妊娠中、骨を強くするのはカルシウムだけでよい?

妊娠中は、赤ちゃんの骨だけではなく、母体のためにもしっかりとした骨を維持したいものです。

今回は骨を強くする栄養について一緒に考えていきましょう。

骨を強くする必要性とカルシウム

妊娠中は、乳製品や小魚、海藻など、赤ちゃんの骨のためにカルシウムをとるよう心がけている方が多いと思います。

カルシウムは、骨を作るのに必要なのはもちろん、神経の情報伝達や酵素の活性化などにもかかわる重要な栄養素です。

でも、カルシウムだけとっていれば、健康な骨は作られるのでしょうか?

残念ながら、答えは「No」です。

カルシウム以外に必要な栄養素

骨を強くするには、カルシウム以外にも、健康な骨のためにはビタミンDやビタミンK、マグネシウムといった成分も必要になります。

ビタミンD

カルシウムの吸収を促し、骨にくっつくよう働くのがビタミンDです。

そのため、たとえカルシウムを十分にとっていたとしても、
ビタミンDが不足していると丈夫な骨が作られないということになります。

ビタミンDが多く含まれる食材

・魚
・きのこ
です。

魚には特に、サンマなどの青魚に多いです。

ただ、いくら青魚が良いと言われても、なかなか家庭で魚を焼いたり煮たりするのは難しいこともありますよね。

ビタミンK

ビタミンKもビタミンDと同じように、カルシウムを骨に沈着させるのに必要とされます。

ただ、ビタミンDがカルシウムを骨に運ぶだけでなく、骨から運びだすこともあるのに対し、ビタミンKはカルシウムが骨になるのを助けることに専念します。

ビタミンKがとれる食材

ビタミンKが多く含まれる食材は、
・緑黄色野菜
・納豆
に多く含まれますが、とくに納豆はビタミンKを効率よくとれる食材です。

納豆1パック(40g)の2/3を食べれば、一日分のビタミンKがとれるほどです。

マグネシウム

また、カルシウムとマグネシウムは2:1の割合だとカルシウムの吸収率がよくなります。

マグネシウムの比率がよい食材

このカルシウムとマグネシウムの割合がよい食材は、
・油あげ
・おから
が挙げられます。

魚缶詰を上手につかって

そんなときは、魚の缶詰がおすすめです。

魚缶は、生の魚と同等の栄養が含まれているので、ビタミンDがしっかりとれます

さらに、缶詰に加工することで骨まで食べられるようになるので、生魚に比べてはるかにカルシウムをとることもできるのです。

たとえば、
・いわし缶(味付)…5倍
・さんま缶(蒲焼…10倍
・サバ缶(水煮)…40倍
なんと40倍とはすごいですよね!

このように魚缶はビタミンDとカルシウムを両方とれる、お得な食材です。

活用しない手はありません。

干ししいたけは光でビタミンDが増加

きのこもビタミンDをとれる食材です。

中でもしいたけは気軽に使えるきのこのひとつだと思いますが、生のしいたけと干ししいたけを比べると、干ししいたけの方が約2倍以上のビタミンDを含みます。

これはなぜでしょうか?

実は、しいたけは光によってビタミンD量が増えるのです。

室内光でもビタミンDを生成

日光はもちろん、日光よりも劣るものの室内光でも生成は進むので、干ししいたけを製造する乾燥過程や保存することでビタミンDが増えるというわけです。

干ししいたけを料理で扱うのはちょっと難易度が高いという方は、生しいたけを購入した際に、しばらく日光に当ててから使うというのもよいでしょう。

ビタミンD 補給レシピ「キクラゲの和え物」

きのこの中で他より群を抜いて多くビタミンDを含むのは、きくらげです。

一回に摂る量は少量ですが、妊娠中にとりたい食物繊維や鉄も含むおすすめ食材です。

家庭で使ったことがないという方が多いと思いますが、
クセのない食材なので、炒め物や煮物に気軽に使ってみてください。

きくらげキムチ カルシウムたっぷりレシピ


作り方

水戻ししたきくらげと、キムチ(適量)を醤油(少々)とごま油(適量)で和えるだけです。

ただ混ぜるだけですが、これだけでも立派な副菜になりますよ。

骨を強くするには和食がオススメ

さて、魚、キノコ類、納豆、おからなど、和食で使われるものが多いと思いませんか?

和食は一般的にバランスがよいといわれますが、骨のためにもよいことがわかると思います。

骨を強くする食材

家庭で調理するのが難しければ、外食では和定食を食べるようにするなど、
赤ちゃんの骨を気にしたいときは、和食を心がけるとよいかもしれませんね。

参考文献

日本食品成分表2015年版(七訂)

著者

長有里子
長有里子
管理栄養士/妊産婦食アドバイザー
自身の不妊経験をもとに、妊活、女性のホルモンバランスと栄養、妊娠期などの食事を研究。
書著に「生殖専門医と妊活栄養士が導く 授かるための2人の生活術(講談社)」