「飲む点滴」として話題となっている麹から作られた甘酒は、夏の季語とされ、古くから夏の食欲が落ちる時期に親しまれていたそうです。
私個人としては、大晦日やひな祭りなどに飲む風習があり、少し意外でしたが、夏の食欲が落ちる時期というのは、生活の知恵なのでしょう。

なぜ飲む点滴?

米が主原料の甘酒ですが、麹菌のもつ働きによって、でんぷんはブドウ糖に、たんぱく質はアミノ酸に分解され、ごはんそのものよりも体に吸収されやすくなっています。
また、代謝促進や疲労回復に重要なビタミンB群が含まれ、ごはんよりも喉ごしよく、体力消耗時の栄養補給として口に入れやすいことから=点滴といわれています。

毎日飲むことがいいこと!?

日本食品標準成分表では、アルコールやジュース類、コーヒーなどと同じ「し好飲料類」に分類されている甘酒。
気をつけたいのは、飲みすぎて摂取エネルギーが増えすぎてしまうことです。
小さめのコップに1杯(約100g)の甘酒で81kcal、食パン半分くらいと同じエネルギー量です。

体にいいから!と食事にプラスして飲むと逆効果ということもあるかもしれません。
特に乳幼児期には、甘味が強いため、やめられない!という点には注意が必要です。

そこでおすすめ!甘酒を調味料として活用しよう!

甘酒は、砂糖と比較すると、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な点、栄養価の高い甘味料として活躍します。
食事にプラスする、のではなく、食事の中の甘味、おやつの甘味として活用し、甘酒の良さを味方につけましょう。

 

おすすめレシピを2つ紹介します。

蒸し野菜やお肉にピッタリ「ごまドレッシング」

<材料>

・白ねりごま 大さじ2
・だし(かつお昆布) 大さじ2
・醤油 大さじ1
・甘酒 大さじ1

<作り方>

全てをなめらかになるまで混ぜ合わせだけで出来上がりです!

 

甘さ控えめ「米粉のココアマフィン」

<材料>マフィンカップ3個分

・卵 2個
・米粉 80g
・甘酒 50g
・こめ油 50g
・レーズン 30g
・純ココア 5g

<作り方>

1、卵は卵黄と卵白に分け、卵白は角がたつくらいのメレンゲにする

2、卵黄は溶きほぐし、甘酒、こめ油としっかり混ぜ合わせる

3、2に米粉と純ココア、細かく刻んだレーズンを加え、混ぜる

4、3に1のメレンゲを4回くらいに分けて入れ、メレンゲをつぶさないように混ぜる

5、マフィンカップに流し入れ、180℃のオーブンで22分焼く

 

手作り甘酒の落とし穴

甘酒は50~60℃で長時間保温という作り方が一般的ですが、糖化を目的としているため、麹菌が死んでしまう温度帯と考えられます。
冷蔵保管時に、生き残った胞子から発芽し、麹菌が活躍することもありますが、密封容器での保管やその衛生状態を考えると、良質な菌の生育より雑菌の繁殖が優勢となる可能性もあります。

長期保存を目的とせず、早めに使い切れる量をこまめに手作りしましょう。
また、離乳食期への活用は衛生面や甘さの強さからおすすめはできません。
幼児食期への活用も、頻度に気をつけ、手作りの場合はできたてを使いましょう。

古くから伝わる歴史ある食べ物を伝える心

体にいいから!流行りだから!だけではなく、メリット、デメリットをしっかり理解し、田舎のおばあちゃんが風邪をひいたときに、夏バテのときに、作ってくれた思い出の食べ物、そんな経験を大切に考え、使い方を間違えずに伝承していきたいですね。

<参考文献>

文部科学省 カビ対策マニュアル基礎編
文部科学省 日本食品標準成分表 食品群別留意点「し好飲料類」

小泉武夫(2013) 発酵食品の歴史・食文化と機能性 日本農村医学会雑誌 : 835-839
徳安泰子(1967) 麹保存中のアミラーゼ・プロテアーゼの活性の変動について 栄養と食糧 : 336-339

 
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プロフィール

木下麗子
木下麗子
管理栄養士、「五感をはぐくむ料理教室KitchenChura」主宰
母子栄養指導士
ママが楽しみながら料理ができるお手伝いをします。