生後5か月の乳児がハチミツからのボツリヌス菌(Botulinum)感染で亡くなってしまうという事故が起きました。
本当に悲しく心が痛みます。今後事故が起きないよう、もう一度、はちみつについて勉強してみましょう

ハチミツは1歳までは摂取してはいけません

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」でも、「ハチミツは乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使わない」こととしています。保健所などの離乳食教室でもよくいわれていることです。
ハチミツに入っているボツリヌス菌は芽胞であり、乳児の腸の中で菌が増え、 産生された毒素が吸収されてボツリヌス菌による症状を起こしてしまいます。
1歳以降になると腸管が発達し、そのようなことは起こりにくくなりますので、幼児や大人はハチミツを食べても問題ありません。
厚生労働省では、1歳未満まではNGとしていますが、協会の考えとしては、万全を期して1歳半まではハチミツをさけておくといいとしています。

調理したら大丈夫?

1歳未満にハチミツはNGといわれているのにも関わらず、一部のレシピサイトなどにはハチミツをいれた離乳食レシピがあったりもしてしまう現状があるようです。
当協会の「離乳食アドバイザー養成講座」でもお話しているように、ボツリヌス菌は死滅するのにかなりの高温で時間がかかります。*1)ので、調理しても死滅しません。
例えば、離乳食に最適な蒸しパンに、ハチミツを使いそのあと加熱してもボツリヌス菌は死滅しません。
一般的な家庭での調理法ではまず死滅しないと考えておいていいでしょう。

ハチミツ入りの加工品は?

ハチミツ入りの飲みものや、焼き菓子などは大丈夫かと心配される方もいらっしゃることでしょう。
協会では、ハチミツ入りの加工品であっても、1歳半までは摂取しないほうが望ましいとしています。加工する際の温度などがわからないからです。

ハチミツを食べさせてしまったけれど大丈夫?

それでも間違えて1歳未満の乳児にハチミツをあげてしまうこともあるでしょう。ハチミツを食べたからといって必ず感染するわけでも発症するわけでもありません。しかしながら、数%の確率で乳児ボツリヌス症にかかる場合もあります。
下記の乳児ボツリヌス症の症状がみられないかどうかチェックしておきましょう

<乳児ボツリヌス症の症状>
芽胞を摂取したのち、3〜30日後から症状が始まります。

  • 便秘
  • 表情のこわばり
  • 母乳やミルクの吸い込みが弱くなる
  • 泣き声が弱くなる
  • 動きが鈍くなり、筋力が低下する
  • 呼吸をしにくそうにする以上のような症状がないかどうかチェックし、あてはまるようなことがあれば医師に相談しましょう。

他の食品でボツリヌス症にかかることは?

ボツリヌス症は、乳児ボツリヌス症だけではなく、食品中でボツリヌス菌が増えたときに産生されたボツリヌス毒素を摂取したときにおこるボツリヌス食中毒 もあります。

ボツリヌス食中毒は大人にもみられます。芽胞ではなく、毒素が生成されボツリヌス毒素が産生された食品を摂取後、8時間~36時間で、吐き気、嘔吐、視力障害、言語障害、えん下障害(ものを飲み込みにくくなる)などの神経症状が現れるのが特徴で、重症例では呼吸麻痺により死亡することがあります。ボツリヌス菌は嫌気性菌といって、空気のないところで多く繁殖しますので、特に、レトルト(高熱高圧)加工していないパック製品で、冷蔵庫保管が必要なものを、あやまって常温保管してしまったものなどで発生します。
パック詰め製品で「要冷蔵」などと書かれているものは、必ず冷蔵庫で保管しましょう。

以前は「いずし」という魚を発酵させた寿司を自家製した際にボツリヌス菌が産生された事例がみられましたが、現在は自家製も少なくなり、その事例も少ないようです。
また「からしレンコン」でも、事例がありましたが、昨今ではその保存なども見直されています。

消費者としては、真空パックなどのパック詰め製品は、その表示をよく読み、「要冷蔵」「10℃以下で保存」とされているものは、冷蔵庫などで保管するようにしましょう。

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*1)ボツリヌス菌にはA~E型まで種類があり、死滅までの熱や時間はその型によって異なりますが、A型B型では、121℃、4分以上の加熱、比較的毒素が弱いE型は80℃、10分の時間と熱を要します。

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参考サイト)

真空パック詰食品(容器包装詰低酸性食品)のボツリヌス食中毒対策:厚生労働省

感染症動向調査(乳児ボツリヌス菌):国立感染症研究所