教育で栄養教諭だけでなく、農林漁業者の方々などの専門的な知識を持つ人材の活用も進められます 3)

有機農法と慣行農法 危険性と安全性

【関連記事】有機野菜は本当に安全?農薬の基準と栄養を管理栄養士が解説

地球にやさしい食生活へ

「食品ロス」の削減や、環境に配慮した農林水産物・食品の選択も、第5次計画の重要なテーマです。

温室効果ガスの排出削減、食品ロスの削減、生物多様性への配慮など、環境負荷の低い食品を選択できるよう「見える化」を推進するとのことです1)

いままでは「人間」の健康のみが対象でしたが、環境や生物多様性まで入ってきました。
いままでは「人間」の健康のみが対象でしたが、環境や生物多様性まで入ってきました。
管理栄養士

管理栄養士

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食育の目標管理が法的にパワーアップ

今回の食育基本法の改正では、「チェック機能」が強化されました。

  1. 「結果」の見える化(毎年1回の公表義務)
    農林水産大臣は、基本計画に掲げた目標の達成状況を、少なくとも毎年1回調査し、インターネット等で公表しなければならないと法律に明記されました。
    これまでは「どんな施策を行ったか」という報告が中心でしたが、これからは「目標をどれだけ達成できたか」という結果が、より国民に見えやすい形でチェックされます。
  2. 5年ごとの確実なアップデート
    社会情勢の変化や施策の効果評価を踏まえ、「おおむね5年ごと」に基本計画を変更することも法的に規定されました。
    これにより、現場の変化に合わせた計画の更新(PDCAサイクル)が、法律上の仕組みとしてより確実に回るようになります。

単なる「活動の報告」で終わらせず、常に目標への進捗を検証し、次のアクションへ繋げる。
そんな「結果重視」の食育が、今回の改正で再スタートします

まとめ:私たちの役割

新しい食育基本法では、消費者の役割として「食料の持続的な供給に資する物の選択に努めること」が期待されています。

毎日の買い物や食卓での一歩が、日本の食の未来を守ることにつながります。

この機会に、自分や家族の食生活を「未来」という視点で見つめ直してみませんか?

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参考文献

  1. 農林水産省.第5次食育推進基本計画作成に向けた主な論点.(2026年5月22日 閲覧)
  2. 農林水産省.第5次食育推進基本計画作成に向けた提案(2026年5月22日 閲覧)
  3. 衆議院.衆法 第221回国会 8 食育基本法の一部を改正する法律案(2026年5月22日 閲覧)
  4. デジタル庁(e-Gov).食育基本法(2005年(平成17年6月17日策定)(2026年5月22日 閲覧)

著者のプロフィール

川口由美子
川口由美子
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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