離乳食冷凍小分けトレー(フリージング用容器)の使い方と注意点
離乳食づくりや、普段の大人の食事にもとても重宝する、冷凍小分けトレーですが、時折SNSなどでフリージング以外の用途で使われることがあるようです。離乳食用冷凍小分けトレー(容器)は本来、調理用としては作られていませんので、耐熱温度に注意しないと容器が溶けます。
くれぐれもフライパンに入れて調理したりすることがないように注意して、ただしく保存容器を使いましょう。
離乳食用冷凍小分けトレーの使い方と利点
離乳食冷凍容器は、赤ちゃんの食事の準備を効率的に行うためのアイテムです。以下に具体的な使い方とメリットを詳しく説明します。
冷凍小分けトレーの小分けトレーの使い方
離乳食冷凍容器は、離乳食を小分けにして冷凍するのに適しています。以下の手順で使ってみましょう。
①離乳食等を調理し、適切な温度まで冷まします。(粗熱をとります)
熱いままいれてしまうと、庫内の他のものの温度を上げてしまったり、保存条件が悪くなるので必ず庫外で冷まします
②離乳食冷凍容器に適量を入れ、フタを閉めます。
フタをしめることで、衛生的に保管することができます。またにおい移りなどの心配もありません。
③冷凍庫で凍らせます。
なるべく「急冷」することがのぞましいので、できたらアルミトレイの上などがオススメではあります。なるべく平らにして保管しましょう
(④ 状況によってはフリージング袋などにいれて冷凍する)
小分けトレーをどんどん回したいときなどは、冷凍したあと清潔なフリージング袋(食品用ジッパーバッグなど)にいれて冷凍します。
もちろんトレーのまま保存しておいても構いません。
⑤離乳食が必要なときに取り出して解凍・温めます。
小分け冷凍する利点
離乳食冷凍容器を使うことで、以下の利点があります。
- 離乳食期は1回分ずつなど小分けにして冷凍すると、解凍しやすい
- まとめて作って冷凍することで調理時間を節約できる
- 小分けにするので温める際に均等に加熱でしやすい
冷凍保存容器の選び方や離乳期別オススメポイント
離乳食用の冷凍保存容器を選ぶ際には、3つのポイントがあります。
1.素材
2.大きさ
です。
冷凍保存容器(トレー)の大きさは、
生後5~8カ月頃まで おかず用 15~30㎖、ごはん用 50㎖、
9カ月以降は おかず用で50㎖くらいを使い、
ごはんはもっと大きなものか、
容器ではなくラップに包むのもいいかもしれません。
冷凍保存容器(フリージング容器)素材の違い
離乳食冷凍容器の素材は、ポリプロピレン(PP)やシリコンなどがあります。以下に各素材の特徴を説明します。
シリコンのフリージング容器
- 耐熱性にすぐれている(230℃~-20℃)
- 電子レンジ調理可能
- オーブンは200度くらいまでの設定なら可能(*商品を確認してください)
- フタは耐熱温度が異なるので注意が必要。
シリコンの離乳食保存小分け容器の例
参考URL:EDISONmama(エジソンママ) 万能シリコントレイ 冷凍・オーブン使用OK
ポリプロピレン(プラスティック)のフリージング容器
- 耐熱性にすぐれている(120℃や140℃~-20℃)*商品によって140℃のものもある
- 電子レンジでの解凍が可能
- オーブン不可
- フタがついており、冷凍しやすい
PPフリージング容器の例
参考URL:リッチェルフリージング ブロックトレイ(耐熱120℃)
リッチェルのフリージングブロックトレイは調理をしてはいけません。リッチェルの公式QAでも、加熱調理はできません。としており、水をはったフライパンや電子レンジなどで、飲食物を入れて加熱しないでください。としています3)
PPフリージング容器 140℃の例
離乳食用フリージング容器の耐熱温度
離乳食用フリージング容器を電子レンジで使う際には、
耐熱温度を守りつつ、均等に加熱できるように注意しましょう。
一般的によく使われている、
透明の冷凍保存小分けトレー(PP)は、あくまでも冷凍・解凍のみで調理はできません。
薄型のプラスチックの容器(耐熱温度120タイプ)では調理はできません。
フライパンや鍋の鍋底は、160℃~180℃といわれています2)。
底ではなく、側面(ふち)でも130℃以上くらいはありますので、
耐熱温度140℃までの容器は、鍋に直接触れないようにする必要があります。
ポリプロピレン(PP:プラスチック)の冷凍保存容器は、120℃のものと、140℃のものがあります。
よくSNSで調理されているものは、リッチェル製など、薄いプラスチックの耐熱容器120℃のものが散見されますが、
それは本来の使い方ではありません。
管理栄養士
厚さだけですべては判断できないので、必ず商品パッケージやホームページ、取り扱い説明書などを確認してください。
冷凍保存トレイ(容器)で調理をする際の注意点
フライパンや鍋での調理では、皿を敷く(耐熱140℃以上のもの)
耐熱温度が140℃以上のものを使い、なおかつ鍋底には触れないように、皿などを敷く
食品耐熱袋などのレシピでも注意喚起がされているように、なべ底には皿を敷いて調理をしましょう。ただし、袋と違って、冷凍保存容器は封も不十分なことに加えて、底面が広く、実際に皿をしくのはかなり困難かと思います。
フライパンの上に蒸し器を置いてもいいでしょう。
これにより、直接フライパンに触れることなく均等に加熱できます。
120℃などのものは、あくまでも冷凍と解凍のために使いましょう。
電子レンジの調理は耐熱温度が140℃のものを。
電子レンジで調理が可能なものは、耐熱温度が140℃以上のものを使いましょう1)。
冷凍保存容器では、ペラペラの薄いものは、120℃なので、電子レンジ調理には少し分厚いタイプを使いましょう。
管理栄養士
厚さだけですべては判断できないので、必ず商品パッケージやホームページ、取り扱い説明書などを確認してください。
耐熱温度が120℃のものでも電子レンジOKと書いてある場合がありますが、
よくみると「電子レンジでの解凍」がOKとなります。
あまり調理時間が長くならないようにする必要がありますね。
まとめ
離乳食用の冷凍保存トレイ(容器)は、あくまでも冷凍するための容器です。
基本的に耐熱温度120℃の容器は冷凍や解凍にしか使えません。
温めたり、消毒をするために、電子レンジを使うことはできますが、調理用ではありません。
SNSなどで、冷凍保存トレイで蒸しパンや卵焼きなどを調理するものがはやっていますが、
一方で焦げ付きや溶けなどの事故も起きています。
管理栄養士
SNSはメーカーの保証以外のことも発信されていることがありますので、必ず商品の説明書を読み、十分に注意しましょう。
卵焼きや蒸しパンをつくるときは、フライパンなどではなく電子レンジで。なおかつ耐熱温度140℃以上のものを必ず使うようにしてくださいね。
参考文献
1)Panasonic「プラスチックは電子レンジで加熱していいの?使える容器の種類とは」
2)肥後 温子ら,鉄製とフッ素樹脂加工アルミ製フライパンの基礎調理性能,日本調理学会誌,2008 年 41 巻 4 号 p. 248-256
3)リッチェル「よくある質問」わけわけフリージングブロックトレーに食品を入れて加熱調理できますか
一般社団法人日本化学工業協会「電子レンジで使えるプラスチック製品とは」
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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