妊娠中や赤ちゃん、カフェインはどのくらいまで大丈夫?
水分補給のことについて考えたとき、何を飲んだらいいのか迷いますよね。
赤ちゃんや妊娠中の妊婦さんは、出来る限りカフェインを避けることが望ましいとされています。
赤ちゃんだけではなく、幼児、児童(小学生)もカフェインは避けたほうがいいのですが、
どのくらいが望ましいかご存知ですか?
今回はカフェインについて少しご紹介します。
カフェインとは
カフェインはコーヒー豆、紅茶、マテ茶などの茶葉、カカオ豆などに含まれている
天然の成分です。
お茶だけではなく、眠気防止目的などでエナジードリンクや、苦み成分としてコーラなどに添加されていたりすることもあります。
カフェインが含まれている飲み物
主な飲み物の含有量は下記の通りです。
飲み物名 | 含有量(100mlあたり) |
---|---|
コーヒー | 60㎎ |
紅茶 | 30㎎ |
せん茶 | 20 mg |
エナジードリンク | 32~300 mg |
カフェインを摂るとどうなる?
カフェインは何がいけないのでしょうか。
急激にカフェインをたくさん摂取することによっておこる急性作用として、
- めまい
- 心拍数の増加
- 興奮、不眠症
- 不安、震え
の他、下痢、吐き気をもたらすことがあるとされています。
また、長期的なリスクとしては、カルシウム摂取量が少ない人がカフェインを摂取した場合、カルシウムの体内からの排出率を増やすので、骨粗しょう症の発症の原因となる可能性があると言われています。
発達障害とカフェイン
1997年の論文で「母体環境と脳発達障害」というラットの実験があります。
この中では、ラット(実験ねずみ)が
毎日多量摂取した場合の弊害については触れられています。
しかしながら、これを読んでいる妊婦さんに対して、危険を伝えたいとは思いません。
気づいた時点で、後ほど記述する程度のカフェイン量にとどめておけばいいでしょう。
カフェインの鉄吸収阻害作用
妊娠時期は、鉄が多く必要です。
赤身の肉などから鉄をしっかりとっていくことになりますが、
カフェインはその鉄の吸収を阻害する(ジャマする)ほうに働いてしまいます。
管理栄養士
貧血予防のためにも、カフェインの多量摂取は避けましょう
カフェインをどれだけ飲んでいい?
日本では、現在のところ許容量や摂取目安などの量が 決まっていません。
したがって、諸外国の数値を参考に考えてみます。
海外では、カフェインの摂りすぎで20代男性が死亡した例(2015年)
や10代少年急性摂取による死亡例(2017年)もあり、日本でも最近多量摂取による死亡例がでました。
近年カフェインの安全性が特に注目されています。
その多くはエナジードリンクや医薬品、サプリによるものですので、
コーヒーの飲みすぎなどではありませんが、妊産婦や乳児の場合は影響を受けやすいので、その量が定められている機関や国があります。
その一部より、妊婦、子どもについての部分をご紹介します。
世界保健機関(WHO)のカフェイン基準
カフェインの胎児への影響については、まだ確定していませんが、
妊娠中の方(妊婦さん)はコーヒーの摂取量を1日3~4杯までにすべき、
としています。(*お茶ならその倍量程度)
英国食品基準庁(FSA)のカフェイン基準
2008年に妊婦がカフェインを取り過ぎると低体重出生となったりすることから、
妊娠中の方(妊婦さん)の1日当たりのカフェイン摂取量を、
WHOよりも厳しい200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)としています。
カナダ保健省(HC)のカフェイン基準
健康な成人は、1日最大 400 mg以内(コーヒーをマグカップで3-4杯程度)の摂取であれば影響はない
としていますが、
妊娠中の方(妊婦さん)や子どもについては下記のように定められています。
<カフェインの悪影響が出ない最大摂取量(1日あたり)>
4歳~6歳の子供 45 mg
7歳~9歳の子供 62.5 mg
10歳~12歳の子供 85 mg
妊婦/授乳中/妊娠希望 女性 300 mg (マグカップで2-3杯)
管理栄養士
日本では特にありませんが、これらを踏まえて、
・妊婦さんならコーヒーなら3杯程度
・赤ちゃんはなるべく 控えて緑茶を少しくらいまで
がいいでしょう。
カフェインが気になるなら何を飲んだらいいの?
やはり麦茶や水がいいのですが、気分転換もしたいものです。
コーヒーを紅茶に変えるとカフェイン量も少なくてすみます。
また、ミントをいれた水やレモン水などもさっぱりするので気分転換にもなります。
身近にあるカフェインレスを探してみてくださいね。
赤ちゃんにはミントやレモンはむかないわよね。
水(さゆ)や 麦茶がいいかしらね。
もちろん栄養補給としては母乳やミルクも水分よね。
妊娠中はハーブティーにも注意
カモミール、ローズヒップ、セントジョンズワートなど、妊娠中に禁忌(飲んではいけない)のハーブティがあります。
他のものも「ハーブ」は薬効があるものがありますので、安全性が未確定のものが多いので、妊娠中のハーブティーは積極的にオススメはできません。
まとめ:カフェインだけではなくいろいろなものを
「コーヒーはダメだからハーブティーを」とせず、
1つの種類を1日に何杯も飲むことがないように、いろいろなものをとれるといいですね。
コーヒーや紅茶が全くダメなわけではありませんので摂りすぎだけに注意しましょうね
参考資料
*1 内閣府 食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」
*2 農林水産省 カフェインの過剰摂取について
*3内閣府 食品安全委員会報道関係者との意見交換会 会議資料より『カフェインに関する 諸外国での対応状況&中毒の課題』2017年5月
*4厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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