液体ミルク の解禁に向けて…厚生労働省3/12専門部会でより具体的に
*この記事は2018年3月12日 時点のものであり、現在はすでに解禁されています(2018年11月30日追記)
乳児用液体ミルクとは
液体ミルクとは、母乳に成分を近づけ、乳児に必要な栄養素を添加してあるミルクのことです。今まで日本では「粉」ミルクだけでしたが、液状にすることで、より手軽に扱うことができます。
メリットとしては
・育児がより簡単になる(=男性の育児参加も期待できる)
・災害時に水や湯がなくても飲ませることができる
・ほ乳瓶の洗浄や煮沸の必要がない(液体ミルクのほとんどはそのまま乳首をつけて飲む使い捨てタイプなので)
などが考えられますが、飲み残すと雑菌が繁殖しやすいという面もあり、欧米では一般的に流通していましたが、日本では食品衛生法に液体ミルクの項目がなく、乳児用の液体ミルクを販売したりすることができませんでした。
解禁に関する動きは少しずつ前へ
2009年から日本乳業協会が、この液体ミルクの解禁をもとめていたりしましたが、安全性を確立できるデータがそろわなかったことなどから、なかなか進みませんでした。しかし、災害経験などを踏まえ声も高まり、海外から支援物資として運ばれたりもしました。
2016年には、日本小児科学会も提言をし、厚生労働省も検討を始め、
2017年3月に、厚生労働省が
・30度前後で2週間保存した後の細菌数がゼロであること
・保存容器の種類
などの目標を乳等省令に制定するために動き始めました。
データが揃い、安全性を検証できると判断され、乳等省令の改正へ
ニュースによると、試験のデータが揃ったとのことです。
「加熱処理で殺菌後、常温で長期間保存したが、微生物や細菌の存在は確認されず、乳児に必要な栄養成分が残ることも分かった。賞味期限は、金属缶やレトルトパウチの場合は9~12か月、紙パックは6か月を想定している。」
とのことで、これをふまえて、
2018年3月12日に開かれる専門家部会では、液体ミルクの規格基準を新たに定める省令改正に向けて手続きを始めることとなる見込みです。
今後、
・内閣府 食品安全委員会…健康影響評価とパブリックコメント募集からみた検討
を経て、
・消費者庁が液体ミルクを乳児の発育に適した「特別用途食品」と制定する検討
をしていき、この夏にも解禁を目指すこととなりそうです
2018年3月12日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具容器包装・乳肉水産食品合同部会では
(1) 乳幼児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定について
(2) 生菌末を含む調製粉乳の厚生労働大臣の承認手続について
などが話し合われる予定となっており、詳細の規格基準と、承認手続きなど、より実現化に近い話し合いが想定されることから、
注目が高まっています。
災害時要支援者である乳幼児を守りたい
母乳で育児をしているから大丈夫、粉ミルクと水のストックがあるから大丈夫と思うご家族も多いかと思いますが、災害時においては母乳がとまってしまったり、哺乳瓶の消毒や洗浄ができないなどの不便がでてくるのが現実です。
わたしたちが住んでいる日本は災害が避けられません。
災害要支援者でもある乳幼児をしっかり守っていきたい中で、この液体ミルクの普及が望まれています。実際に作ったり販売したりすることにかなりのコストがかかり、とてもメーカーが大変であるという話も耳にしますが、国などの支援などもあわせて検討いただき、この液体ミルクが日本に広まり、災害時や、普段の男性育児参画へも大きなメリットとなりますことを、祈っております。
【参照記事】
2017年3月31日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録
乳児用液体ミルク、今夏にも解禁...災害備蓄に利用も〔読売新聞〕
2018年3月12日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具容器包装・乳肉水産食品合同部会 開催案内
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