【妊娠中の栄養】決め手は皮?!秋の旬食材、誰でもできる栄養アップの方法は?
いつも捨てている皮には栄養がある!?
”皮には栄養がある”と聞いたことはありませんか?
「汚れをとるため」「かたい部分だから」「あく抜きをするため」など、皮のある食材は、多くの人が皮をむいて調理をしていると思います。
でも、よかれと思ってやっているこの皮むき、実は栄養を逃しているもったいない行為なんですよ。
妊娠中はより多くの栄養をとりたい時期。
いつも捨てている皮の栄養について、秋の食材で見ていきましょう。
さつまいものスペシャル成分は皮にある
さつまいもは食物繊維が多く、便秘予防食材として知られていますが、ビタミンEやビタミンCも多い食材です。
とくにビタミンCは調理で失われやすいのものの、さつまいものビタミンCはでんぷんで守られており、加熱をしても失われにくいという特長もあります。
また、さつまいもは切ると、皮の近くから白い液体がでるのをご存知ですか?
これは、さつまいも特有のスペシャル成分、ヤラピンというものです。
ヤラピンは皮や皮の付近に多く含まれ、便をやわらかくしたり、腸のぜんどう運動を活発にしたりと、便通をよくする働きがあります。
つまり、皮付きで食べれば、食物繊維とダブルの作用で便通をよくするサポートをしてくれます。
妊婦さんにおすすめなのは、おやつとして焼き芋を食べること。
焼き芋なら皮ごといただけ、スーパーでも簡単に手に入ります。
ちなみに、血行促進作用のあるビタミンEは油と組み合わせると吸収率が高まるので、焼き芋にバターをつけて食べても良いでしょう。
根菜は丸ごと食べる
ごぼうやれんこん、にんじんといった根菜も、皮をむきがちでしょう。
ごぼうは皮の近くに香りやうま味が多く、クロロゲン酸というポリフェノールも皮に多く含まれます。
ポリフェノールは強い抗酸化作用を持ちます。
ですので、皮は厚くむかず、たわしでこすったり、包丁の背でこそげる程度にしましょう。
れんこんもごぼうと同様、皮にタンニンというポリフェノールが多く含まれます。
また根菜といえば、にんじんもよく使う野菜のひとつ。
にんじんにはベータカロテンが含まれることで有名ですが、このベータカロテンは、皮の下に最も多く含まれています。
皮付きのにんじんと皮をむいたにんじんのベータカロテンを比べると、皮付きのほうが540㎍(1本につき)も多く含まれます。
これは、たとえばミニトマトでいうと、6個分ものベータカロテン量になります。
焼き鮭の皮は残さないで
魚は胎児の神経系の形成などに必要とされるn-3系脂肪酸を豊富に含みます。
普段、焼き鮭を食べるとき、皮も残さず食べていますか?
皮を残す方も多いようですが、魚の皮にも栄養がたっぷり。
皮を食べるのと食べないので比べると、同じ量を食べてもn-3系脂肪酸のDHA、EPAは25%ほど減少してしまいます。
また、ビタミンEやカルシウムなども同様に25%ほど減少することに。
鮭だけではなく、さばやあじ、いわしなどでも同じことがいえますので、魚の皮も残さず食べましょう。
皮をおいしく食べられる簡単メニュー
涼しくなってくると、温かい汁物をおいしく感じます。
皮付きの根菜をおいしくいただける汁物でおすすめなのは、豚汁。
豚汁をつくるときは具だくさんにし、多めに作っておくと便利です。
たとえば、それにうどんを入れて豚汁うどんにすれば、主食(うどん)、主菜(豚)、副菜(根菜類)が一皿でとれるので、バランスもよい食事になりますよ。
参考)
日本食品成分表2015版(七訂)
旬の野菜の栄養事典 最新版(エクスナレッジ)
日常的な水産物の摂食とその効果に関する 食生態学的研究(http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/report_2006_1.pdf)
プロフィール

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管理栄養士/妊産婦食アドバイザー
自身の不妊経験をもとに、妊活、女性のホルモンバランスと栄養、妊娠期などの食事を研究。
書著に「生殖専門医と妊活栄養士が導く 授かるための2人の生活術(講談社)」
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