妊娠糖尿病って何?食事はどうしたらいいの?
妊娠糖尿病と言われたり、糖尿病に気を付けてといわれたら心配になるものですよね。
今回は、妊娠期にみられる糖代謝異常についてお話しします。
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めてみつかるもの
糖尿病は、インスリンの分泌が低下して、糖質の処理能力がにぶったりする病気(糖代謝異常)です。
妊娠中に起こりうる糖代謝異常 には、
1.妊娠糖尿病
2.妊娠中の明らかな糖尿病*
3)糖尿病合併妊娠 の3つに分類されます。
そのうち、妊娠糖尿病 Gestational Diabetes Mellitus (GDM)は、「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常」を指します。
つまり、妊娠前から既に糖尿病と診断されている場合は、妊娠糖尿病には含まれません。
妊婦さんの約1割弱くらいが罹患するので、身内に糖尿病の人がいるなどリスクが高い場合には注意が必要です。
妊娠糖尿病の診断基準
妊娠糖尿病は、糖負荷試験(75gOGTT)において次の基準の1点以上を満たした場合に診断されます1)。
①空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
②1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
③2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
医師の診断によるものなので、この記事のみで自己判断などをしないように、必ず妊婦検診をしっかり受け、
医師の指示通りにお願いします
妊娠糖尿病になりやすい人
妊娠糖尿病になりやすい人は、糖尿病の家族がいる人や、妊婦さんが肥満な場合、高年齢出産に当たる方などがあげられます。
妊娠糖尿病のリスク要因
・糖尿病の家族歴 ・肥満(BMI 25以上)
・35歳以上の高年齢 ・巨大児分娩既往
・原因不明の習慣流早産歴 ・原因不明の周産期死亡歴
・先天奇形児の分娩歴
・強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性、
・妊娠高血圧症候群 ・羊水過多症 などがあります。
妊娠糖尿病のスクリーニングは、妊娠したら全員受ける必要があります。妊娠する前に異常がないかスクリーニングを受けることが最も大切といえます
妊娠糖尿病になると何が問題?
妊娠糖尿病は、母体(お母さん)にも胎児(赤ちゃん)にもさまざまな影響があります。
お母さん:妊娠高血圧症候群、羊水過多、尿路感染症など *産後も糖尿病になるリスクが高いのでチェックが必要
赤ちゃん:巨大児、流産、胎児仮死の頻度増加などがみられ、新生児になっても低血糖、黄疸などの合併症がみられるリスクが高まる
妊娠糖尿病の食事
妊娠糖尿病が疑われる場合には、食事のあとに高血糖にならないように血糖コントロールが有効です。
ただ、妊娠中なので、お母さんと赤ちゃんが健全に妊娠を維持するのに必要なカロリーはとることが求められるのが難しいところです。加えて、なかなか運動もできないのが課題です。
分割食で1日の食事分を分けて食べる
食事療法としては、
食物繊維を多く含む食物と、糖質指数の低い(食後血糖値の上昇が起こりにくい)食物をバランス良く摂取することが基本です。
一度に高カロリーのものを摂取しないように心がけ、3食分をおやつ時間など、5回にわけて食べるなどなるべく少しずつ食べる工夫も有効です。
野菜などで食物繊維をしっかり摂る
血糖値を急にあげすぎないためにも、食物繊維をしっかりとることが大切です。
野菜や海藻類など食物繊維をしっかりとりましょう。
また、低GIといわれる精製度の低い穀類などを選ぶことが大切になります。
妊娠糖尿病の方におすすめレシピ「わかめと野菜の和え物」
妊娠糖尿病だからといって、特にオススメということではありませんが、野菜をしっかり摂ることは、なかなかできないものです。
1日に350g摂りたいと思ったときに、考えたいのは、「すぐに食べられるもの」です。今回は乾燥わかめを使ってみます。
わかめは海藻に分類されますが、乾燥されているため、常温で保存できるので買い物が大変なときにもいいですよね。
わかめは、乾燥わかめをつかうと簡単に調理できるので、
妊娠中にも取りやすい食材の1つです。
野菜の細切りとともに茹でて、三杯酢などで和えるのがオススメです。そのときにちょっとゴマをふりかけると、さらにいいでしょう。
材料
たまねぎ 1/2個
乾燥わかめ 大さじ1
酢 大さじ1・1/2
しょうゆ 大さじ1
砂糖 小さじ1
白ごま 適宜
作り方
1.たまねぎは薄くスライスをしておき、わかめは水戻しをして適宜切っておく
2.小鍋に1と水をいれて軽くゆで、わかめがやわらかくなったらざるにあげておく
3.調味料を混ぜ合わせ2にかける。
参考文献
著者執筆の記事一覧
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一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師
NHK「すくすく子育て」他 出演
女子栄養大学 卒(小児栄養学研究室)。企業にて離乳食の開発を行ったのち独立、管理栄養士として多くの離乳食相談を聞き、母親に寄り添った講演会を開いている
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